光電気実装の最新技術

技術者・研究者向けの専門書籍紹介

光電気実装の最新技術

発刊日 2008年3月 ISBN978-4-7813-0000-9 C3054
体 裁 B5判,326頁

刊行にあたって
 近未来のマルチメディア時代には,情報ニーズの高度化・多様化,デジタル化が進み,ネットワークを介して流通する情報量は現在とは比較にならないほど増大すると予測されている。この膨大な情報を円滑に伝送・処理するためには,通信装置やコンピュータの処理能力を飛躍的に向上させる必要がある。CPU等の電子LSIの性能は着実に向上しているが,信号高速化に伴うクロストーク,電磁輻射,さらには電気配線による信号伝送の帯域制限等の問題がシステム向上のボトルネックになっている。

 この解決のためには,従来の「メタル配線」に代わって,光エレクトロニクス技術によって情報伝送を担う「光配線」が必要で,その期待が高まっている。情報通信機器のさらなる高性能化を目指した,機器の筐体間,筐体内への光電気の融合技術の導入に関して,飛躍的革新につながる技術の開発が求められている。

 このような情勢のなか,光電気実装の要素技術,その将来動向,実用化に向けての研究開発等,システム的観点も視野に入れた同分野の最先端の研究開発状況を俯瞰する書籍が強く望まれている。本書では,さまざまな課題に対して取り組んでいる大学,国さらに産業界の第一線の研究者がその最前線を紹介する。

(「はじめに」より)

2008年3月  東海大学 教授 三上 修


書籍の内容
【第1編 総論】

第1章 光配線とその実装技術                                            (三上修)
1. はじめに
2. 光配線の導入効果
  2.1 消費電力の低減
  2.2 配線距離の増大
  2.3 クロストークの低減
  2.4 EMIの低減
3. 光配線の課題
4. 光ピンによる光表面実装技術(光SMT)
5. おわりに


第2章 筐体内光電気実装技術の現状と開発動向                                            (三川孝)
1. はじめに
2. 筐体内光電気実装技術の開発現況
  2.1 光バックプレーン・プラットフォーム
    2.1.1 光バックプレーンおよび,コネクタ
    2.1.2 光電気変換モジュール
    2.1.3 ボード間光伝送特性
3. 筐体内光電気実装技術の将来動向
4. おわりに


第3章 システムより見た光インターコネクションへの期待                                            (柳町成行)
1. はじめに
2. 高速インターコネクションに関する標準化動向
  2.1 ネットワーク応用高速インターフェース規格
  2.2 サーバ入出力向け高速インターフェース規格
    2.2.1 PCI-Express
    2.2.2 Infiniband
    2.2.3 Myrinet
3. 電気インターコネクションシステム
4. 光インターコネクションシステム
5. 光インターコネクションの産業応用動向
  5.1 装置間,ボード間の光インターコネクション
    5.1.1 大規模ルータ(Cisco社CRS-1,Juniper社T640等)
    5.1.2 スパコン京速計算機システム,IBM社BlueGene)
    5.1.3 メモリテストシステム
  5.2 チップ間,チップ内の光インターコネクション
6. 光インターコネクションを利用した新しい装置アーキテクチャ
  6.1 大容量スイッチ技術への応用
  6.2 仮想化技術への応用
7. まとめ


第4章 高速電気配線技術の現状と展望                                            (須藤俊夫)
1. プリント基板上の信号伝送
2. 表皮効果による導体損失
3. 誘電損失の影響
4. 表皮効果による電流分布の解析
5. アイパターン特性
  5.1 評価基板
  5.2 ガラスエポキシ基板のアイパーン特性
  5.3 低損失基板のアイパターン特性
6. 配線損失の改善法
  6.1 プリエンファシスによる改善
  6.2 イコライザ回路による改善
7. まとめ


【第2編 光電気実装の要素技術】

第1章 デバイス技術1. 発光素子(植木伸明)
  1.1 はじめに
  1.2 VCSELの構造
  1.3 VCSELの特性
  1.4 VCSELの応用

2. 筐体内光インタコネクション用受光素子(三川孝)
  2.1 受光素子の種類
  2.2 受光の原理
  2.3 受光素子の構造と動作原理
    2.3.1 MSMフォトダイオード
    2.3.2 PINフォトダイオード
  2.4 受光素子の開発事例
    2.4.1 MSMフォトダイオード
    2.4.2 PINフォトダイオード
  2.5 筐体内光伝送への応用事例
    2.5.1 MSMフォトダイオードの応用事例
    2.5.2 PINフォトダイオードの応用事例
  2.6 おわりに

3. 光レンズ素子(高森毅
  3.1 はじめに
  3.2 市場動向と技術動向
  3.3 従来のレンズおよびレンズ実装技術
  3.4 シリコンベンチを用いた表面実装技術(歴史的背景)
  3.5 表面実装用石英レンズ
  3.6 シリコンレンズ
  3.7 表面実装可能なシリコンマイクロレンズ
  3.8 シリコンマイクロレンズを用いたFTTH用光送受信集積チップへの応用例
  3.9 おわりに

4. PolymerOpticalDevices(LouayEldada)
  4.1 OpticalInterconnects
  4.2 CouplersandTaps
  4.3 SplittersandCombiners
  4.4 MultiplexersandDemultiplexers
  4.5 PolarizationSplitters/Combiners/Rotators
  4.6 Switches
  4.7 VOAs,TunableCouplers,andVariableTaps
  4.8 TunableFilters
  4.9 ChromaticDispersionCompensators
  4.10 Modulators
  4.11 UltrafastVOAs,Switches,andPMDCompensators
  4.12 ActiveDevices


第2章 光モジュール技術                                            (延原裕之)
1. はじめに
2. MSAモジュール技術
3. 光アレイモジュール技術
4. まとめ


第3章 光配線技術1. 石英光ファイバ(田村充章)
  1.1 はじめに
  1.2 石英ファイバの製法
  1.3 ファイバの構造と伝送特性
  1.4 石英ファイバの機械特性
  1.5 耐曲げ損失型SMFの動向
  1.6 光インターコネクション用石英光ファイバ

2. PolymericWaveguides(LouayEldada)

3. プラスチックファイバ(石槫崇明)
  3.1 緒言
  3.2 プラスチック光ファイバの種類とネットワーク
  3.3 円形屈折率分布型ポリマー並列光導波路への展開
  3.4 まとめ


第4章 素子搭載技術1. セルフアライン実装(佐々木純一)
  1.1 はじめに
  1.2 セルフアライン実装の原理と特徴
  1.3 セルフアライン実装方式実用化のための要素技術
    1.3.1 マイクロプレス法による高精度Au-Snハンダバンプ形成
    1.3.2 ストライプ状ハンダバンプによる三次元高精度セルフアライメント
    1.3.3 液体介在リフローによる大気中セルフアライン実装
  1.4 セルフアライン実装技術の実証例
    1.4.1 ハイブリッド集積8チャネルSOAGアレイモジュール
    1.4.2 12チャンネル光インタコネクションMCM
  1.5 おわりに

2. 高精度ボンダー(新井義之)
  2.1 はじめに
  2.2 ボンダー装置構成
  2.3 位置認識精度
  2.4 位置補正精度
  2.5 熱,経時変化への対応
  2.6 実装精度
  2.7 光素子実装特有の対応
  2.8 量産への対応
  2.9 まとめ

3. 光部品のアセンブリ技術(庄司靖弘)
  3.1 はじめに
  3.2 自動調芯装置
  3.3 自動調芯装置の要素技術[その1]
  3.4 自動調芯装置の要素技術[その2]
  3.5 YAGWELLDER
  3.6 微小光部品のハンドリング実装技術
  3.7 非接触センシング技術
  3.8 貼り合わせ装置


第5章 ボード実装技術1. 光ファイバ・バックプレーン(鈴木修司)
  1.1 概要
  1.2 バックプレーン板背面実装型光ファイバ・バックプレーン
  1.3 筐体内光ファイバボード・バックプレーン
    1.3.1 3M社光ファイバ・バックプレーン
    1.3.2 光・電子SI連携研究体ATCA光ファイバ・バックプレーン

2. 光シートバスを用いた光配線実装技術(新津岳洋)
  2.1 はじめに
  2.2 光シートバスの原理
  2.3 光シートバスの機能検証
    2.3.1 ブロードキャスト伝送
    2.3.2 双方向伝送と多チャネル伝送
    2.3.3 強度多重伝送
  2.4 光シートバスの形態
    2.4.1 光カプラ型バックプレーンバス
    2.4.2 階段状光シート型バックプレーンバス
  2.5 おわりに

3. Opticalbackplaneswithembeddedpolymerwaveguides(AlexeiL.Glebov)


第6章 光接続技術1. 光インターコネクション用コネクタ(鈴木修司)
  1.1 概要
  1.2 コネクタの分類
  1.3 光インターコネクション用パッシブコネクタ
    1.3.1 基板内接続コネクタ
    1.3.2 基板間(垂直)接続光コネクタ
  1.4 光インターコネクション用アクティブコネクタ
    1.4.1 レセプタクルアクティブ光コネクタ
    1.4.2 プラグアクティブ光コネクタ

2. 有機・無機光コネクタ(平松星紀)
  2.1 はじめに
  2.2 直角光路変換導波路
    2.2.1 構造
    2.2.2 作製方法
  2.3 光学特性
    2.3.1 マルチモード型直角光路変換導波路
    2.3.2 シングルモード型直角光路変換導波路
  2.4 光コネクタ
    2.4.1 ピッグテールコネクタ(マルチモード型)
    2.4.2 表面実装コネクタ(マルチモード型)
    2.4.3 バックプレーンコネクタ(マルチモード型,シングルモード型)
  2.5 応用
  2.6 まとめ

3. 自己形成導波路(SWW:Self-WrittenWaveguide)(三上修)
  3.1 はじめに
  3.2 自己形成導波路
  3.3 ファイバ間接続
  3.4 分岐形自己形成光導波路
  3.5 選択重合を用いた自己形成光導波路
  3.6 3次元光回路
  3.7 マスク転写法
    3.7.1 フォトマスク転写法による自己形成光ピン
    3.7.2 フォトマスク転写法を用いた光接続ロッド方式
    3.7.3 マイクロレンズアレイ転写法による漏斗型自己形成光ロッド
  3.8 まとめ


第7章 光電気実装におけるEMI技術                                            (菊地秀雄)
1. はじめに
2. 開口有りシールドカバーモデルによるEMIの低減
  2.1 Y方向開口モデルのEMIのシミュレーション結果と近似式
  2.2 Y方向開口モデルのEMI放射の機構の考察
  2.3 開口有りシールドカバーを90度回転したモデル(X方向開口モデル)
3. 実験結果
  3.1 実験システム
  3.2 開口有りシールドカバーを90度回転したモデルの検証
  3.3 電子部品のEMIの開口有りシールドカバーによる低減実験
4. まとめ


【第3編 将来技術】

第1章 ヘテロジニアス集積技術                                            (比留間健之)
1. はじめに
2. エピタキシャルリフトオフ技術
  2.1 GaAs/AlGaAsVCSELのELO技術
  2.2 GaAs/AlGaAsVCSELの信頼性


第2章 三次元光配線                                            (吉村徹三)
1. はじめに
2. 集積化3次元光配線
  2.1 概念
    2.1.1 多層OEPCB
    2.1.2 3次元積層OEMCM/LSI
    2.1.3 3D-MOSS
  2.2 コアテクノロ

3. 自己組織化3次元光配線
  3.1 45°ミラーつき光導波路フィルム
  3.2 スカート型2層コア構造をもつ45°ミラーつき光導波路フィルム
    3.2.1 SOLNETによるミラー部での漏洩・散乱光の検出
    3.2.2 構造と特長
    3.2.3 試作
  3.3 自己組織化光波ネットワーク(SOLNET)
    3.3.1 原理
  3.4 光Z-コネクションを備えた3次元光回路
    3.4.1 3次元光回路
4. 超小型光変調器/スイッチ
5. 省資源集積化プロセス
6. おわりに


第3章 プラズモンポラリトンモード金属光導波路の基礎と応用                                            (片桐祥雅)
1. はじめに 
2. 光回路微細化に向けた取り組み
3. プラズモンポラリトンモード金属線路
  3.1 自由電子プラズマ
  3.2 SPPモードの基礎理論と検証
    3.2.1 基礎理論
    3.2.2 SPPモード伝搬の特徴
    3.2.3 曲がり導波路に沿ったSPPモード伝搬実験
  3.3 超微細化に向けたSPPモードの空間的閉じ込め
    3.3.1 微細化に対する課題
    3.3.2 理論的考察
    3.3.3 回折限界を超えた微小領域におけるSPPモード伝播
4. ナノ信号源
  4.1 微小光源技術の現状
  4.2 光源微小化の課題とその解決策
5. おわりに


【第4編 応用技術】

第1章 ルータ/スイッチ                                            (西村信治)
1. 潮流
  1.1 ルータ/スイッチ大容量化のトレンド
  1.2 ルータ/スイッチアーキテクチャの光化
  1.3 光電気混載ルータ/スイッチ
2. 光電気混載ルータ/スイッチにおける光電子実装技術の課題
  2.1 外部入出力インタフェース
    2.1.1 大容量
    2.1.2 標準準拠
    2.1.3 小型化
    2.1.4 省電力化
    2.1.5 長距離接続
  2.2 内部光インターコネクション
    2.2.1 大容量
    2.2.2 省電力
    2.2.3 小型・高密度
    2.2.4 高信頼
    2.2.5 低コスト
    2.2.6 低遅延
3. まとめ


第2章 コンピュータ・システム                                            (中川茂)
1. はじめに
2. コンピュータ・システムの技術動向
3. コンピュータ・システムへ応用される光インターコネクト技術
4. 光インターコネクトがもたらす利点,解決すべき課題
  4.1 高データ伝送密度
  4.2 低消費電力
  4.3 低コスト化
5. まとめ


第3章 高精細画像伝送                                            (石塚剛)
1. はじめに
2. 高精細画像
3. 画像伝送方式
  3.1 DVI
  3.2 HDMI
4. 光画像伝送
  4.1 システム構成
  4.2 光送信モジュール
  4.3 光受信モジュール
  4.4 2000万画素伝送システム


第4章 ビジョンチップとその応用                                            (太田淳)
1. はじめに
2. ターゲットトラッキング
3. 広ダイナミックレンジ化
4. 3次元レンジファインダ
5. ID認証用ビジョンチップ
6. 医療・バイオ応用ビジョンチップ