色素増感太陽電池研究者のための色素データ集

技術者・研究者向けの専門書籍紹介

色素増感太陽電池研究者のための色素データ集

刊行にあたって
 地球温暖化対策の観点から,自然エネルギーの利用拡大は待ったなしの状況にある。

 そのような中で,色素増感太陽電池は低コストな次世代の発電デバイスとして各方面から注目を浴びている。本太陽電池のみが持つカラフルな意匠性,透明性,フレキシビリティーといった多くの特色をうまく活かして応用展開していけば,単なる発電素子という立場から,やがては未来のエネルギーを支える産業へと規模が拡大していくのも遠い先のことではないと思われる。実用化し,産業として成り立っていくためには,更なる高効率化・耐久性向上が求められている。そのためには常に新しい材料開発が必要であり,とりわけ色素が果たす役割は大きい。

 本書は,これまでに発表されている色素増感太陽電池用色素67種類について,分子構造や光吸収特性に関わる基礎的物性をまとめたものである。

 データ収集とHOMO/LUMOエネルギー計算・軌道の可視化に際しては藤沢氏の全面的な協力を得た。

 また,単に数値を並べるだけではなく,各種色素開発の変遷については,この分野の最前線に立つ堀内氏より総論を解説頂いた。初期の歴史的な取り組みから始まり,近年性能向上が著しい有機色素の開発に至るまでを余すとこなく,一挙に書ききって頂いた。

 今後さらにデータベースを充実させ,色素増感太陽電池研究の発展に貢献が果たせれば幸いである。

 最後に本書の出版に際して,データ等をご提供頂いた皆様にこの場を借りて感謝致します。

2008年7月末
著者を代表して 内田聡

書籍の内容

【総論編】
色素増感太陽電池の研究動向

1. はじめに
2. 増感色素について
3. キサンテン系色素
4. ペリレン型増感色素
5. 銀塩写真増感色素
6. クマリン型色素
7. ポリエン色素
8. ポルフィリン型色素
9. フタロシアニン型色素
10. ポリマー型色素
11. インドリン型色素
12. チアジアゾール
13. Ar部位の検討
14. インドリン型色素の長波長化
15. D149,D150の特性
16. 各色素のサイクリックヴォルタンメトリー
17. D149とD102のCV測定結果の比較
18. 各色素のTG-DTAの測定結果
19. インドリン型のまとめ
20. D-205について
21. インドリン型色素の応用例
22. 固体化の検討
23. おわりに


【色素データ編(収録色素名一覧)】
Anthocyanine
N3/N621/N712/N719/N749/N820/N823/N845/N886/N945
K9/K19/K23/K51/K60/K66/K69/K73/K77
Z316/Z907/Z907Na/Z910
WMC217/WMC234/WMC236/WMC239/WMC273
CYC-B1
Perylene
MKX-?
NKX-2311/NKX-2510/NKX-25693d/NKX-2586/NKX-2587/NKX-2677/NKX-2697/NKX-?/NKX-2753/NKX-2883
EosinY
Mercurochrome
MK-2
D77/D102/D120/D131/D149/D150
HRS-1
JK-1/JK-2
D190/D205
ZnTPP
H2TC1PP/H2TC4PP
PhthalocyanineDye/PhthalocyanineDye/Phthalocyanine Dye(TT-1)
PendanttypePolymer
Polythiophene Dye(P3TTA)
Cyanine Dye(C1-D)/CyanineDye(SQ-3)/CyanineDye(B1)