フレキシブルプリント配線板の最新応用技術

技術者・研究者向けの専門書籍紹介

フレキシブルプリント配線板の最新応用技術

発刊日 2009年2月 ISBN978-4-7813-0080-1 C3054
体 裁 B5判,232頁

刊行のねらい
 今日の電子機器の目覚しい進歩の背景には,半導体バイスなど電子部品の進展とともに,これら電子部品を実装するプリント配線板の大きな発展がある。また,これら電子機器の多くが小型・薄型・軽量化に適したフレキシブルプリント配線板(FPC)技術に依拠してきたことを見逃すことはできない。
 フレキシブルプリント配線板は,可動部に応用できる配線材料としてばかりでなく,電子機器の筐体に合わせて屈曲させたり,折りたためるなど3次元の実装を可能にしてきた。
 FPCは,これらの特徴を生かしながら多層配線化による高密度実装,部品内蔵化による機能の集積,プリンタブルエレクトロニクスなど多くの進化をとげつつある。今やモバイル電子機器の実装基板として欠かすことのできない存在となっている。
 2011年のアナログTV放送廃止にともない,液晶テレビなどFPD市場は拡大を続けている。これらFPDを支える半導体バイスにディスプレイ駆動用IC(ドライバーIC)がある。このドライバーICを実装するCOF(Chip on Film)実装技術にも,今後はよりいっそうの技術革新が求められている。
 また,低背タンタルコンデンサ,HDDサスペンション,プリンターヘッド端末のMEMS素子から,高速高信頼性DRAMや携帯電話DSP,CCDやCMOSなどの画像素子LSIにもフレキシブルプリント配線板の微細配線加工技術の適用は進んでいる。
 こうした背景のもとに本書では,1章でフレキシブル基板適用デバイスの動向,2章でフレキシブル材料技術,3章でLSI素子バンプ技術,4章で錫ウィスカー対策の最新動向,5章でLSI素子組立技術,6章でフレキシブル配線板の市場と今後の展望を編集した。
 FPC分野は,日本が世界をリードしている技術分野である。今後もリードし続けることを念願して,本書が電子機器の開発やフレキシブル配線板事業,および部材料の事業に携わる関係会社の発展に繋がることになれば望外の幸せである。

半導体新技術研究会  代表 村上 元


書籍の内容
序章
 村上元

第1章 フレキシブル基板適用デバイスの動向
1. フレキシブル配線板の半導体素子適用最新技術(村上元)
  1.1 はじめに
  1.2 初期のTAB技術
  1.3 液晶画面の原理
  1.4 TABテープの製法
  1.5 COFの液晶表示デバイスへの適用開発
  1.6 ICとTABテープとの接続
  1.7 適用拡大が進むCOF技術
  1.8 COFと液晶パネルなどへの接続
  1.9 TABテープのDRAMバイスなどへの適用開発
  1.10 システムオンフィルムへの対応
  1.11 おわりに
2. ハードディスク用ワイヤレスサスペンション回路基板の特徴と新用途展開(表利彦)
  2.1 はじめに
  2.2 HDD用ワイヤレスサスペンション回路基板とは
  2.3 開発の背景
   2.3.1 CISFLEX(R)の構造
   2.3.2 絶縁材料(感光性ポリイミド
   2.3.3 接合技術
   2.3.4 高周波対応技術
   2.3.5 新規信号線素材と機械特性
  2.4 CISFLEX(R)技術の将来展開
3. 高密度実装対応チップコンデンサの最新技術(村上順一)
  3.1 はじめに
  3.2 タンタルコンデンサの市場
  3.3 タンタルコンデンサの最新技術動向
  3.4 下面電極タンタルコンデンサ
  3.5 まとめ
4. 多層フレキシブル配線板の最新技術(中尾知)
  4.1 はじめに
  4.2 多層フレキシブル配線板の材料
  4.3 多層フレキシブル配線板の構造
   4.3.1 スルーホール多層板
   4.3.2 ビルドアップ多層板
   4.3.3 IVH多層板
   4.3.4 中空構造多層板
  4.4 多層フレキシブル配線板の製造方法
   4.4.1 スルーホール多層板の製造方法
   4.4.2 逐次積層法によるビルドアップ多層板の製造方法
   4.4.3 一括積層法
  4.5 部品内蔵への取り組み
   4.5.1 受動部品の内蔵
   4.5.2 能動部品の内蔵
  4.6 おわりに
5. 高性能半導体パッケージ用コアレス基板への適用動向(秋本聡)
  5.1 背景
  5.2 高性能半導体パッケージ用コアレス基板
   5.2.1 構造
   5.2.2 プロセス
   5.2.3 電気特性
   5.2.4 Coreless FC-BGAパッケージの信頼性
  5.3 まとめ

第2章 フレキシブル配線の基板材料技術
1. ポリイミドエッチング技術(野上義生,小国隆志)
  1.1 はじめに
  1.2 ポリイミドエッチング加工方法
   1.2.1 機械加工
   1.2.2 レーザー加工
   1.2.3 ケミカルエッチング
   1.2.4 まとめ
  1.3 エッチング加工プロセス
   1.3.1 ドライフィルムマスク工法
   1.3.2 銅マスク工法
   1.3.3 銅マスク工法(両面エッチング
  1.4 アプリケーション例
   1.4.1 ヴィア加工
   1.4.2 HDDサスペンション加工例
   1.4.3 混在パターン一括加工
   1.4.4 液晶ポリマーへの応用
  1.5 エッチング液の物理特性とエッチング速度
  1.6 まとめ
2. FPC用特殊電解銅箔(小畠真一)
  2.1 はじめに
  2.2 電解銅箔製造方法について
  2.3 特殊電解銅箔とは
  2.4 特殊電解銅箔の歴史
  2.5 最新のFPCニーズに合わせた特殊電解銅箔の選定
   2.5.1 ファインピッチ回路形成について
   2.5.2 低反発性
   2.5.3 高耐折・高屈曲特性
  2.6 まとめ
3. 大型液晶ディスプレイ用ファインピッチCOFテープ(珍田聡)
  3.1 はじめに
  3.2 TABテープとCOFテープ
   3.2.1 TABテープ
   3.2.2 COFテープ
   3.2.3 COF用2層CCL材
   3.2.4 無電解スズめっき技術
  3.3 ファインピッチ化
   3.3.1 エッチング
   3.3.2 セミアディティブ法
  3.4 ファインピッチ化における配線形成技術以外の課題
   3.4.1 レジストパターニング
   3.4.2 シード層除去技術
   3.4.3 ファインリード検査技術
  3.5 まとめ
4. プリンタブルエレクトロニクス(川崎久之)
  4.1 はじめに
  4.2 基本プロセス
  4.3 材料
  4.4 機械・スクリーン版
  4.5 導体
  4.6 両面・多層化
  4.7 印刷受動部品
  4.8 印刷抵抗
  4.9 印刷コンデンサ
  4.10 印刷コイル
  4.11 印刷半導体,印刷発光デバイス
  4.12 まとめ

第3章 LSI素子バンプ形成技術
1. TAB技術と無電解めっきバンプ形成技術(畑田賢造)
  1.1 はじめに
  1.2 TAB技術とバンプ形成技術の動向
   1.2.1 TAB技術の用途展開
   1.2.2 実装技術の動向
   1.2.3 バンプ形成技術の動向
  1.3 TAB用無電解めっき形成技術
   1.3.1 無電解めっきプロセス
   1.3.2 バンプ特性
   1.3.3 次世代バンプ形成技術
  1.4 TAB用接合技術
   1.4.1 AuSn共晶合金接合
   1.4.2 超音波接合
   1.4.3 次世代接合技術
  1.5 まとめ
2. バンプ付きWaferのプローブ技術(江口光一)
  2.1 はじめに
  2.2 プローブカードの種類
  2.3 ボンディングパッドとプローブカー
  2.4 テストの立場から見た今後の課題
  2.5 おわりに
3. バンプ付きウェーハプローバー技術(山本聡)
  3.1 はじめに
  3.2 搬送に関する課題と対応
  3.3 個片位置決めへの対応
  3.4 処理時間冗長への対策
  3.5 プローブとプローブアライメント
  3.6 半田ボール電極に対する適正なコンタクト
  3.7 まとめ
4. バンプ付きウェハテスティング技術(中村潔)
  4.1 ウェハ検査
  4.2 コンタクトの良し悪しに大きな影響を持つプローブカードについて
  4.3 バンプに加わる針圧とは
  4.4 バンプと針の位置合わせ
  4.5 針先の研磨
  4.6 バンプ形成不良に対する対応
  4.7 現在のコンタクト技術と将来の展望

第4章 非鉛化に伴うSnウィスカー対策と最新動向
1. Snウィスカーによる機器故障の歴史(菅沼克昭)
  1.1 スズウィスカーによる機器故障の歴史
  1.2 1950年代
  1.3 近年のウィスカーを原因とする故障の報告
   1.3.1 レーザーダイオードのダイアタッチで生じたウィスカー
   1.3.2 亜鉛鋼板の亜鉛めっきで生じたウィスカー
   1.3.3 衛星や航空機のウィスカーによる機器故障
   1.3.4 スペースシャトルのフライトコントロールボックスのウィスカーによる故障
   1.3.5 原子炉の緊急シャットダウンを引き起こしたウィスカーによる故障
   1.3.6 時計の故障
  1.4 おわりに 
2. 外部応力型Snウィスカ発生要因とメカニズムの理解(水口由紀子,村上洋介,冨谷茂隆,板橋昌夫,浅井正,気賀智也)
  2.1 はじめに
  2.2 ウィスカ発生の要因
  2.3 ウィスカ発生メカニズム解明のための解析
   2.3.1 ウィスカ試験方法
   2.3.2 ウィスカ成長挙動の観察
   2.3.3 EBSP(Electron Back-Scattering Pattern,後方散乱電子回折像)法による結晶方位解析
   2.3.4 TEM(Transmission Electron Microscopy,透過電子顕微鏡法)による解析
  2.4 ウィスカ対策めっき
  2.5 おわりに
3. 耐ウィスカ性Snめっき,Sn-Agめっき(君塚亮一,時尾香苗)
  3.1 はじめに
  3.2 ウィスカ発生メカニズム
  3.3 従来のウィスカ抑制技術と新ウィスカ抑制Snめっき「ウィスカバスター」プロセスの比較
  3.4 ウィスカ抑制のメカニズム
   3.4.1 「ウィスカバスター」プロセスの特徴
   3.4.2 ウィスカ抑制ポイントについて
  3.5 「ウィスカバスター」プロセスの被膜特性について
   3.5.1 はんだ濡れ性
   3.5.2 めっき被膜中のC(炭素),S(硫黄),N(窒素)共析量
  3.6 Sn-Agめっきの被膜特性について
   3.6.1 SEIIプロセスのウィスカ抑制効果
   3.6.2 はんだ濡れ性
  3.7 おわりに
4. ウィスカー抑制めっき(俵文利)
  4.1 はじめに
  4.2 ウィスカーの発生要因
  4.3 嵌合によるウィスカーの発生と対策
  4.4 外圧ウィスカーの抑制策
  4.5 Sn-Ag複合めっきの抑制方法―新めっきプロセスのウィスカー対策
   4.5.1 Ag3 Snのネットワーク効果(応力緩和)
   4.5.2 スズめっき工程でのAgの分散とスズめっき膜の成長
   4.5.3 応力に対する効果
   4.5.4 断面構造について
  4.6 Sn-Agの抑制効果
  4.7 おわりに

第5章 LSI素子組立技術
1. バンプ平坦化技術(森俊)
  1.1 はじめに
  1.2 バイト切削装置プロセス
  1.3 アプリケーション
   1.3.1 液晶ドライバIC
   1.3.2 3次元積層技術に使用するCuフィラーの平坦化
   1.3.3 その他のアプリケーション
  1.4 おわりに
2. リードボンディング技術(柴田明司)
  2.1 はじめに
  2.2 リードボンディングを用いたパッケージ
  2.3 TABテープの製造方法とリード形状
  2.4 銅箔とめっき
  2.5 接合部の形状と信頼性
  2.6 高速信号伝送に対応した両面配線基板
  2.7 今後の技術動向
3. アウターリードボンディング技術(南博文)
  3.1 はじめに
  3.2 TFT LCDパネル製造プロセスとTCP方式モジュール組立プロセス
   3.2.1 アレイプロセス
   3.2.2 カラーフィルタプロセス
   3.2.3 セル製造プロセス
   3.2.4 モジュール組立プロセス
  3.3 アウターリードボンディング
   3.3.1 端子クリーナ
   3.3.2 ACF貼り付け
   3.3.3 TCP仮圧着
   3.3.4 TCP本圧着
  3.4 アウターリードボンディング装置
  3.5 おわりに
4. 異方性導電接着剤(はんだ粒子接続)技術(本村耕治)
  4.1 はじめに
  4.2 ESC工法の概要
  4.3 ESC5(th)工法
  4.4 M/M-ESC工法
  4.5 おわりに

第6章 市場と今後の展望
1. 中小型FPD用ドライバICの展望(釘本正義)
  1.1 はじめに
  1.2 携帯電話用TFT-LCDドライバICについて
   1.2.1 携帯電話用TFT-LCDドライバICの変遷
   1.2.2 1chip携帯電話用TFT-LCDドライバICの特徴
    (1) 高耐圧・微細ハイブリッドプロセスの採用
    (2) 多チャネル出力
    (3) COG実装
  1.3 携帯電話用TFT-LCDの今後の展望
   1.3.1 「高解像度化」について
    (1) アスペクト比のワイド化(4:3から16:9のワイドフォーマットへ)  
    (2) フルカラー化(6bit/26万色表示から8ビット/1600万色表示へ)
   1.3.2 TFT-LCDドライバICでの「高解像度化」対応技術
    (1) 表示用RAMシュリンク技術  
    (2) 新I/F技術
   1.3.3 「小型化」について
  1.4 まとめ  
2. フレキシブルプリント配線板と基板材料の市場(小林敏幸)
  2.1 プリント配線板(PWB)の市場
  2.2 ビルドアップ多層プリント配線板の市場
  2.3 フレキシブルプリント配線板(FPC)の市場
   2.3.1 概要
   2.3.2 市場動向
   2.3.3 企業動向
   2.3.4 チップオンフィルム(COF:Chip on film)
   2.3.5 2層無接着剤フレキシブル銅張り積層板(2層CCL)
  2.4 FPC・COF・TAB基材ポリイミドフィルムの市場
   2.4.1 概要
   2.4.2 市場動向
   2.4.3 企業動向