電気自動車のためのワイヤレス給電とインフラ構築

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

電気自動車のためのワイヤレス給電とインフラ構築

監 修 堀洋一、横井行雄
発刊日 2011年3月 ISBN978-4-7813-0305-5
体 裁 B5判,約300頁

刊行にあたって

 電気自動車(EV)の普及という面で2010年は、三菱自動車の「i-MiEV」の一般向け販売に始まり、年末には、日産の「LEAF」の発売、米国でのFord「VOLT」の発売開始があいつぎ、一方中国においては上海万博でキャパシタ・Li電池バスの運行が行われ、本格的なEV時代の幕開けの様相を呈した年になった。
 一方で電気自動車の普及に向けての課題として、電力をどのような方法で供給し、貯め、有効に使うかという点があげられるが、最大の問題は航続距離の短さにある。そして、高性能電池を制するものがEV化したクルマ社会を制するとまで言われる。しかし、500kmを走る高性能電池は本当に必要だろうか。電気自動車が大きなエネルギーを抱えて走るのでは、そのコンセプトはガソリン車と同じである。高性能電池開発に注がれている情熱の数パーセントを使い、電力インフラから直接エネルギーを供給する最後の数メートルに着目すれば、未来のクルマは電池のもつ様々なデメリットから解放されるであろう。

 将来のクルマが電気モータで動き電力インフラにつながることは確実である。もし電気自動車が電力インフラから直接エネルギーをもらうことができれば、航続距離とは「電力インフラから離れても安心できる距離」ていどの意味しかもたなくなる。そして少なくとも都市部では、「ちょこちょこ充電しながら走る電車のようなクルマ」が普通になり、そこでは「電池からキャパシタへ」の移行と「ワイヤレス給電」が実現される。さらに、電気モータで走るクルマでは、モータの優れた制御性を生かした「モーション制御」が当たり前のように適用され、クルマの使うエネルギーはさらに少なくなり環境負荷を低減させるだろう。

 電力は現状ではケーブルを介して電力インフラから供給を受けているが、ここ数年の間にワイヤレス給電技術開発が格段の進展を見ている。小型機器については既にWPC(Wireless Power Consortium)が5W以下の給電についての規格を公開した。一方で、電気自動車への給電については本年から自動車技術会に「ワイヤレス給電技術部門委員会」(委員長 堀洋一)が設置されオールジャパンのメンバーを網羅し活動を開始している。

 このような時期に、ワイヤレス給電から電気自動車の普及にむけたインフラ構築、更には低炭素な未来社会まで網羅した本書が発刊されるのは時宜を得たものである。

(本書「まえがき」より抜粋)
2011年3月 堀洋一、横井行雄


書籍の内容

総論―電気自動車普及に向けた動き―(横井行雄)

第1編 ワイヤレス給電
序論―ワイヤレス給電―
松木英敏)

【基礎】
第1章 ワイヤレス給電の基礎
(小紫公也)
  1 はじめに
  2 ギャップを有する電磁誘導給電
  3 磁気共鳴給電
   3.1 基礎原理とインピーダンス整合
   3.2 高Q値コイル
   3.3 障害物と漏れ電磁界
  4 電磁ビーム伝送給電
   4.1 ガウシアンビーム
   4.2 マイクロ波ビーム給電
   4.3 レーザービーム給電

【電気自動車への応用】
第2章 電気自動車とワイヤレス給電および電磁共鳴技術
(居村岳広)
  1 電気自動車へのワイヤレス給電の需要
  2 電気自動車へのワイヤレス給電の発展
  3 電気自動車へのワイヤレス給電の技術的課題
  4 電磁共鳴技術
   4.1 磁界共鳴技術の基本特性
   4.2 磁界共鳴技術の等価回路
   4.3 中継コイルと等価回路
第3章 電磁共鳴方式によるワイヤレス給電(横井行雄)
第4章 電磁誘導方式による電気自動車向けワイヤレス給電(郄橋俊輔)
  1 はじめに
  2 電磁誘導方式の原理
  3 電磁誘導方式の開発
  4 電動バスによる実証走行試験
  5 おわりに
第5章 電気自動車向けワイヤレス給電(阿部 茂)
  1 はじめに
  2 電気自動車向けワイヤレス給電の特徴
  3 一次直列二次並列コンデンサ方式
   3.1 等価回路とコンデンサ値の決定法
   3.2 理想変圧器特性とトランス効率
  4 角形コア両側巻トランスと円形コア片側巻トランス
  5 1.5kW角形コア両側巻トランスの特性
   5.1 トランス仕様
   5.2 標準ギャップ長70mmでの給電実験
   5.3 標準ギャップ長140mmでの特性
  6 二次電池充電実験
  7 おわりに
第6章 マイクロ波ワイヤレス給電(安間健一)
  1 開発背景,目的について
  2 無線充電システム原理
  3 本システムの設備概要
  4 本システムの特長・利点
  5 現在の開発状況
   5.1 基本技術の研究
    5.1.1 送受電効率の改善
    5.1.2 送電器価格の低減
    5.1.3 車両への影響遮断
    5.1.4 安全性確保
    5.1.5 電気自動車への充電実験
   5.2 実用化技術の研究
  6 課題と今後の展望
   6.1 送受電効率
   6.2 耐運用環境性能
第7章 電気自動車用マイクロ波ワイヤレス給電(篠原真毅)
  1 はじめに
  2 マイクロ波無線送電の効率
  3 マイクロ波を用いた電気自動車無線充電―静止時充電―
  4 マイクロ波を用いた電気自動車無線充電―移動中充電―
  5 まとめ

【拡がるワイヤレス応用】
第8章 医療・民生家電機器とワイヤレス給電
(居村岳広)
  1 医療・民生家電機器へのワイヤレス給電の需要
  2 医療・民生家電機器へのワイヤレス給電の発展
  3 医療・民生家電機器へのワイヤレス給電の技術的課題
第9章 モバイル機器におけるワイヤレス給電の適用手法(竹野和彦)
  1 概要
  2 ワイヤレス伝送の適用事例
  3 適用の課題
   3.1 位置と効率の関係
   3.2 充電場所と効率の関係
   3.3 充電時の放射雑音
   3.4 電池への影響について
  4 まとめ
第10章 携帯用電子機器のワイヤレス給電技術(安倍秀明)
  1 はじめに
  2 電磁誘導給電の訴求ポイントと実用化商品
  3 分離着脱式トランスと非接触給電システムの等価回路
  4 実用化のための問題点と課題
  5 基本技術
   5.1 分離着脱式トランスの結合係数増大技術
   5.2 負荷整合技術
   5.3 ソフトスイッチング回路
  6 実用技術
   6.1 コールドスタンバイと本体検知
   6.2 金属異物の加熱対策
   6.3 電力伝送と信号送受信機能を持つ非接触充電システム
  7 出力安定化技術
  8 超薄型平面コイルと薄型充電器による面給電システム
  9 おわりに
第11章 医療機器用充電システム(佐藤文博)
  1 はじめに
  2 人工臓器へのワイヤレス電力伝送
  3 治療デバイスへのワイヤレス電力伝送
  4 計測機器へのワイヤレス電力伝送(ワイヤレス通信)
第12章 携帯デバイス向けワイヤレス充電国際規格の標準化(黒田直祐)
  1 はじめに
  2 標準化はなぜ必要か?
   2.1 携帯デバイス用充電器の共通化
   2.2 汎用ワイヤレス充電器普及への課題
   2.3 標準化による充電インフラの構築
   2.4 結果から手段を導く
   2.5 規格策定のバイブル
  3 ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)について
   3.1 WPCの組織
   3.2 WPC規格のロゴ “qi”(チー)
   3.3 これまでに発行された規格書
   3.4 ライセンスについて
  4 Volume-1規格の概要
   4.1 なぜ近接電磁誘導方式を選んだか?
   4.2 コイルの位置合わせ(カップリング)
   4.3 設計自由度と互換性
  5 WPC規格充電システムの概要
   5.1 基本システム構成
   5.2 送受電部の回路構成と電力の受渡し
   5.3 トランスミッターの種類
   5.4 レシーバーの共振回路
  6 電力の制御と通信
   6.1 電力制御のパラメーターとアルゴリズム
   6.2 負荷変調による通信
   6.3 制御データのエンコーディング
   6.4 4つの制御ステップ
  7 「規格書Part-2」パフォーマンスに関する要求
   7.1 供給保障電力
   7.2 温度上昇
   7.3 ユーザーインターフェース
  8 「規格書Part-3」規格適合認定試験について
   8.1 認定試験項目の概要
   8.2 規格適合認定試験のプロセスとライセンス製品の販売
   8.3 テストツール
  9 おわりに

【電波利用の現状と課題】
第13章 人体への電磁波の影響と防護
(多氣昌生)

第2編 電気自動車普及のためのインフラ構築

【充電インフラ構築および取り組み・サービス】
第1章 充電インフラ整備の現状と標準化動向(丸田 理)
  1 はじめに
  2 充電インフラの開発動向
   2.1 チャデモ方式の概要
   2.2 安全性確保のしくみ
  3 充電方式の標準化動向
   3.1 米国の状況
   3.2 欧州の状況
   3.3 中国の状況
  4 充電インフラのあり方
  5 充電電力需要の影響
  6 チャデモ協議会の概要
  7 充電インフラの将来像
第2章 充電インフラシステムサービス「smart oasis(岩坪 整)
  1 はじめに
  2 充電インフラシステムサービスとは
   2.1 充電器の現状
   2.2 給電スタンド
    2.2.1 充電器の種類
    2.2.2 通信モジュール
   2.3 通信ネットワーク
   2.4 サービス管理システム
    2.4.1 「給電スタンド」の利用条件設定
    2.4.2 「給電スタンド」と地図情報の連携
    2.4.3 満空情報の提供
    2.4.4 障害検知・障害通知
    2.4.5 携帯による予約管理
    2.4.6 課金・決済処理
    2.4.7 コールセンターサービス
   2.5 その他の連携
    2.5.1 カーナビ連携
    2.5.2 エコポイントとの連携
  3 今後の展開
第3章 サービスステーションにおける電気自動車の充電インフラ(鈴木 匠)
  1 背景
  2 課題
   2.1 SSにおけるEVの急速充電サービスの提供
   2.2 SSにおけるEVの急速充電中の付加サービスの提供
   2.3 SSを拠点としたEVによる有人型カーシェアリングサービスの提供
  3 モニターユーザー調査
   3.1 モニターユーザー調査のための急速充電器の設置
   3.2 モニターユーザーの設定
   3.3 モニターユーザーによる利用
   3.4 モニターユーザーからの情報の収集
  4 実証事業の成果
   4.1 充電インフラのビジネスモデルについて
    4.1.1 SSにおけるEVの急速充電サービスの提供
    4.1.2 SSにおけるEVの急速充電中の付加サービスの提供
    4.1.3 SSを拠点としたEVによる有人型カーシェアリングサービスの提供
   4.2 充電設備について
第4章 急速充電器の開発・普及状況(鶴留寿英、近藤信幸)
  1 急速充電器
   1.1 電気自動車と充電器
   1.2 急速充電器と車載電池
   1.3 DCチャージャ-(直流給電)
   1.4 車輌と充電器間の充電プロトコル
  2 急速充電器に求められる開発要件
   2.1 急速充電器の目的
   2.2 充電プロトコル
   2.3 安全への考慮
  3 アルバックの急速充電器
  4 普及状況と普及の為に
  5 配電網への影響
第5章 パーク&チャージ―パーク24による充電設備の展開―(青木新二郎)
  1 パーク&チャージの開始:第二次EVブーム
   1.1 第二次ブームの問題点
   1.2 パブリック充電機器開発実験
  2 第三次EVブーム
   2.1 第三次ブームの特徴:インフラ面から見た第二次ブームとの違い
  3 充電インフラの整備:パーク24グループの取り組み
   3.1 東京電力との実証実験
   3.2 自治体駐車場の管理・充電機能設置
   3.3 EVカーシェアリング等の実験
   3.4 パーク&チャージの展開と充電機能の検証
  4 充電インフラ整備における課題
   4.1 充電設備の使い勝手の改善
   4.2 クルマとの協調
   4.3 認証・課金の在り方
  5 未来へ向けて
   5.1 楽しさ―加速性能
   5.2 いままでにない動き
   5.3 パーソナルモビリティから自動走行へ
第6章 立体駐車場における充電インフラ(plug-in リフトパーク)(藤川博康)
  1 はじめに
  2 充電機能
   2.1 パレットへの電力供給方法
   2.2 充電方式
   2.3 充電分電盤
  3 充電操作フロー
  4 充電インフラにおける立体駐車場特有の問題
   4.1 充電電源の確保
   4.2 構造上の問題
  5 今後の開発テーマ
  6 おわりに
第7章 スマート充電システム(福田博文)
  1 背景
  2 事業内容
   2.1 ピーク時の負荷を平準化
   2.2 ニーズに合わせた充電パターン
    2.2.1 特徴
    2.2.2 メリット
   2.3 夜間電力を活用
  3 構成
  4 実際の充電例
  5 利用シーン
  6 事務所の駐車場におけるビジネスモデル検討
第8章 カーシェアリング(高山光正)
  1 はじめに
  2 カーシェアリングとは
  3 利用方法
  4 カーシェアリングのCO2抑制効果
   4.1 無駄な自動車利用の抑止
   4.2 モーダルシフト
   4.3 低公害車の利用
  5 カーシェアリングとEV
  6 利用者の評価
   6.1 EV
   6.2 急速充電器
  7 EVの運用事例
   7.1 EVによるカーシェアリング
   7.2 公用車の共同利用
  8 電気自動車の事業的課題
  9 おわりに

【自動車メーカーとインフラ】
第9章 三菱自動車工業のEV普及に向けた取り組み
(古川信也)
第10章 トヨタ自動車プラグインハイブリッド普及に向けた取り組み(朝倉吉隆)
  1 ハイブリッド車開発への取り組み
   1.1 自動車を取り組む環境
   1.2 トヨタハイブリッドシステム
  2 プラグインハイブリッド車
   2.1 プラグインハイブリッド
   2.2 プラグインハイブリッド車の排出ガス・燃費試験方法
   2.3 プリウスPHVの概要
  3 普及への取り組み状況

【地域・自治体での取り組み】
第11章 大丸有地区における環境交通導入の取り組みについて
(水口雅晴)
  1 はじめに
  2 この街の交通の出発点とその後
  3 物流から環境交通実験へ
  4 実験のポイント
  5 EVカーシェアリング実験
  6 EVコミュニティタクシー
  7 社会実験の成果としてコミュニティタクシーが運行スタート
  8 EV運転による急速充電器活用(東京・大手町〜横浜・みなとみらい)
  9 今後の充電インフラ整備について
  10 おわりに
第12章 電気自動車(EV)普及に向けた神奈川県の取り組み(斉藤 仁)
  1 はじめに
  2 EV導入に対する補助
  3 有料駐車場及び高速料金の割引
  4 最近の主な取組
   4.1 太陽光発電による充電システム稼働
   4.2 EVシェアリングモデル事業
  5 「EV充電ネットワーク」の構築
  6 「EV充電ネットワーク」の具体的な取組み
  7 充電インフラの整備
  8 充電インフラ情報検索WEBサイト開設
  9 「EVサポートクラブ」の設立
  10 神奈川県における新たな取組み
   10.1 「地球と人に優しい」かながわEVタクシープロジェクト
   10.2 箱根EVタウンプロジェクト
  11 その他の取組み
第13章 ハイブリッド・シティとよたの取り組み(宇佐美由紀)
  1 はじめに
  2 クルマのまちの課題
  3 交通まちづくりにおける「共働」
  4 クルマのまちならではの「先進的な交通まちづくり」
   4.1 PHV導入と充電施設の整備
   4.2 PHV選定理由
   4.3 充電施設の配置
   4.4 充電施設設計コンセプト
   4.5 充電施設概要
   4.6 充電システムの特徴
  5 普及啓発活動
  6 地方都市型低炭素社会システムの取組みを世界へ
  7 今後の取組みと課題
  8 おわりに

第3編 電気自動車が実現する低炭素な未来社

第1章 スマートグリッドの展開(荻本和彦)
  1 エネルギー技術戦略
   1.1 超長期エネルギー技術ビジョン
   1.2 エネルギー技術戦略マップ
  2 再生可能エネルギー発電導入と電力需給の長期的課題
   2.1 電力システムの展望
   2.2 再生可能エネルギーの発電特性とならし効果
   2.3 電力需給への影響
   2.4 柔軟な需給調整に向けた系統および需要での取組み
  3 集中/分散のエネルギーマネジメントの協調
   3.1 需要の能動化と分散エネルギー貯蔵
   3.2 分散エネルギーマネジメントとスマートグリッド
   3.3 モデル解析例
  4 電力システムのスマート化の展開
   4.1 系統発電技術
   4.2 電力システムの運用技術
   4.3 スマートグリッドへの展開
第2章 スマートグリッドと電気自動車(荻本和彦)
  1 スマートグリッドと電気自動車
  2 電気自動車の充電の電力システムに関する課題
  3 電気自動車の充電調整(G2V)
   3.1 戸建て住宅での電気自動車充電
   3.2 集合住宅、商業施設などでのEV充電
   3.3 多数台のEV充電
  4 電気自動車の充放電制御(V2G)とスマートグリッドへの適用の将来

第3章 電気自動車に始まる二次電池の普及と環境対応型社会システムの構築
―沖縄におけるグリーン・ニューディールプロジェクト―(田中謙司)
  1 はじめに
  2 沖縄グリーン・ニューディールプロジェクト
  3 レンタカーへのEV導入モデル
  4 充電シミュレーションに基づく配置法
  5 車載用二次電池の定置再利用モデル
  6 おわりに
第4章 パーソナルモビリティ・ビークル(須田義大)

酸化亜鉛の最先端技術と将来

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

酸化亜鉛の最先端技術と将来

監 修 山本哲也
発刊日 2011年1月 ISBN978-4-7813-0320-8
体 裁 B5判,287ページ


刊行にあたって
 酸化亜鉛産業の基礎は、19世紀、フランスやアメリカにおいて築かれ、蛍光灯やテレビの蛍光体フェライト磁石などに使われてきた。本書は、この歴史ある材料の「確立された特性」、「確立されつつある特性」「未開拓の特性」について、基礎から産業応用、またその両面において確実な前進を遂げるべく、目的をもって編んだものである。
 材料物性の理解から始まって、具体的な応用に至る研究は、長期間に亘る。それ故、それに挑む研究者には「基礎」から「応用」へ、あるいは「応用」から「基礎」および「経験を科学する」自己検証を経る総合的な研究が必要である。本書には、こうした総合的研究に基づく鋭敏な直観力や創見が全てのページに散りばめられている。
 本書をきっかけに、改めて基礎研究及び応用研究が展開・推進されることを強く願うものである。

「はじめに」より抜粋、一部改変)

書籍の内容

第1章 ZnOの基礎データ
                                    (花田 貴)
1 結晶構造
2 ZnO系混晶の格子定数とバンドギャップ
3 歪と分極
4 電子構造

第2章 単結晶基板と微粒子
1 単結晶基板
  1.1 リチウムフリーZnO単結晶作製(福田承生)
    1.1.1 はじめに
    1.1.2 結晶育成条件
    1.1.3 育成された結晶の特性
    1.1.4 おわりに

  1.2 ノンポーラZnO単結晶育成技術およびその評価(鈴木崇雄、佐々木迅人)
    1.2.1 はじめに
    1.2.2 水熱合成法によるノンポーラZnO単結晶育成
    1.2.3 ノンポーラZnO単結晶の評価
    1.2.4 おわりに

  1.3 In等ドープZnO単結晶作製(加納正孝、若宮 章、D.Ehrentraut、福田承生)
    1.3.1 はじめに
    1.3.2 水熱合成法による結晶育成
    1.3.3 水熱合成法におけるドーピング方法
    1.3.4 結晶の評価
    1.3.5 おわりに

2 微粒子(機能材料への応用)(山本泰生)
  2.1 粉末の製法と特徴
  2.2 導電性ZnO粉末の比抵抗
  2.3 導電性ZnOの点欠陥
  2.4 導電性ZnO粉末の分光反射率
  2.5 導電性ZnO粉末の分散
  2.6 導電性ZnO粉末の塗膜
  2.7 導電性ZnOのドライ製膜
  2.8 おわりに

3 微粒子(化粧品への応用)(勝山智祐)
  3.1 はじめに
  3.2 透明性に優れた微粒子酸化亜鉛
    3.2.1 開発の背景
    3.2.2 紫外線防御剤としての評価
    3.2.3 アルカリ条件の最適化例
    3.2.4 微粒子酸化亜鉛まとめ
  3.3 皮脂固化作用と光学特性を併せ持つ複合粉末の開発
    3.3.1 開発の背景
    3.3.2 試料の合成・評価
  3.4 肌荒れ改善効果をもたらす酸化亜鉛複合粉体
    3.4.1 開発の背景
    3.4.2 肌荒れ改善のメカニズムの解明
    3.4.3 UK活性のコントロール
    3.4.4 肌荒れ改善複合化粉体の開発
  3.5 酸化亜鉛をめぐる最近の動向
  3.6 まとめ

第3章 薄膜成長
1 単結晶薄膜成長技術(柴田 肇、反保衆志、前島圭剛、松原浩司、山田昭政、石塚尚吾、牧田紀久夫、小牧弘典、古江重紀、仁木 栄)
  1.1 はじめに
  1.2 高品質なエピタキシャル単結晶薄膜成長技術
  1.3 ZnOの極性制御技術
  1.4 Zn1−xMgxO混晶成長技術
  1.5 電子デバイスへの応用
  1.6 2次元電子ガスの生成機構
  1.7 光学的性質
  1.8 まとめと今後の展望

2 多結晶薄膜(南 内嗣)
  2.1 はじめに
  2.2 多結晶ZnO系透明導電膜の成膜技術
  2.3 マグネトロンスパッタ製膜技術
    2.3.1 基板上での抵抗率分布の起源
    2.3.2 基板上での抵抗率分布の改善
  2.4 多結晶薄膜の電気的・光学的特性
  2.5 おわりに

3 薄膜成長機構(藤村紀文)
  3.1 まえがき
  3.2 多結晶薄膜の形成過程
  3.3 薄膜のエピタキシャル成長機構
  3.4 ZnOの薄膜成長
    3.4.1 薄膜の形態や配向制御の基礎
    3.4.2 ZnO薄膜の自己配向(self-texture)制御
    3.4.3 ZnOエピタキシャル膜の面内配向
  3.5 おわりに

4 新規薄膜成長法ミストCVD(藤田静雄)
  4.1 ミストCVD法とは
    4.1.1 ミストCVD法の意義
    4.1.2 ミストCVD法の概要
    4.1.3 バンドギャップエンジニアリングとドーピング
    4.1.4 ミストCVD装置
  4.2 ZnO薄膜成膜への応用
    4.2.1 ガラス基板上多結晶ZnO薄膜
    4.2.2 サファイア基板上単結晶ZnO薄膜
    4.2.3 ZnO基板上単結晶ZnO薄膜
    4.2.4 ZnO薄膜の低温成膜
  4.3 各種薄膜成膜への応用
    4.3.1 酸化物薄膜成膜への応用
    4.3.2 有機薄膜成膜への応用

第4章 透明導電膜
1 液晶ディスプレイ用透明導電膜(山本哲也、牧野久雄、山本直樹
  1.1 はじめに
  1.2 液晶デイスプレイ用透明導電膜:共通電極への応用
    1.2.1 要求される電気特性と光学特性:制御因子
    1.2.2 製造工程中で求められる耐久性
  1.3 多結晶構造におけるキャリアのホール移動度の制限因子
  1.4 加工技術:エッチング技術とフォトリソグラフィー技術
  1.5 まとめ

2 ZnO系混晶材料を用いた透明導電膜の開発(柴田 肇、前島圭剛、松原浩司、反保衆志、山田昭政、石塚尚吾、牧田紀久夫、小牧弘典、古江重紀、仁木 栄)
  2.1 はじめに
  2.2 CIGS系薄膜太陽電池の概要と現在の課題
  2.3 CIGS系薄膜太陽電池ヘテロ接合界面におけるバンド不連続
  2.4 Zn1−xMgxO系透明導電膜をCIGS系薄膜太陽電池へ応用する意義
  2.5 PLD法によるZn1−xMgxO系透明導電膜の堆積
  2.6 スパッタ法によるZn1−xMgxO系透明導電膜の堆積
  2.7 まとめ

第5章 発光ダイオード
                                    (加藤裕幸)
1 はじめに
2 基板の選択と結晶極性
3 伝導性制御
  3.1 n型ZnO結晶の作製
  3.2 p型ZnO結晶作製への取組み
4 バンドギャップ制御
5 LEDデバイス
6 まとめ

第6章 電子・光デバイス
1 薄膜トランジスタとその応用(古田 守、平尾 孝)
  1.1 薄膜トランジスタとその構造
  1.2 ディスプレイ駆動用薄膜トランジスタの要求性能
  1.3 酸化物薄膜トランジスタ技術
  1.4 酸化亜鉛薄膜トランジスタプロセス
  1.5 酸化亜鉛薄膜形成技術と酸素分圧が結晶性に及ぼす影響
  1.6 酸化亜鉛薄膜形成時の酸素分圧がTFT特性に及ぼす影響
  1.7 ZnOTFTの応用
    1.7.1 ZnOTFTアクティブマトリックス駆動LCD
    1.7.2 ZnOTFT画像読み出し回路による高精細撮像素子

2 バイオセンサ(小池一歩、尾形健一、佐々誠彦、矢野満明)
  2.1 バイオセンサ材料としての酸化亜鉛の特徴
  2.2 バイオセンサとは
  2.3 電流検出型と電位検出型のバイオセンサ
  2.4 ZnOを用いたグルコースセンサ
    2.4.1 ZnOナノロッドを用いた電流検出型グルコースセンサ
    2.4.2 ZnO系SGFETを用いた電位検出型グルコースセンサ
  2.5 まとめと今後の展望

3 紫外線センサ(遠藤治之)
  3.1 はじめに
    3.1.1 酸化亜鉛
    3.1.2 紫外線
    3.1.3 受光デバイス用材料としての酸化亜鉛
    3.1.4 従来の紫外線センサ
  3.2 実験
    3.2.1 ZnO紫外線センサの基本構造と動作原理
    3.2.2 Pt/ZnOショットキー接触
    3.2.3 素子製作
  3.3 実験結果および考察
    3.3.1 電流―電圧特性
    3.3.2 容量―電圧特性の評価
    3.3.3 分光感度特性
  3.4 おわりに

第7章 電気・光・スピン特性の制御と未来への展開
1 ドーピング制御とその展開(山本哲也
  1.1 はじめに
  1.2 ドナー・アクセプタイオン化エネルギー
  1.3 n型ドーピング
    1.3.1 ドーパント選択の基本指針と過剰電子状態:局在,非局在
    1.3.2 n型ドーピング事例:各ドーピング効果の共通点・相違点および特徴
    1.3.3 p型ドーピングはいかに
  1.4 おわりに

2 電気特性制御:超低抵抗への挑戦(鈴木晶雄)
  2.1 はじめに
  2.2 PLD法による低抵抗ZnO系透明導電膜の作製
    2.2.1 ZnO系透明導電膜の低抵抗化の限界
    2.2.2 超薄膜領域(50nm以下)における低抵抗化の限界
    2.2.3 低温基板上(有機基板)における低抵抗化の限界
    2.2.4 積層型透明導電膜における低抵抗化の限界
    2.2.5 ワイドスペクトルレンジを有するACZOおよびTZO透明導電膜における低抵抗化の限界
    2.2.6 ダブルテクスチャー構造を有するACZO透明導電膜における低抵抗化の限界
  2.3 おわりに

3 電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマプロセス(赤澤方省)
  3.1 はじめに
  3.2 ECRスパッタ法
  3.3 アンドープZnO膜
    3.3.1 内因性ドナーの種類
    3.3.2 ECRスパッタによるZnO透明導電膜の形成と基本特性
  3.4 GaドープZnO(GZO)膜
    3.4.1 コンビナトリアル同時スパッタ
    3.4.2 ECRスパッタによるGaドープZnO透明導電膜の形成
  3.5 アルゴンプラズマ照射による改質
    3.5.1 ECRプラズマの特徴
    3.5.2 ZnO膜へのアルゴンプラズマ照射効果
    3.5.3 GZO膜へのアルゴンプラズマ照射効果
  3.6 アニール耐性比較
  3.7 おわりに

4 計算機ナノマテリアルデザインによるスピントロニクス(吉田 博、佐藤和則、豊田雅之)
  4.1 酸化物ナノスピントロニクス
  4.2 計算機ナノマテリアルデザイン(CMD)
  4.3 計算手法について
  4.4 強磁性のメカニズム―二重交換相互作用,p-d交換相互作用と超交換相互作用―
  4.5 酸化亜鉛ベース希薄磁性半導体の電子状態と磁性
    4.5.1 強磁性の安定性
    4.5.2 酸化亜鉛希薄磁性半導体の電子状態
    4.5.3 キャリア添加の効果
    4.5.4 実験との比較
  4.6 磁気的パーコレーションとスピノダル分解
  4.7 自己相互作用補正
  4.8 まとめ

電子部品用エポキシ樹脂の最新技術 II

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

電子部品用エポキシ樹脂の最新技術 II


監 修 越智光一,岸 肇,福井太郎
発刊日 2011年1月 ISBN978-4-7813-0314-7
体 裁 B5判,303ページ

刊行にあたって
 エポキシ樹脂は,電子部品の製造用途に広く用いられてきた。LSIの封止材や積層板のマトリックスとしての用途は言うまでもなく,最近ではアンダーフィルやビルドアップ基板,導電性接着剤のマトリックスなど,より広い用途に用いられるようになっている。
 エポキシ樹脂の電子部品材料としての用途が大きく広がりつつあった5年前に,本書の前身となる『電子部品用エポキシ樹脂の最新技術』を刊行した。しかし,この分野の技術革新のスピードは驚くほど速い。半年前には最新技術としてもてはやされていたものが半年後には陳腐化してしまうと言われるほどである。初版を出版した5年前と比較しても,電子部品用途へのエポキシ樹脂の使用は大幅に広がり,より高度な性能と信頼性が要求されるようになってきている。
 さらに,より高速・高密度を目的とした半導体実装技術の進歩や発光素子・光半導体などの進歩に伴って,エポキシ樹脂にもこれまでにない新しい機能が要求されるようになっている。今後も,エポキシ樹脂がこの分野で先端材料として用いられ続けるには,この新しい機能についての要求に対応していくことが必須であると考えられる。
 このような激しい技術革新のなかで,電子部品用材料としてのエポキシ樹脂の最新技術をまとめることは,今後の電子部品用材料の発展に,またこの分野で使われるエポキシ樹脂やその関連資材の開発に大きく貢献するであろうことが期待される。そこで,兵庫県立大学の岸 肇先生,パナソニック電工株式会社の福井太郎氏に相談したところ,お二人の協力が得られることとなり,本書『電子部品用エポキシ樹脂の最新技術Ⅱ』の出版の運びとなった次第である。
 本書は,第1章から第3章が「電子部品用エポキシ樹脂と副資材」,第4章から第7章が「エポキシ樹脂配合物の機能化」,第8章から第10章が「電子部品用エポキシ樹脂の用途と要求物性」で構成されている。最初に,電子部品用途に用いられるエポキシ樹脂と添加剤についての最新材料をまとめ,次に,電子部品用エポキシ樹脂に新たに求められるようになった様々な機能について,できるだけその機能の現れる機構が理解できるように留意しながら最新の技術と情報を解説した。最後に,実際の用途におけるエポキシ樹脂の最新技術とそこでの要求性能についてまとめて紹介している。さらに,現在注目を集めている(あるいは近い将来に注目を集めるであろう)用途へのエポキシ樹脂の展開についても,その技術動向について解説した。
 本書が,電子部品用材料としてのエポキシ樹脂やその関連資材の開発や発展に貢献することができれば幸いである。

(「刊行にあたって」より)


書籍の内容
【第1編 電子部品用エポキシ樹脂と副資材】
第1章 エポキシ樹脂

1. ノボラック型エポキシ樹脂(中西政隆)
  1.1  ナフタレン含有ノボラック型エポキシ樹脂

  1.2  ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂

  1.3  トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂

  1.4  テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹種

  1.5  ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂

  1.6 フェノールアラルキル型エポキシ樹脂

2. ビフェニル型エポキシ樹脂(村田保幸)
  2.1 ビフェニル型エポキシ樹脂の構造と特徴

  2.2 ビフェニル型エポキシ樹脂の種類

  2.3 ビフェニル型エポキシ樹脂の封止材用としての特性

    2.3.1 溶融粘度

    2.3.2 成形性

    2.3.3 吸湿性

    2.3.4 低応力性

    2.3.5 接着性

    2.3.6 耐熱性

  2.4 ビフェニル型エポキシ樹脂の展開

    2.4.1 新しい半導体技術への対応

    2.4.2 新規なビフェニル型エポキシ樹脂の開発

    2.4.3 高分子量エポキシ樹脂への導入

  2.5 まとめ

3. フルオレン型エポキシ樹脂(中村美香
  3.1 はじめに

  3.2 フルオレン型エポキシ樹脂

  3.3 合成方法

  3.4 基本物性

  3.5 硬化物物性

  3.6 耐黄変性試験

  3.7 分散性

  3.8 おわりに

4. 脂環式エポキシ樹脂(奥村浩一)
  4.1 はじめに

  4.2 脂環式エポキシ樹脂の合成法

  4.3 脂環式エポキシ樹脂の種類と性状

    4.3.1 低分子脂環式エポキシ樹脂

    4.3.2 オリゴマー型脂環式エポキシ樹脂

    4.3.3 新規な脂環式エポキシ樹脂

  4.4 脂環式エポキシ樹脂の反応性と硬化物物性

    4.4.1 脂環式エポキシ基の反応性

    4.4.2 酸無水物硬化

    4.4.3 UVカチオン硬化

    4.4.4 熱カチオン硬化

    4.4.5 アミン硬化

  4.5 脂環式エポキシ樹脂の代表的な用途

    4.5.1 LED封止材

    4.5.2 インク・コーティング関係

    4.5.3 電気・電子材料

    4.5.4 添加剤・その他

  4.6 おわりに

5. 無機骨格を有するエポキシ樹脂(吉田一浩)
  5.1 はじめに

  5.2 エポキシ変性シルセスキオキサン

    5.2.1 ダブルデッカー型シルセスキオキサン

    5.2.2 エポキシ変性ダブルデッカー型シルセスキオキサン

  5.3 エポキシ変性シルセスキオキサンの特性

    5.3.1 グリシジル変性ダブルデッカー型シルセスキオキサン

    5.3.2 脂環エポキシ変性シルセスキオキサン

  5.4 おわりに

6. 高機能エポキシ樹脂の分子設計と合成技術,および基礎物性(小椋一郎)
  6.1 はじめに

  6.2 高機能エポキシ樹脂の開発

    6.2.1 速硬化性エポキシ樹脂

    6.2.2 高耐熱性エポキシ樹脂

    6.2.3 低熱膨脹性エポキシ樹脂

    6.2.4 低吸湿性エポキシ樹脂

    6.2.5 低誘電特性エポキシ樹脂

    6.2.6 高難燃性エポキシ樹脂

    6.2.7 柔軟強靭性エポキシ樹脂

  6.3 おわりに

第2章 硬化剤
1. フェノール系エポキシ樹脂硬化剤(稲冨茂樹)
  1.1  はじめに

  1.2  フェノール樹脂の基礎

  1.3  エポキシ樹脂とフェノール樹脂の反応

  1.4  半導体封止材料エポキシ樹脂硬化剤

    1.4.1 半導体封止材料の進歩

    1.4.2 封止材用フェノール樹脂系エポキシ樹脂硬化剤の動向

  1.5  まとめ

2. 酸無水物類(鈴木実)
  2.1 はじめに

  2.2 酸無水物系硬化剤の種類

  2.3 酸無水物系硬化剤の使用にあたって

    2.3.1 配合に関して

    2.3.2 吸湿,揮散に関して

    2.3.3 安全性に関して

  2.4 酸無水物系硬化剤の開発動向

  2.5 おわりに

3. カチオン系開始剤(近岡里行)
  3.1 はじめに

  3.2 光カチオン開始剤

    3.2.1 メリット

    3.2.2 デメリット

  3.3 熱カチオン開始剤

  3.4 おわりに

4. 光塩基発生剤および塩基増殖剤(有光晃二)
  4.1 はじめに

  4.2 新規光塩基発生剤の開発

    4.2.1 光環化型塩基発生剤

    4.2.2 光脱炭酸型塩基発生剤

  4.3 塩基増殖反応による高感度化

    4.3.1 塩基増殖剤

    4.3.2 分解挙動

    4.3.3 アニオンUV硬化への応用

  4.4 おわりに

第3章 添加剤
1. 強靱性,耐湿性付与剤(内田博)
  1.1  はじめに

  1.2  CEAとα-オレフィンの共重合反応

  1.3  共重合体の物性

  1.4  共重合体の硬化物の物性値と強靭性・耐湿性付与効果

  1.5  フッ素原子導入共重合体

  1.6 おわりに

2. フィラー(永田員也)
  2.1 フィラーの種類

  2.2 フィラーの表面

    2.2.1 金属酸化物,水酸化物フィラー

    2.2.2 共有結合フィラーおよび金属フィラー

  2.3 フィラーの表面処理

    2.3.1 シランカップリング剤

    2.3.2 チタネートカップリング剤

    2.3.3 脂肪酸,界面活性剤などのイオン結合性有機化合物

  2.4 有機-無機ハイブリッド

【第2編 エポキシ樹脂配合物の機能化】

第4章 力学的機能
1. 強靱性(岸肇)
  1.1  はじめに

  1.2  ゴム添加によるエポキシ樹脂強靭化

  1.3  ポリマー微粒子添加によるエポキシ樹脂強靭化

  1.4  ポリマーアロイによるエポキシ樹脂の強靭化

  1.5  おわりに

2. 低内部応力性(中村吉伸)
  2.1 はじめに

  2.2 内部応力とは

  2.3 内部応力の低減

    2.3.1 ゴム変性

    2.3.2 無機粒子の充てん

  2.4 強靭性の向上

    2.4.1 ゴム変性

    2.4.2 無機粒子の充てん

  2.5 おわりに

3. 接着性(佐藤千明
  3.1 はじめに

  3.2 接着性とは何か

    3.2.1 接着性の定義

    3.2.2 応力基準およびひずみ基準

    3.2.3 破壊力学的基準

  3.3 接着性を考慮した接合部の設計

    3.3.1 ICチップと封入樹脂と界面強度

    3.3.2 コヘッシブゾーンモデルを用いた接合部の強度予測

  3.4 おわりに

第5章 耐久性・耐候性
1. エポキシ樹脂の耐熱性(高橋昭雄)
  1.1  はじめに

  1.2  物理的耐熱性

  1.3  化学的耐熱性

  1.4  高耐熱化

2. 耐湿性(久保内昌敏)
  2.1 はじめに

  2.2 吸水特性

    2.2.1 Fickの理想拡散に基づく吸水特性

    2.2.2 化学構造と吸水性

    2.2.3 無機フィラーの効果

  2.3 吸液後の乾燥と物性

  2.4 浸入した水の分布と計測

  2.5 電子部品の耐湿信頼性

    2.5.1 PCT

    2.5.2 樹脂の耐熱衝撃性に及ぼす水の影響

  2.6 おわりに

3. エポキシ樹脂の疲労き裂伝ぱ特性(松田聡,岸肇)
  3.1 はじめに

  3.2 耐疲労性の評価法

  3.3 エポキシ樹脂の疲労き裂伝ぱ特性

  3.4 おわりに

第6章 伝導的機能
1. 導電性(西川宏)
  1.1  はじめに

  1.2  導電メカニズム

  1.3  導電フィラーの最新動向

    1.3.1 導電フィラーの複合添加

    1.3.2 導電フィラーに対する表面処理

  1.4  おわりに

2. 熱伝導性―フィラー系高熱伝導性エポキシ樹脂(上利泰幸)
  2.1 高熱伝導性高分子材料への期待

  2.2 高分子材料の複合化による熱伝導率に及ぼす影響

    2.2.1 粒子分散複合材料の有効熱伝導率に与える影響と予測式

    2.2.2 熱伝導率に与える影響

  2.3 応用分野と将来性

3. 熱伝導性―液晶性エポキシ樹脂系(原田美由紀)
  3.1 はじめに

  3.2 構造制御に用いられるメソゲン基と液晶性エポキシ樹脂の特徴

  3.3 局所配列および巨視的構造を有する硬化物の創製と熱伝導性

  3.4 局所配列構造の形成過程を利用した高熱伝導性コンポジットの創製

  3.5 おわりに

第7章 光学的・電気的機能
1. エポキシ樹脂硬化物の屈折率制御(越智光一)
  1.1  はじめに

  1.2  屈折率に影響を及ぼす基本的な因子

  1.3  分極率の異なる原子の導入による屈折率制御

  1.4  充填密度の変化による屈折率制御

  1.5  おわりに

2. 耐高電圧特性(耐絶縁破壊性)(今井隆浩)
  2.1 はじめに

  2.2 エポキシ樹脂の電気絶縁性と測定方法

  2.3 絶縁破壊特性が受ける影響

  2.4 絶縁破壊特性の向上

    2.4.1 球状フィラー充填による絶縁破壊特性の向上

    2.4.2 ナノフィラー分散による絶縁破壊特性の向上

  2.5 おわりに

【第3編 電子部品用エポキシ樹脂の用途と要求物性】

第8章 基板材料
1. 高速通信用プリント配線板材料(古森清孝,藤原弘明)
  1.1  はじめに

  1.2  高速通信用PWB材料の要求特性

    1.2.1 銅張積層板の材料構成

    1.2.2 高速通信材料への要求物性

    1.2.3 絶縁樹脂

    1.2.4 ガラスクロス

    1.2.5 銅箔

  1.3  低誘電エポキシ樹脂銅張積層板

  1.4  おわりに

2. 環境対応型プリント基板材料(中村吉宏)
  2.1 はじめに

  2.2 プリント基板に関係する法規制の動きと対応技術

  2.3 鉛フリー対応技術について

  2.4 ハロゲンフリー対応技術について

  2.4.1 基板用エポキシ樹脂の難燃化技術の進歩

  2.4.2 ハロゲンフリープリント基板材料の特性

  2.5 おわりに

3. エポキシ樹脂を用いた最新PKG基板材料(米本神夫,元部英次)
  3.1 はじめに

  3.2 半導体パッケージの動向と半導体パッケージ基板材料に求められる特性

  3.3 エポキシ樹脂の設計

    3.3.1 高絶縁信頼性材料への対応

    3.3.2 反り低減材料への対応

    3.3.3 環境調和型材料への対応

  3.4 実用事例

  3.5 おわりに

4. ビルドアップ基板用層間絶縁材料(真子玄迅)
  4.1 はじめに

  4.2 半導体パッケージ基板用層間絶縁材に求められる特性

  4.3 半導体パッケージ基板用層間絶縁フィルム

    4.3.1 ABFを用いた多層基板の製造プロセス

    4.3.2 ABFの構成

    4.3.3 ABFの特徴

    4.3.4 ABFの品種とそれぞれの特性

  4.4 次世代の層間絶縁材料

    4.4.1 次世代の層間絶縁材に要求される性能

    4.4.2 次世代向けABF

  4.5 ガラスクロスとの複合化材料

  4.6 おわりに

5. 高放熱性金属ベース基板(宮川健志)
  5.1 放熱性基板

  5.2 金属ベース基板の構造

  5.3 絶縁層の高放熱材料設計

  5.4 金属ベース基板の信頼性

  5.5 まとめ

第9章 実装材料
1. ダイボンディングペースト(大野浩正)
  1.1  はじめに

  1.2  ダイボンドペーストの分類

    1.2.1 リードフレーム用ダイボンドペースト

    1.2.2 有機基板用ダイボンドペースト

  1.3  マーケットトレンドロードマップ

    1.3.1 ダイボンドペーストのマーケットドライバー

    1.3.2 ダイボンドペーストの要求特性

  1.4  ダイボンドペーストロードマップ

2. ダイボンディングフィルム(岩倉哲郎)
  2.1 はじめに

  2.2 高密度実装の動向とダイボンディングフィルムの必要特性

  2.3 エポキシ樹脂/アクリルポリマー系の特徴

  2.4 エポキシ樹脂/アクリルポリマー系の補強

  2.5 フィルムのダイボンディング用途への適用

  2.6 おわりに

3. 導電性接着剤(ペースト)(小日向茂)
  3.1 はじめに

  3.2 Agエポキシの組成概要

  3.3 導電性に影響をおよぼす金属粉末の界面活性剤(解こう剤:Lubricant/有機物)

  3.4 Agエポキシ硬化物の導電性

    3.4.1 直流電気伝導測定

    3.4.2 AFM観察

  3.5 Agエポキシの電気伝導機構の検討

  3.6 新しい導電性接着剤の試み

4 フリップチップ実装用NCP(Non Conductive Paste)(矢野博之
  4.1 はじめに

  4.2 NCPの要求特性

  4.3 設計

    4.3.1 硬化挙動

    4.3.2 信頼性

    4.3.3 材料設計

  4.4 おわりに

5. アンダーフィル材―フリップチップ用,COF用,CSP補強用(小高潔)
  5.1 はじめに

  5.2 アンダーフィルの材料構成

    5.2.1 樹脂組成

    5.2.2 フィラーについて

    5.2.3 その他の添加剤

  5.3 アンダーフィルの要求特性と課題

    5.3.1 流動特性

    5.3.2 接続方式の変化とLow-Kの脆弱化

  5.4 熱応力シミュレーション技術のアンダーフィル開発への応用

  5.5 COF用アンダーフィル

  5.6 2次実装用アンダーフィル

  5.7 おわりに

第10章 注目用途へのエポキシ樹脂の展開
1. エネルギー用途―風力発電FRP材料(中村裕一
  1.1  はじめに

  1.2  風力発電ブレードの大型化

  1.3  風力発電ブレードの成形方法

    1.3.1 レジンインフュージョン

    1.3.2 構造接着プロセス

  1.4  ブレードの製造プロセス

  1.5  ブレード製造に用いられるエポキシ樹脂システムおよび構造接着剤

    1.5.1 ブレード製造に用いられるインフュージョン用エポキシ樹脂

    1.5.2 ブレード製造に用いられる構造用接着剤

  1.6 おわりに

2. 液晶ディスプレー用シール剤(山口真史)
  2.1 はじめに

  2.2 UVシール剤の構成

    2.2.1 構成

    2.2.2 各成分の役割

    2.2.3 各材料の特徴

  2.3 UVシール剤の必要機能

    2.3.1 UV硬化性

    2.3.2 熱硬化性

    2.3.3 低汚染性

    2.3.4 ポットライフ/ディスペンス性

    2.3.5 長期信頼性

    2.3.6 接着力

3. 高輝度白色LED用途―白色リフレクタ材料(浦崎直之,小谷勇人)
  3.1 はじめに

  3.2 表面実装型LED動向と白色反射モールド樹脂の必要特性

  3.3 成形方法と白色反射モールド樹脂の設計

  3.4 LED用白色反射モールド樹脂の事例

    3.4.1 開発材の物性

    3.4.2 開発材を用いたLEDパッケージの試作工程と結果

    3.4.3 LEDパッケージの信頼性

    3.4.4 開発材の寿命

    3.4.5 まとめ

  3.5 おわりに

4. ナノファブリケーション用途―光ナノインプリント材料へのエポキシ樹脂の応用(三宅弘人)
  4.1 はじめに

  4.2 ナノインプリント技術

    4.2.1 ナノインプリントの種類

    4.2.2 光ナノインプリント材料への適用性

  4.3 カチオン硬化システムの特徴

    4.3.1 カチオン硬化性化合物

    4.3.2 硬化収縮について

    4.3.3 硬化収縮のメカニズム

    4.3.4 基材密着性とモールド離型性

  4.4 まとめ

5. 光学部品用UV硬化型エポキシ接着剤(後藤慶次)
  5.1 はじめに

  5.2 光学部品用UV接着剤について

  5.3 UV硬化型エポキシ接着剤の特徴

  5.4 UV硬化型エポキシ接着剤の硬化機構

  5.5 UV-LEDについて

    5.5.1 分光分布

    5.5.2 寿命

    5.5.3 高安全性・低ランニングコスト

  5.6 UV硬化型エポキシ接着剤の硬化特性

  5.7 UV硬化型エポキシ接着剤「ハードロック UVX-Bシリーズ」

  5.8 おわりに

スパイス・ハーブの機能と最新応用技術

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

スパイス・ハーブの機能と最新応用技術

監 修 中谷延二
発刊日 2011年1月 ISBN978-4-7813-0300-0
体 裁 B5判,198頁

刊行にあたって
 人類の生活に香辛料(スパイスとハーブの総称)が使用されたのは狩猟時代の5万年前にも遡るといわれている。その発端は、植物の種子や果実、葉、根茎などの乾燥物を捕獲した獲物や他の食材の貯蔵中における風味劣化や腐敗を防ぐことを知ったのが原点であろう。今日では香辛料は主に食品に香りや味、彩りを添えて風味を高め、嗜好性を満たすはたらき(機能)を有し,日常の食生活に欠かすことのできない重要な食材となっている。
 近年、わが国では急速に高齢化が進んできたが、高齢者のみならず急増している生活習慣病メタボリックシンドロームのリスクに不安が高まっている。1984年に発足した文部省(現文部科学省)の重点領域研究「機能性食品」の基盤である「食品機能」において、いわゆる食品のはたらき(機能)は一次機能(栄養機能)、二次機能(嗜好性機能)、三次機能(生体調節機能)の3つのコンセプトに意義付けされた。
 香辛料の重要な特徴はそれぞれが独特の香味を持つことである。香辛料の使い方ひとつで嗜好性を大きく左右する。すなわち香気成分、呈味成分、着色色素があり、二次機能成分の豊富な食品である。従来、この領域の研究が多数報告されてきた。また香辛料であるスパイス・ハーブのなかには古来薬用に用いられてきた植物も少なくない。まさに「薬食同源」「医食同源」そのものである。とくにハーブはその語源がHerbal(薬草)からきており、薬理的機能成分を含んでいる。
 我が国でも、これらの機能性研究が盛んで、香辛料研究の関連学会である「日本香辛料研究会」、「日本味と匂学会」では年々多くの研究発表と活発な討論がなされ、極めて盛会である。
 本書はこの古くて新しい「香辛料(スパイス・ハーブ)」という食品に関する基礎研究から応用技術分野の最良の執筆者を得てここに纏めることができた。すなわち第1編ではスパイス・ハーブの定義,歴史、食品としての機能などを総論的に述べた。第2編ではスパイス・ハーブを植物学的に分類し、各論的に素材に含まれる成分と機能について論述した。第3編ではスパイス・ハーブを用いた各種製品の製造技術と応用開発技術を紹介した。
 本書はスパイス・ハーブに関心を持つ研究者、技術者にとって有用な情報源となり、研究開発の益々の発展に寄与するものと切に望まれる。

2011年1月  中谷延二


書籍の内容

目次

【第1編 総論】

第1章 スパイス・ハーブとは

                                       (中谷延二)
1 スパイス・ハーブの歴史
2 スパイスの分類
  2.1 植物学的分類
  2.2 風味による分類
  2.3 利用する部位による分類
3 スパイス・ハーブのもつ機能
  3.1 食嗜好性向上機能
  3.2 食品保存機能
    3.2.1 抗酸化機能
    3.2.2 抗菌機能
  3.3 生体調節機能
    3.3.1 アロマテラピー
    3.3.2 抗炎症・抗発がん抑制機能
    3.3.3 血小板凝集阻害機能
    3.3.4 生薬としての機能
    3.3.5 アミラーゼの活性化
    3.3.6 その他の生体調節機能


第2章 スパイス・ハーブの歴史
                                       (高橋和良)
1 世界における歴史
  1.1 古代エジプト
  1.2 中国
2 医学との歴史的関わり
3 世界のスパイスの歴史を変えた4人
  3.1 マルコ・ポーロの偉業(『東方見聞録』)
  3.2 コロンブスの偉業(新大陸発見・大航海時代へ)
  3.3 バスコ・ダ・ガマの偉業(インド航路発見)
  3.4 マゼランの偉業(世界周航)
4 スパイス戦争
5 日本における歴史
  5.1 日本独自の食文化
  5.2 外来スパイスの上陸


第3章 スパイス・ハーブと生薬
                                       (吉川雅之)
1 はじめに
2 薬食同源
3 薬用食品
  3.1 ウイキョウ茴香フェンネル,シナモン)
  3.2 ショウキョウ、カンキョウ(生姜、乾姜、ジンジャー)
  3.3 ケイヒ(桂皮、カシア)
  3.4 サンショウ(山椒)
  3.5 チョウジ(丁字,グローブ)
4 おわりに


第4章 スパイス・ハーブの食品としての機能
1 香気成分(西村 修)
  1.1 はじめに
  1.2 シソ科
  1.3 ショウガ科
  1.4 アブラナ科
  1.5 フトモモ科
  1.6 ユリ科
  1.7 ナス科
  1.8 コショウ科
  1.9 セリ科
  1.10 おわりに

2 呈味成分(菊粼泰枝)
  2.1 辛味作用
    2.1.1 トウガラシの辛味成分
    2.1.2 コショウの辛味成分
    2.1.3 ショウガの辛味成分
    2.1.4 サンショウの辛味成分
    2.1.5 アブラナ科植物の辛味成分
    2.1.6 その他のスパイス・ハーブの辛味成分
    2.1.7 スコービル単位
  2.2 苦味成分

3 色素(中谷延二、菊粼泰枝)
  3.1 パプリカ(Capsicumannuumvar.cuneatum)
  3.2 トウガラシ(Capsicumannuum)
  3.3 ターメリック(ウコン,Curcumadomestica(C.longa))
  3.4 サフラン(Crocussativus)
  3.5 シソ(Perillafrutescens)


第5章 シソ科植物と機能
1 概要(中谷延二)
  1.1 オレガノ(Origanumvulgare)
  1.2 クミスクチン(Orthosiphonaristayus)
  1.3 シソ(Perillafrutescens)
  1.4 セージ(Salviaofficinalis)
  1.5 セイボリー(Saturejahortensis)
  1.6 タイム(Thymusvulgaris)
  1.7 マジョラム(Origanummajorana)
  1.8 ミント(Menthapiperita)
  1.9 ローズマリー(Rosmarinusofficinalis)

2 シソ科植物の抗酸化性(菊粼泰枝)
  2.1 シソ科ハーブの抗酸化成分
  2.2 ローズマリー、セージの抗酸化成分
  2.3 タイムの抗酸化成分
  2.4 オレガノの抗酸化成分
  2.5 その他のシソ科ハーブの抗酸化成分

3 シソに含まれる機能成分(越阪部奈緒美)
  3.1 シソの品種と食品としての利用
  3.2 シソの栄養価と機能成分
  3.3 シソの機能性
    3.3.1 ペリラアルデヒド
    3.3.2 ポリフェノール
    3.3.3 リノレン酸
  3.4 おわりに


第6章 ショウガ科植物と機能
1 ショウガ科植物由来のスパイス・ハーブと生体機能(吉川雅之)
  1.1 大ガランガル(大良姜)
    1.1.1 胃粘膜保護作用
    1.1.2 抗アレルギー・抗炎症作用
  1.2 小ガランガル(良姜)
  1.3 ジンジャー(生姜)
    1.3.1 辛味成分の生体機能
  1.4 ターメリック鬱金)とガジュツ(莪朮)

2 抗酸化活性(菊粼泰枝)
  2.1 ポピュラーなショウガ科香辛料の抗酸化性
  2.2 ショウガの抗酸化成分
  2.3 ウコンの抗酸化成分
  2.4 その他のショウガ科植物の抗酸化成分
  2.5 ショウガの生体内抗酸化作用

3 ウコンの機能(上野有紀、大澤俊彦)
  3.1 はじめに
  3.2 クルクミンのがん予防効果
  3.3 「クルクミン」の吸収・代謝
  3.4 「テトラヒドロクルクミン」の持つ新しい生理機能
  3.5 「クルクミン類縁体」による脳内老化予防効果
  3.6 おわりに

4 ハナショウガの機能(村上 明)
  4.1 はじめに
  4.2 培養細胞系での生物活性
  4.3 実験動物における生理機能
  4.4 作用メカニズム
  4.5 おわりに


第7章 アブラナ科植物と機能
1 概要(森光康次郎)

2 ワサビの機能(三浦陽介)
  2.1 はじめに
  2.2 ワサビITCs
  2.3 機能性
    2.3.1 抗酸化作用
    2.3.2 抗関節炎作用
    2.3.3 抗アレルギー作用
  2.4 安全性
  2.5 おわりに

3 ダイコンの機能(熊谷日登美,稲 成信)
  3.1 はじめに
  3.2 ダイコンの抗酸化作用
  3.3 ダイコンの抗菌作用
  3.4 ダイコンの抗変異原性・抗癌作用
  3.5 ダイコンの肝障害抑制作用
  3.6 ダイコンの血糖値上昇抑制作用
  3.7 ダイコンの抗尿路結石作用


第8章 フトモモ科植物と機能
                                       (菊粼泰枝)
1 フトモモ科に属するスパイス・ハーブ
  1.1 クローブ
  1.2 オールスパイス
2 抗菌性
3 抗酸化性
4 抗腫瘍活性
5 抗糖尿病作用
6 ヒスチジン脱炭酸酵素阻害作用
7 メラニン形成抑制作用
8 オイゲノールの各種細胞損傷と回復に対する作用


第9章 ネギ科植物と機能
1 概要(有賀豊彦)
  1.1 はじめに
  1.2 新しい科「ネギ科」
  1.3 ネギ科植物の成分上の特徴
  1.4 ネギ科植物の食品機能性

2 タマネギの機能(西村弘行)
  2.1 タマネギの成分的特性
  2.2 抗酸化作用
  2.3 血小板凝集阻害作用
  2.4 血圧上昇抑制作用
  2.5 記憶障害改善効果
  2.6 テストステロン(男性ホルモン)誘導活性
  2.7 おわりに

3 タマネギの催涙成分(今井真介)
  3.1 LFの構造とその生成機構
    3.1.1 LFとその前駆体の構造
    3.1.2 LFの生成機構について
  3.2 LFの生理的な役割
    3.2.1 LFの動物に対する作用
    3.2.2 LFの抗菌,抗原生動物、防虫活性
  3.3 催涙性の少ないタマネギ,無いタマネギの開発

4 ニンニクの機能(関 泰一郎、細野 崇、有賀豊彦)
  4.1 はじめに
  4.2 ニンニクの硫黄代謝と香気成分生成機構
  4.3 ニンニク由来化合物の機能性
    4.3.1 抗血小板作用
    4.3.2 心保護作用
    4.3.3 血漿脂質に対する抗酸化作用
    4.3.4 脂質異常改善効果
    4.3.5 血糖改善、抗糖尿病効果
    4.3.6 抗がん作用,抗菌作用
  4.4 まとめ


第10章 ナス科植物(トウガラシ属)と機能
1 概要(渡辺達夫、佐藤 努)
  1.1 トウガラシについて
  1.2 辛味成分カプサイシン
  1.3 カプサイシンの生理機能
  1.4 色素
  1.5 その他の成分

2 カプサイシンの胃粘膜保護作用(堀江俊治、田嶋公人、松本健次郎)
  2.1 カプサイシンの作用のアウトライン
  2.2 辛味と高温に反応する熱刺激受容体TRPV1
  2.3 トウガラシのひりひりする痛みを伴う辛味
  2.4 カプサイシンのTRPV1を介した胃粘膜保護作用
  2.5 カプサイシンによる胃潰瘍の増悪―諸刃の刃
  2.6 辛味健胃薬としてのトウガラシ
  2.7 消化管におけるカプサイシンのターゲットTRPV1の分布
  2.8 トウガラシの辛味は胃腸でも味わう

3 カプシノイドとその他の成分の機能(古旗賢二)
  3.1 カプシノイド
  3.2 その他の類縁化合物


第11章 コショウ科植物由来スパイス・ハーブと生体機能
                                       (松田久司)
1 はじめに
2 コショウ
3 インドナガコショウ
4 ジャワナガコショウ
  4.1 胃粘膜保護作用
  4.2 D-ガラクトサミン/リポ多糖誘発肝障害抑制作用
  4.3 PPARγアゴニスト様活性
5 カバ(カバカバ)
6 キンマ葉
7 おわりに


第12章 セリ科植物と機能
                                       (黒林淑子、武藤知衣、森光康次郎)
1 はじめに
2 フタリド類の食品機能(2次機能)
3 フタリド類の生理機能(3次機能)


第13章 スパイス・ハーブの調理特性
                                       (武政三男)
1 スパイスとハーブの違い
2 スパイスの機能と調理特性
  2.1 スパイスの香味に影響を与える要因
  2.2 スパイスの基本作用
  2.3 スパイスの複合効果の活用
  2.4 スパイスの調味料的特性
  2.5 スパイスのブレンド効果とエージング効果
  2.6 スパイスの相乗効果と抑制効果
  2.7 スパイスの学習効果とセラピー効果
  2.8 スパイスによるマスキング効果


第14章 ドライコートスパイス(香辛料抽出物製剤)の製造技術およびその特性と応用例
                                       (大本秀郎、堀内政宏、大槻英明、春田 亮)
1 はじめに
2 香辛料抽出物の抽出方法
3 粉末化の種類
4 ドライコートスパイスの製造方法
  4.1 乳化工程
  4.2 噴霧乾燥工程
5 製造時の注意点
6 ドライコートスパイスの特性
7 畜肉製品の風味に対するドライコートスパイスの効果
8 ドライコートスパイスの応用例
9 おわりに


第15章 スパイス系シーズニングオイルの製造開発
                                       (齋藤 司、山本直人
1 はじめに
2 シーズニングとは
3 シーズニングオイルについて
4 シーズニングオイルの種類とスパイス系シーズニングオイルについて
5 シーズニングオイルの製造技術
  5.1 低温抽出
  5.2 加熱調理抽出
  5.3 メイラード反応の応用
6 フライドガーリックの香気成分及びフレーバー開発
7 おわりに


第16章 ウコンの栽培と醗酵ウコンの製造開発
                                       (与那覇 恵)
1 ウコンとは
2 ウコンの栽培
3 醗酵ウコンの製造開発
  3.1 醗酵ウコンの抗酸化活性
  3.2 アルコールおよび脂質代謝に対する影響
  3.3 B型慢性肝炎患者に対する効果
  3.4 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対する効果
4 おわりに


第17章 ワサビの栽培と機能性成分の応用開発
                                       (永井 雅)
1 はじめに
2 ワサビの栽培
3 ワサビの品種
4 ワサビの機能性成分
5 ワサビの機能性成分の利用
6 ワサビ根茎抽出物を配合したサプリメントの血流改善効果・抗酸化効果
7 おわりに


第18章 ブレンドスパイス・カレー粉の製造
                                       (高橋和良)
1 カレー粉の歴史
  1.1 インドからイギリスをへて日本へ
  1.2 日本におけるカレー粉製造の歴史
2 カレー粉の製造工程
  2.1 製造技術のポイント
    2.1.1 原料
    2.1.2 配合
    2.1.3 製粉
    2.1.4 焙煎と熟成
3 配合例から見るカレー粉の条件
4 カレー粉の応用開発例


第19章 世界各地のミックスハーブ,ミックススパイス
                                       (鳴神寿彦)
1 ブレンドスパイスとは
2 ブレンドスパイスを使うメリット
3 世界各地のミックススパイス
4 ミックスハーブ
5 飲料に使われるブレンドスパイス
6 自分流のブレンドスパイスを楽しむには


第20章 フレッシュハーブ(生)の製造開発
                                       (中村 清)
1 わが国におけるフレッシュハーブ
2 主要なフレッシュハーブ
  2.1 スイートバジル
  2.2 香菜(コリアンダー
  2.3 ルッコラ(ロケット)
  2.4 イタリアンパセリ
  2.5 チャービル
  2.6 ミント類
  2.7 ディル
  2.8 ローズマリー
  2.9 タイム
  2.10 マーシュ(コーンサラダ)
  2.11 セージ
  2.12 フェンネル・フローレンス
  2.13 ベビーリー
3 フレッシュハーブ栽培に対する考え方
4 栽培方法
5 増殖方法
6 法令関係
7 流通
8 保存方法,利用方法


第21章 「ミント」の香気成分と応用商材の開発
                                       (石田賢哉)
1 はじめに
2 ミントの分類
3 スペアミントの成分
4 ペパーミントの成分
  4.1 l-メントールの特徴と製造方法
5 冷感剤(Coolingagent)の開発
  5.1 メンチルエステル類
  5.2 アミド類
  5.3 アルコール・エーテル
  5.4 p-メンタン骨格を持たない冷感剤
6 おわりに

高熱伝導性コンポジット材料

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

高熱伝導性コンポジット材料


監 修 竹澤由高
発刊日 2011年1月 ISBN978-4-7813-0299-7
体 裁 B5判,271頁


刊行にあたって
 環境に優しい製品であっても機器内部から発生する「熱」は性能が向上すればする程大きくなり,「放熱」というキーワードが極めて重要になっている。このような世の中の状況に対応して,放熱材料に関する講演会や雑誌などでの特集がいろいろなところで目に付くようになった。一般的な放熱対策技術としては,冷却ファンや空冷ヒートシンク等の外付け冷却器の使いこなし技術から始まり,実装構造内部に踏み込んでの特集となると,冷却器と発熱体との間に使用する高熱伝導シートとしてカーボンや金属フィラーを含んだコンポジット材料,セラミックス系フィラーを用いたコンポジット材料等の応用製品が開発メーカーからオムニバス的に紹介された構成が多い。
 しかし,熱対策に頭を痛めている材料開発者,部品設計者にはブラックボックスとなっているコンポジット素材の熱伝導現象,カタログ値の熱伝導率と必ずしも合わない実際のモノの熱伝導率の測定法に関して疑問をもっている方も少なくないのではないだろうか?さらに,コンポジット材料の絶縁,非絶縁の区分,熱硬化,熱可塑の区分もユーザー側にとっては重要な選定項目であるが,不明確でわかりにくいのが現状と思われる。本書はそういった疑問に答えると共に,最新の開発技術を構成区分別に応用事例としてコンパクトにまとめることを目的に企画したものである。

書籍の内容

目次

【第1編 熱伝導理論と測定技術の基礎】

第1章 固体物理から考える高分子の熱伝導現象の基礎                                       (伊藤雄三)
1. 緒言
2. 熱伝導の基礎
  2.1 熱伝導率の定義(Fourierの法則)と熱拡散方程式
    2.1.1 熱伝導率の定義(Fourierの法則)
    2.1.2 熱拡散方程式
  2.2 熱伝導率と物質定数との関係(Debyeの式)
  2.3 電子による熱伝導とフォノンによる熱伝導
    2.3.1 電子による熱伝導
    2.3.2 ヴィーデマン―フランツの法則(Wiedemann-Franzlaw)
    2.3.3 様々な物質の熱伝導率
  2.4 熱伝導率を決める因子,定圧体積比熱,フォノンの速度,平均自由行程
  2.5 平均自由行程を決める因子,静的散乱と動的散乱
    2.5.1 フォノンの静的散乱
    2.5.2 フォノンの動的散乱
  2.6 Boltzmannの輸送方程式によるフォノンフォノン散乱を考慮した熱伝導率の定量的解析
3. 高分子の熱伝導
  3.1 高分子の熱伝導の特徴
  3.2 高分子の高次構造と熱伝導率
    3.2.1 結晶性と熱伝導率
    3.2.2 分子配向と熱伝導率
4. 高熱伝導高分子
  4.1 高分子の高熱伝導化のメカニズム
    4.1.1 絶縁性と高熱伝導の両立
    4.1.2 高分子の熱伝導率の理論限界―ポリエチレン結晶の熱伝導率の理論解析―


第2章 高分子の熱物性と熱伝導率・熱拡散率測定法
                                       (橋本壽正,森川淳子)
1. はじめに
2. フーリエ法則から物性値へ
3. 測定法の概観
  3.1 定常法
  3.2 細線法・熱線法・ホットディスク法
  3.3 フラッシュ法・レーザーフラッシュ法
  3.4 温度波熱分析法
  3.5 赤外線カメラを用いた熱拡散率測定
4. まとめ


第3章 熱伝導率測定装置の進歩
                                       (遠藤聡,笈川直美,池内賢朗)
1. 熱伝導率・熱拡散率評価法の概要
2. フラッシュ法とその応用展開
  2.1 フラッシュ法(厚さ方向の熱拡散率評価)
  2.2 応用展開(面内方向の熱拡散率評価)
3. 光交流法による薄板の面内熱拡散率評価
4. まとめ


第4章 複合系高分子材料の熱伝導率向上技術
                                       (上利泰幸)
1. 高熱伝導性高分子材料への期待
2. 高分子材料の複合化による熱伝導率に及ぼす影響
  2.1 粒子分散複合材料の有効熱伝導率に与える影響と予測式
  2.2 熱伝導率に与える影響
    2.2.1 粒子径や粒子の形状
    2.2.2 充填量
    2.2.3 粒子の分散状態
    2.2.4 分散粒子の配向
    2.2.5 分散粒子と連続媒体の界面抵抗
    2.2.6 充填材間の抵抗
  2.3 熱伝導率の異なる多種類の充填材を複合化したときの熱伝導率
3. 応用分野と将来性


【素材自身の高熱伝導化技術】

第5章 樹脂の高熱伝導化技術
1. 絶縁エポキシ樹脂のランダム自己配列型高次構造制御による高熱伝導化(竹澤由高)
  1.1 はじめに
  1.2 樹脂自身の高熱伝導化の必要性と高熱伝導樹脂の材料設計の考え方
    1.2.1 樹脂自身の高熱伝導化の必要性
    1.2.2 高熱伝導樹脂の材料設計の考え方
  1.3 高次構造を制御した高熱伝導エポキシ樹脂の開発
  1.4 おわりに

2. エポキシ樹脂の異方配向制御による高熱伝導化(原田美由紀)
  2.1 はじめに
  2.2 構造制御に用いられるメソゲン基と液晶性エポキシ樹脂の特徴
  2.3 磁場・電場配向による異方性ネットワークポリマーの特性
  2.4 化学的安定性に優れたターフェニル型エポキシ樹脂の開発
  2.5 おわりに

3. 強磁場による高分子の異方配向制御と高熱伝導化(木村亨)
  3.1 はじめに
  3.2 詳細内容
    3.2.1 磁場配向のメカニズムと熱伝導性複合材
    3.2.2 熱液晶性高分子の磁場配向
    3.2.3 高分子溶液系の磁場配向
  3.3 おわりに

4. ポリイミド系樹脂の高熱伝導化材料設計技術(依藤大輔,安藤慎治)
  4.1 はじめに
  4.2 ポリイミドの高熱伝導化
    4.2.1 ポリイミドの分子構造・高次構造と熱拡散率の関係
    4.2.2 膜厚方向熱拡散率の予測理論の構築
  4.3 ポリイミド/無機ナノ粒子ハイブリッド膜の高熱伝導化
    4.3.1 Insitu析出法による可溶性ポリイミド/MgOナノ粒子ハイブリッド膜の創製と特性解析
    4.3.2 ポリイミドブレンド/Agナノ粒子ハイブリッド膜の高熱伝導化
    4.3.3 ポリイミドブレンド/ZnOナノ構造体ハイブリッド膜の高熱伝導化
  4.4 おわりに

5. 重合性液晶材料(PLC)を利用した分子配向制御による高熱伝導化(加藤孝)
  5.1 はじめに
  5.2 分子配向制御と熱伝導の関係
    5.2.1 ホモジニアス配向における分子配向と熱伝導の関係
    5.2.2 ツイスト配向における分子配向と熱伝導の関係
  5.3 ネットワーク構造と熱伝導の関係
    5.3.1 分子短軸方向に重合性基をもつ単官能PLCを利用した熱伝導性
    5.3.2 分子長軸方向に重合性基をもつ単官能PLCを利用した熱伝導性
    5.3.3 ネットワーク構造と熱伝導の関係
  5.4 まとめ


第6章 フィラーの高熱伝導化技術
1. 窒化ホウ素フィラーの評価とその応用―高熱伝導率フィラー/樹脂複合材の開発―(渡利広司,佐藤公泰)
  1.1 はじめに
  1.2 BNの特徴
  1.3 BNフィラーの製造方法
  1.4 BNフィラーの状況
  1.5 BNフィラー/樹脂複合材の研究例
  1.6 フィラー/樹脂複合材のためのBNフィラーの評価
    1.6.1 フィラーの熱伝導性
    1.6.2 成形性
    1.6.3 分散性
    1.6.4 樹脂との接着性及び結合性
  1.7 まとめと今後の展開

2. カーボンナノチューブの分散・ネットワーク構造形成技術とポリマーの高熱伝導化(真田和昭)
  2.1 はじめに
  2.2 カーボンナノチューブの特徴
    2.2.1 構造・形態
    2.2.2 物性
    2.2.3 合成方法
    2.2.4 安全性
  2.3 カーボンナノチューブの分散方法
  2.4 カーボンナノチューブの表面処理方法
  2.5 カーボンナノチューブによるポリマーの高熱伝導化技術
    2.5.1 熱伝導率予測式
    2.5.2 ネットワーク構造形成技術
    2.5.3 ナノ・ミクロ複合フィラーを用いた高熱伝導性コンポジットの開発
  2.6 おわりに

3. 分岐アルミナファイバー,ナノポーラスアルミナを用いたポリマーコンポジット(北條房郎)
  3.1 はじめに
  3.2 分岐構造を形成させたアルミナファイバーの形成
  3.3 ポーラスα-アルミナを用いたコンポジット材料の形成
  3.4 おわりに


【第3編 コンポジット材料の高熱伝導化技術とその応用例】

第7章 熱硬化型の絶縁系コンポジット材料
1. 封止・接着用高熱伝導・電気絶縁性液状エポキシ材料(小堺規行)
  1.1 はじめに
  1.2 設計思想
    1.2.1 フィラーの選定
    1.2.2 バインダの選定
    1.2.3 フィラーの混合分散
  1.3 成形条件と成形粘度
  1.4 特性値
  1.5 接着強さ
  1.6 温度別可使時間
  1.7 長期信頼性
  1.8 おわりに

2. 絶縁性と熱伝導性を両立した接着シート(片木秀行)
  2.1 はじめに
  2.2 高熱伝導絶縁接着シートの開発
    2.2.1 開発のコンセプト
    2.2.2 高熱伝導エポキシ樹脂、それを用いた高熱伝導絶縁接着シートの開発
  2.3 おわりに

3. 高度な粒子配向制御と高充填化技術を用いた超高熱伝導BNコンポジットシート(宮田建治,阿尻雅文
  3.1 はじめに
  3.2 複合材料の高熱伝導化手法について
    3.2.1 Bruggemanモデル
    3.2.2 粒子配向モデル
  3.3 高熱伝導複合材料の創成と検証
  3.4 ハイブリッド材料による新デバイス

4. 熱放散性成形材料(北川和哉)
  4.1 はじめに
  4.2 熱放散性成形材料の設計
  4.3 熱放散性成形材料スミコン(R)Tシリーズ
    4.3.1 熱硬化性熱放散性成形材料スミコン(R)PM-T
    4.3.2 熱可塑性熱放散性成形材料スミコン(R)FM-T
    4.3.3 その他の熱放散性成形材料―半導体封止用成形材料スミコン(R)EME-Aシリーズ
    4.3.4 その他の熱放散性成形材料―高熱放散回路基板ALCおよびCEM-3
  4.4 成形品への展開
    4.4.1 トランスボビン
    4.4.2 LEDダウンライト
  4.5 おわりに

5. セルロースナノファイバーを用いた透明高熱伝導フィルム(島粼譲,矢野浩之)
  5.1 はじめに
  5.2 セルロースナノファイバー(CeNF)
  5.3 透明高熱伝導フィルム
  5.4 透明高熱伝導フィルムの熱伝導特性
  5.5 開発課題,各研究機関の取り組み
    5.5.1 CeNFの量産方法
    5.5.2 特性改善
  5.6 おわりに


第8章 熱可塑性およびその他の絶縁系コンポジット材料
1. フェーズチェンジタイプ放熱スペーサー(山縣利貴)
  1.1 はじめに
  1.2 放熱材料
  1.3 放熱材料の熱伝導性と材料設計ポイント
  1.4 熱伝導性測定装置
  1.5 フェーズチェンジタイプ放熱スペーサーの特徴
  1.6 二層品フェーズチェンジタイプ放熱スペーサーの特徴
  1.7 フェーズチェンジタイプ放熱スペーサー開発品「PCA-E5」
  1.8 二層品フェーズチェンジタイプ放熱スペーサー「PCA-Y12」 
  1.9 おわりに

2. 液晶ポリマーの熱伝導性と応用(岡本敏)
  2.1 はじめに
  2.2 熱伝達材マトリックスとしての液晶ポリマーのポテンシャル
  2.3 LCP/フィラーコンポジットの高熱伝導化の可能性
  2.4 実用面で熱伝達材マトリックスとして有益な液晶ポリマーの開発
    2.4.1 可溶性LCP
    2.4.2 新規樹脂グレード(RB100)
    2.4.3 新規コンパウンド高熱伝導グレード
  2.4 むすびに

3. 高熱伝導性バイオプラスチックの開発(位地正年)
  3.1 はじめに
  3.2 ポリ乳酸中での炭素繊維の架橋化による高熱伝導化
  3.3 新規ポリ乳酸複合材の熱伝導性への炭素繊維のサイズの影響
  3.4 機械的特性の改善効果
  3.5 実用化技術の開発
  3.6 まとめと今後の展開

第9章 熱硬化型の非絶縁系コンポジット材料
1. 導電性接着剤の熱伝導特性(井上雅博)
  1.1 はじめに
  1.2 導電性接着剤の熱伝導率解析の理論的背景
    1.2.1 複合材料の熱伝導特性の解析理論
    1.2.2 導電性接着剤の熱伝導特性に対する考察
  1.3 導電性接着剤の熱伝導率の解析例
    1.3.1 エポキシ/Cu系接着剤の熱伝導率解析
    1.3.2 エポキシ/Ag系接着剤の熱伝導率解析
  1.4 高熱伝導性の導電性接着剤の開発指針
  1.5 おわりに

2. 酸化銀マイクロ粒子を用いた高熱伝導接合材料(守田俊章)
  2.1 はじめに
  2.2 酸化銀の還元温度
  2.3 酸化銀粒子の還元,及び焼結挙動
  2.4 接合強度評価
  2.5 放熱性評価
  2.6 まとめ

3. 金属系(銀/銅)フィラーによる高熱伝導化技術(吉武正義)
  3.1 はじめに
  3.2 金属系フィラーの種類
    3.2.1 金属粉
    3.2.2 金属箔片
    3.2.3 金属繊維
  3.3 高熱伝導性フィラー
    3.3.1 銀フィラー
    3.3.2 銅フィラー
  3.4 金属フィラー分散複合材料の熱伝導性
  3.5 おわりに

第10章 熱可塑型およびその他の非絶縁系コンポジット材料
1. 黒鉛粒子配向制御によるコンポジット材の高熱伝導化(山本礼)
  1.1 はじめに
  1.2 従来の熱伝導材の問題点
  1.3 高熱伝導性と柔軟性の両立
  1.4 熱伝導粒子の配向と熱伝導性の関係
  1.5 絶縁性伝導材
  1.6 おわりに

2. 高熱伝導性グラファイトシートの特性と応用(西川泰司)
  2.1 はじめに
  2.2 グラファイトの特徴
  2.3 高熱伝導性グラファイトシート(GS)の作製と物性
  2.4 グラファイト複合シート
  2.5 高熱伝導性グラファイトシートの特性
    2.5.1 グラファイトシートと他材料との比較
    2.5.2 グラファイトシートのサイズの影響
  2.6 グラファイトシートのアプリケーションへの応用例
    2.6.1 液晶ディスプレイにおけるヒートスポット緩和効果
    2.6.2 携帯電話におけるヒートスポット緩和効果
  2.7 おわりに

3. カーボンナノファイバーを添加したシリコーングリース,ゴムの熱伝導特性(富村寿夫,奥山正明)
  3.1 はじめに
  3.2 熱伝導率の測定原理と方法
  3.3 測定装置
  3.4 カーボンナノファイバー,シリコーングリース,ゴム
  3.5 カーボンナノファイバーを添加したシリコーングリースの熱伝導特性
  3.6 カーボンナノファイバーを添加したゴムの熱伝導特性

テラヘルツ波新産業

技術者・研究者向け技術書籍の紹介


テラヘルツ波新産業

監 修 斗内政吉
発刊日 2011年1月 ISBN978-4-7813-0289-8
体 裁 B5判,280頁

刊行にあたって
 我が国は,GDPが世界トップクラスであるにも関わらず,未来への不安が増大している。我が国は少資源国であり,その再生には科学技術開発を基盤とした知的活動が最も重要である。そのため,1995年科学技術基本法が制定され,研究活動への投資が始まった。しかしながら,巨額の研究費が費やされたにもかかわらず,我が国の産業に大きく貢献する成果はほとんど挙げられていない。残念ながら,我が国の問題として,理念と実施のミスマッチが常に存在し,誤った予算投資がその背景にある。高度成長期を支えてきたのは,我が国の技術革新力であり,常に明確な研究ターゲットが存在した。一方,90年代からは自らが道を切り開く立場になるべき時代であり,科学技術基本法で支えるべき対象は,独創性であった。しかしながら,予算は結果が想定される既存分野や欧米追従型の新規研究が中心であり,チャレンジングなテーマへの研究開発投資は僅かである。次世代のための研究開発は,新しい分野への投資が重要であり,30代,40代の若手研究者の独創的かつ自由なものや,産学連携を中心とした新規応用分野の開拓へシフトされるべきである。そのような分野の代表としてテラヘルツ分野がある。テラヘルツ分野は,新しいセンシング機能ならびに情報通信技術を提供し,情報通信・生命・医療・安全・健康・産業・環境・宇宙・科学分野において多くの応用が想定される。本分野は,我々が中心となり将来ビジョンを取りまとめ世界に発信することで,世界的な研究を創造している分野であり,まさに,チャレンジングかつ独創的分野であり,多くの可能性を秘めている。

 電波と光の間にあるテラヘルツ電磁波は,長く未開拓領域と呼ばれ,産業応用が難しい周波数帯である。近年の様々な技術革新により,その周波数帯の産業利用が見えてきた。その基盤となったのは,時間領域分光法,量子カスケードレーザー,高効率光テラヘルツ波変換ならびにミリ波通信技術などである。特に,時間領域分光法はテラヘルツ帯の分析を容易にし,様々な応用の可能性を提供し続けている。本書では,応用に関する基盤技術の最近の動向と様々な応用研究の事例を取りまとめた。本書が,具体的なテラヘルツ産業研究の扉を開き,産学連携による我が国の国際競争力の向上に一役買うことを願っている。

(巻頭言『産学連携で新しい産業創成を』より)疑問に答えると共に,最新の開発技術を構成区分別に応用事例としてコンパクトにまとめることを目的に企画したものである。

書籍の内容

目次

【第1編 総論】

第1章 テラヘルツ波の産業応用に向けて
                                       (斗内政吉)
1. はじめに
2. テラヘルツ波工学の新展開
3. テラヘルツ技術が拓く新産業
4. 産業化技術の現状と課題
  4.1 光源開発
  4.2 検出器
  4.3 分析機器開発
  4.4 非破壊検査・分析応用
  4.5 センサーチップとケミカル顕微鏡
  4.6 安全安心への基盤技術
  4.7 テラヘルツ無線に向けて
5. まとめ


【第2編 テラヘルツ基盤技術】
第2章 テラヘルツ時間領域分光法

                                       (深澤亮一)
1. はじめに
2. テラヘルツパルス波の発生
  2.1 光伝導アンテナ素子による発生
  2.2 非線形光学結晶を用いた発生
3. テラヘルツパルス波の検出
  3.1 光伝導アンテナ素子による検出
  3.2 電気光学結晶を用いた検出
4. テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS
  4.1 波形計測技術
  4.2 分光測定の実際
5. 非破壊検査ツールとしてのテラヘルツパルスエコー法
6. 装置の開発動向
7. おわりに


第3章 テラヘルツ波光源
1. 波長可変パラメトリック光源(南出泰亜)
  1.1 テラヘルツ波パラメトリック光源
  1.2 テラヘルツ波パラメトリック発振器
  1.3 光注入型テラヘルツ波パラメトリック発生器

2. 差周波混合(水津光司)
  2.1 差周波混合の原理
  2.2 DAST結晶を用いた差周波混合

3. チェレンコフ放射(水津光司)
  3.1 チェレンコフ放射
  3.2 チェレンコフ放射角
  3.3 プリズム結合チェレンコフ位相整合(PCC-PM:PrismCoupledCherenkovPhaseMatching)
  3.4 チェレンコフ放射によるテラヘルツ波発生例

4. 超短パルス光励起での角度波面整合放射(永井正也)

5. 超短パルス光励起でのプラズマガスからの放射(永井正也)

6. 非線形光学結晶(吉村政志)
  6.1 はじめに
  6.2 無機結晶
  6.3 有機結晶


第4章 電子デバイス光源
1. 単一走行キャリア・フォトダイオードUTC-PD)(伊藤弘)
  1.1 フォトミキシングを用いたテラヘルツ波の発生
  1.2 単一走行キャリア・フォトダイオードUTC-PD)の特徴
  1.3 実装技術
  1.4 UTC-PDを用いた高周波電磁波の発生
  1.5 まとめ

2. テラヘルツ量子カスケードレーザとその応用(寳迫巌)

3. 共鳴トンネルダイオード(浅田雅洋)
  3.1 はじめに
  3.2 RTD発振器の構造
  3.3 発振特性
    3.3.1 発振周波数
    3.3.2 高出力化のための構造
    3.3.3 周波数制御と変調
  3.4 まとめ

4. 二次元プラズモン(尾辻泰一)
  4.1 はじめに
  4.2 二次元プラズモンの物理
    4.2.1 分散関係
    4.2.2 プラズモン不安定性
    4.2.3 グレーティングカップラによる電磁波との結合
  4.3 二次元プラズモン共鳴型エミッター
    4.3.1 二重回折格子ゲート構造
    4.3.2 テラヘルツ電磁波放射特性
    4.3.3 コヒーレント放射に向けて
  4.4 テラヘルツ帯分光計測への応用
  4.5 おわりに


第5章 テラヘルツ波検出技術
                                       (神代暁)
1. はじめに
2. 検出方式 
  2.1 直接検出法
  2.2 ヘテロダイン法
  2.3 ホモダイン法
3. 代表的検出器
  3.1 直接検出器
    3.1.1 ゴーレイセル
    3.1.2 パイロメータ(焦電検出器)
    3.1.3 冷却半導体ボロメータ
    3.1.4 室温ボロメータ
    3.1.5 ショットキーダイオード
    3.1.6 超伝導転移端検出器(TES)
    3.1.7 超伝導トンネル接合(SIS)検出器
  3.2 ヘテロダイン検出器(ミキサ)
    3.2.1 ショットキーミキサ
    3.2.2 超伝導トンネル型(SIS)ミキサ
    3.2.3 超伝導HEBミキサ


【第3編 新規機器開発】

第6章 テラヘルツ分光イメージング装置
1. 広帯域テラヘルツ時間領域分光装置(北岸恵子
  1.1 はじめに
  1.2 複数のテラヘルツ波源搭載による広帯域化
  1.3 広帯域THz-TDS
  1.4 テラヘルツ波源,検出器の選択
  1.5 おわりに

2. ファイバー結合型小型TDSイメージング装置(斗内政吉)
  2.1 はじめに
  2.2 ラスター走査型テラヘルツイメージング装置
    2.2.1 分散補償
    2.2.2 イメージング用小型ヘッド
    2.2.3 システム化
  2.3 ラスタースキャン型テラヘルツイメージング装置の性能評価と適応例
  2.4 まとめ

3. 3Dテラヘルツ時間領域分光装置(今村元規)
  3.1 はじめに
  3.2 TAS7000のしくみ
  3.3 TAS7000による3D解析事例
    3.3.1 3D分光CTイメージング例
    3.3.2 3D 非破壊解析例
  3.4 まとめ

4. テラヘルツ顕微鏡(土井厚志)
  4.1 はじめに
  4.2 テラヘルツ波近接場イメージングの原理 
  4.3 リアルタイムテラヘルツ近接場顕微鏡 
    4.3.1 装置構成
    4.3.2 測定例
  4.4 おわりに

5. テラヘルツ放射顕微鏡(斗内政吉)
  5.1 はじめに
  5.2 LTEM
  5.3 LTEM観測例
  5.4 新しい展開
  5.5 まとめ

6. テラヘルツカメラ(小田直樹)
  6.1 はじめに
  6.2 非冷却THz-FPAの画素構造と検出原理
    6.2.1 THz吸収膜付きTHz-FPA
    6.2.2 誘電体カバー付きTHz-FPA
  6.3 THz透過材料
  6.4 ハンディTHzカメラ
  6.5 おわりに


第7章 周波数コムを基準としたテラヘルツ周波数標準技術
                                       (安井武史)
1. はじめに
2. 周波数コムを用いたコヒーレント周波数リンク
3. THz帯スペクトラム・アナライザー(THzスペアナ)
4. THz帯周波数シンセサイザー(THzシンセ)


【第4編 テラヘルツセンシング・イメージング応用】

第8章 イメージング応用
1. 新規産業応用(林伸一郎,川瀬晃道)
  1.1 はじめに
  1.2 テラヘルツ波によるイメージング応用
  1.3 テラヘルツパルスを用いた飛行時間型断層撮像法
  1.4 メタルメッシュセンサー
  1.5 まとめ

2. 違法薬物・危険物質の非破壊検査(大谷知行)
  2.1 はじめに
  2.2 テラヘルツ波による薬物検査の原理検証
  2.3 検査装置の開発
    2.3.1 スクリーニング部
    2.3.2 分光検査部

3. 文化財の非破壊調査への応用(福永香)
  3.1 はじめに
  3.2 テラヘルツ波を用いた絵画材料の分光
  3.3 テラヘルツ波を用いた文化財の内部構造の非破壊検査
  3.4 おわりに

4. LSI故障解析装置(松本徹)
  4.1 はじめに
  4.2 LSI故障解析の必要性
  4.3 非プロービング故障解析
  4.4 装置構成
  4.5 LTEM検出例
    4.5.1 OPアンプの断線検出例
    4.5.2 無バイアスでのMOSFETの不良検出例
    4.5.3 テストチップのテラヘルツ放射特性の観測例
    4.5.4 実回路チップの断線・短絡の検出例
  4.6 まとめ


第9章 バイオセンシング
1. 新規バイオ応用の展望と課題(尾内敏彦)
  1.1 はじめに
  1.2 生体関連分子の分光分析
    1.2.1 分析方法
    1.2.2 対象となる分子と応用
    1.2.3 展望と課題
  1.3 バイオセンサーチップ
    1.3.1 センシング方式
    1.3.2 伝送線路型センサーチップ
    1.3.3 展望と課題
  1.4 生体組織のイメージング
    1.4.1 THz波イメージングの特徴
    1.4.2 トモグラフィックイメージング
    1.4.3 展望と課題

2. リガンド探索のためのバイオセンシング応用(小川雄一)
  2.1 はじめに
  2.2 干渉を利用した低分子アレイ−タンパク質の画像検出 
    2.2.1 測定原理および実験装置
    2.2.2 メンブレンを用いた低分子アレイ
    2.2.3 ビオチンアレイおよびジゴキシンアレイの測定結果
    2.2.4 競合結合実験
  2.3 おわりに

3. バイオセンシングプレートの開発と応用(紀和利彦)
  3.1 はじめに
  3.2 バイオセンシングプレート
    3.2.1 検出の原理
    3.2.2 装置構成
  3.3 TCMを用いた生体関連物質検出例
    3.3.1 タンパク質結合検出
    3.3.2 イオン反応検出
    3.3.3 TCMによるμ-TAS可視化応用
  3.4 まとめ


第10章 様々な分光分析応用
1. 生体関連低分子化合物(北岸恵子
  1.1 はじめに
  1.2 糖類
  1.3 核酸
  1.4 アミノ酸
  1.5 有機
  1.6 おわりに

2. テラヘルツ光によるガスハイドレートの観測(竹家啓)

3. ゴム製品の非破壊・迅速評価への応用(平川靖之)

4. 高輝度テラヘルツ波を用いた非線形分光(田中耕一郎)
  4.1 はじめに
  4.2 液体におけるテラヘルツ光カー効果
  4.3 半導体における動的Frantz-Keldysh効果と励起子イオン化
  4.4 半導体におけるキャリアのバンド内加速
  4.5 非調和振動子系での「階段駆け上がり」
  4.6 まとめ

5. サブミリ波分光を用いた地球大気衛星観測(笠井康子)
  5.1 サブミリ波と衛星観測
  5.2 国際ステーション搭載センサJEM/SMILES


【第5編 情報通信応用】

第11章 テラヘルツ波の情報通信応用
                                       (永妻忠夫)
1. 高速無線のニーズ
2. 無線の高速化に向けたテラヘルツ波の利用
3. テラヘルツ無線のアプローチと研究開発事例


第12章 120GHz帯無線
1. 無線送受信装置(久々津直哉)
  1.1 フォトニクス技術を用いた無線システム
  1.2 InPHEMTデバイスによる無線システム
  1.3 おわりに

2. 超高速映像伝送用誤り訂正符号化装置(岡部聡)
  2.1 はじめに
  2.2 超高速映像伝送用誤り訂正符号化装置の構成
  2.3 超高速映像伝送用誤り訂正符号化装置
  2.4 室内実験
  2.5 野外実験
  2.6 おわりに

3. 放送現場での検証(中山稔啓,西川寛)
  3.1 はじめに
  3.2 北京オリンピックでの検証
  3.3 120GHz帯無線システムを放送局内回線に接続した場合の検証
  3.4 まとめ


第13章 300GHz超の無線技術と課題                                       (永妻忠夫)


第14章 テラヘルツ無線の新しい応用
                                       (門勇一)
1. 情報通信市場変化と将来望まれる通信環境
  1.1 情報通信市場の変化
  1.2 ユースケースと求められる無線通信速度
2. 将来ニーズに応える短距離大容量無線通信
3. まとめ

新しい農薬原体・キー中間体の創製2011

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

新しい農薬原体・キー中間体の創製2011

発刊日 2011年1月 ISBN978-4-7813-0325-3
体 裁 A4判,556頁


刊行にあたって
 昨今の異常気象や環境汚染が引き起こす農耕地減少は、食料自給率が40%を下回る我が国ではもちろんのこと、人口増加の一途を辿る発展途上国にとっても深刻な問題である。限られた土地で安定した食料を確保し、急増する人口を支えるために病害虫や雑草から農作物を守る「農薬」の存在はきわめて重要である。

 本書に掲載した化学農薬の開発および研究論文をご覧いただければ分かるように、その合成精度は医薬品に比肩し、年々改正される農薬取締法をクリアした日本の農薬は安全性が高く、低量で大きな効果を示す。また、市場規模はまだ小さいものの、近年の低農薬志向に後押しされるかたちで、生物農薬に大きな注目が集まっている。

 本書では、前半部に国内および海外で開発または上市された農薬原体73品目について、特許情報よりその製造プロセスを詳述した。併せて、農薬原体合成で使われるキー中間体71品目をピックアップし、誘導される農薬原体、製造を記載した。生産プロセスの効率化を図る農薬原体メーカーおよび自社の特化技術を活かし受託製造を担うファインケミカルメーカーにぜひともご覧いただきたい。

 後半部では研究開発情報として、弊社から発行している「月刊ファインケミカル」「月刊バイオインダストリー」より、注目の研究論文を精選し、「開発」編と「基礎研究」編に分けて掲載した。さらに、ここ数年の農薬産業における市場動向、資料も加えた。

 化学農薬、生物農薬ともに農業環境の異なる地域において、効果的に作用する新農薬の開発が求められている。本書が農薬メーカーをはじめ、ファインケミカルメーカー、受託合成メーカー、化学関連商社および公的研究機関など農薬産業に携わる多くの方々のお役に立てば幸いである。

2011年1月 シーエムシー出版 編集部

書籍の内容

目次

第I編 最新の農薬原体
1 殺虫剤
  1.1 chlorantraniliprole
  1.2 cyantraniliprole/シアントラニリプロール
  1.3 flubendiamide/フルベンジアミド
  1.4 fluensulfone
  1.5 imicyafos/イミシアホス
  1.6 metaflumizone/メタフルミゾン
  1.7 metofluthrin/メトフルトリン
  1.8 pyrafluprole/ピラフルプロール
  1.9 pyrifluquinazon/ピリフルキナゾン
  1.10 pyriprole/ピリプロール
  1.11 spinetoram/スピネトラム
  1.12 spirotetramat/スピロテトラマト
  1.13 sulfoxaflor/スルホキサフロル
  1.14 IPP-10

2 殺ダニ剤
  2.1 cyenopyrafen/シエノピラフェン
  2.2 cyflumetofen/シフルメトフェン
  2.3 spiromesifen/スピロメシフェン
  2.4 CL900167

3 殺菌剤
  3.1 ametoctradin/アメトクトラジン
  3.2 amisulbrom/アミスルブロム
  3.3 bixafen/ビキサフェン
  3.4 boscalid/ボスカリド
  3.5 fenpyrazamine/フェンピラザミン
  3.6 fluopicolide/フルオピコリド
  3.7 fluopyram/フルオピラム
  3.8 fluoxastrobin/フルオキサストロビン
  3.9 flutianil/フルチアニル
  3.10 fluxapyroxad
  3.11 isopyrazam/イソピラザム
  3.12 isotianil
  3.13 mandipropamid/マンジプロパミド
  3.14 orysastrobin/オリサストロビン
  3.15 oxazinylazole/オキサジニラゾール
  3.16 penflufen/ペンフルフェン
  3.17 penthiopyrad/ペンチオピラド
  3.18 proquinazid/プロキナジド
  3.19 prothioconazole/プロチオコナゾール
  3.20 pyrametostrobin/ピラメトストロビン
  3.21 pyribencarb/ピリベンカルブ
  3.22 pyriofenone/ピリオフェノン
  3.23 sedaxane/セダキサン
  3.24 tebufloquin/テブフロキン
  3.25 tolnifanide/トルニファニド
  3.26 valifenalate/バリフェナレート
  3.27 BAG―010

4 除草剤
  4.1 aminocyclopyrachlor/アミノシクロピラクロル
  4.2 aminopyralid/アミノピラリド
  4.3 bencarbazone/ベンカルバゾン
  4.4 bicyclopyrone/ビシクロピロン
  4.5 fenoxasulfone/フェノキサスルホン
  4.6 flucetosulfuron/フルセトスルフロン
  4.7 glufosinate-P/グルホシネート-P
  4.8 indaziflam/インダジフラム
  4.9 ipfencarbazone/イプフェンカルバゾン
  4.10 metazosulfuron/メタゾスルフロン
  4.11 methiozolin/メチオゾリン
  4.12 monosulfuron/モノスルフロン
  4.13 monosulfuron―methyl/モノスルフロンメチル
  4.14 pinoxaden/ピノキサデン
  4.15 propoxycarbazone−sodium/プロポキシカルバゾン―ナトリウム塩
  4.16 propyrisulfuron/プロピリスルフロン
  4.17 pyrasulfotole/ピラスルホトール
  4.18 pyrimisulfan/ピリミスルファン
  4.19 pyroxasulfone/ピロキサスルホン
  4.20 pyroxsulam/ピロクススラム
  4.21 saflufenacil/サフルフェナシル
  4.22 tefuryltrione/テフリルトリオン
  4.23 tembotrione/テンボトリオン
  4.24 thiencarbazone―methyl/チエンカルバゾン−メチル
  4.25 topramezone/トプラメゾン
  4.26 triafamone

5 その他
  5.1 cyprosulfamide
  5.2 tralopyril


第II編 農薬原体のキー中間体
1 3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸
2 2−アミノ−3−メチル−5−ヨード安息香酸
3 4−ヘプタフルオロイソプロピル−2−メチルアニリン
4 3−メチル−2−メチルチオプロピルアミン
5 2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)チアゾール
6 4−シアノベンジル(3−トリフルオロメチル)ケトン
7 3−アミノ−6−ペンタフルオロイソプロピル−3,4−ジヒドロ−2(1H)キナゾリノン
8 1−〔2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル〕−5−(2−ピリジルメチルアミノ)ピラゾール−3−カルボニトリ
9 1−アミノ−4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸
10 3−[1−(メチルチオ)エチル]−6−(トリフルオロメチル)ピリジン
11 1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸
12 α−4−tert−ブチルフェニルシアノ酢酸メチル
13 3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4−ヒドロキシ−5,5−テトラメチレン−Δ3−ジヒドロフラン−2−オン
14 4−シアノドデカン−3−オン
15 3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール
16 1−(N,N−ジメチルスルホニル)−1,2,4−トリアゾール−3−スルホニルクロリド
17 3′,4′−ジクロロ−5−フルオロ−1,1′−ビフェニル−2−アミン
18 2−アミノ−4′−クロロビフェニル
19 S−アリルクロロチオホルメート
20 3−クロロ−2−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン
21 3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルメチルアミン塩酸塩
22 2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エタンアミン酢酸塩
23 α−メトキシイミノ−α−(2−テトラヒドロピラン−2−イル−オキシフェニル)酢酸メチル
24 4−フルオロ−3−メルカプトベンゾトリフルオリド
25 3−ジフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボン酸
26 9−イソプロピル−5−アミノベンゾノルボルネン
27 6−ニトロアントラニル酸
28 2−アミノベンズアミド
29 4−クロロマンデル酸
30 2,3−ペンタンジオン2−オキシム
31 4−クロロ−α,α−ジブロモアセトフェノン
32 2−メチル−4−(2−アミノフェニル)−ペンタン−3−オール
33 2−アセチル−3−アミノチオフェン
34 2−アミノ−5−ヨード安息香酸メチル
35 1−クロロ−1−クロロアセチル−シクロプロパン
36 1−クロロ−2−(1−クロロ−シクロプロピル)−3−(2−クロロフェニル)プロパン−2−オール
37 5−アセチル−2−クロロベンジルアミン
38 4,5−ジクロロ−2−メトキシピリジン
39 2−ビシクロプロピル−2−イル−フェニルアミン
40 4−tert−ブチル−2−フルオロアニリン
41 RS−3−アミノ−3−(4−クロロフェニル)プロピオン酸メチル
42 5,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシベンゾニトリ
43 2−シクロプロピル−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−4−ピリミジンカルボン酸
44 1−(4−シアノ−2,5−ジフルオロフェニル)−4−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾリン−5−オン
45 4−ブロモ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−エン−2−オン
46 3−クロロ−5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール
47 (2,5−ジクロロ−4−エトキシフェニル)メタノール
48 2−(2−フルオロ−1−メトキシアセチルオキシプロピル)ピリジン−3−スルホンアミド
49 trans−1−アミノ−2,6−ジメチルインダン
50 3−クロロ−5−メルカプト−1−メチル−4−(5−メチル−5H,6H−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)ピラゾール
51 5−ヒドロキシメチル−5−メチル−3−(3−メチルチオフェン−2−イル)−1,2−イソオキサゾリン
52 2−メトキシカルボニルベンゼンスルホニルイソシアナート
53 2,6−ジエチル−4−(メチルフェニル)マロノニトリ
54 2,6−ジエチル−4−メチルフェニルマロン酸ジメチル
55 〔1,4,5〕−オキサジアゼピン2臭化水素
56 4,5−ジヒドロ−4−メチル−5−オキソ−3−プロポキシ−1H−1,2,4−トリアゾール
57 2−メチルスルホニル−4−(トリフルオロメチル)安息香酸
58 2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルボニル)−6−メトキシメチルアニリン
59 4−クロロメチル−5−(ジフルオロメトキシ)−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ピラゾール
60 5,5−ジメチル−3−メルカプト−1,2−オキサゾリン
61 5−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ピラゾール
62 2−アミノ−5,7−ジメトキシ〔1,2,4〕トリアゾロ〔1,5−a〕ピリミジン
63 2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−スルホニルクロリド
64 5−アミノ−2−クロロ−4−フルオロ安息香酸
65 2−クロロ−3−メチル−4−メチルスルホニル安息香酸メチル
66 4−メトキシカルボニル−2−メチルチオフェン−3−スルホニルクロリド
67 5−メトキシ−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
68 4−アミノ−5−メチルチオフェン−3−カルボン酸メチル
69 5−ヒドロキシ−1−メチルピラゾール
70 2−フルオロ−6−[(4,6−ジメトキシトリアジン−2−イル)メチル]アニリン
71 3−シアノ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール


第III編 注目される新規農薬の開発
第1章 新規ピレスロイド系殺虫剤メトフルトリンの開発

                                       (石渡多賀男)
1 はじめに
2 発明の経緯
  2.1 研究の背景
  2.2 リード化合物の発見
  2.3 メトフルトリンの発見
3 効力および製剤
  3.1 基礎殺虫活性
  3.2 加熱蒸散製剤
  3.3 常温蒸散製剤
4 安全性
5 物性
6 開発状況
7 おわりに


第2章 殺菌剤メトコナゾールとイプコナゾールの開発
                                       (熊沢 智)
1 はじめに
2 研究の経緯
  2.1 分子設計の発想
  2.2 リード化合物の発見
  2.3 メトコナゾールの発見
  2.4 5員環ジメチル位置異性体の構造と活性
  2.5 シクロアルカン誘導体の構造と活性
  2.6 イプコナゾールの発見
3 メトコナゾールとイプコナゾールの生物活性
  3.1 基礎活性
  3.2 圃場試験活性
4 メトコナゾールとイプコナゾールの性状と安全性
5 メトコナゾールとイプコナゾールの製造法開発
  5.1 シス型異性体の優先的製造法
  5.2 TMSOBの製造法開発
6 メトコナゾールとCYP51との相互作用様式の検証
7 おわりに


第3章 新規殺虫剤フルベンジアミドの創製
                                       (遠西正範)
1 はじめに
2 フルベンジアミド創出の経緯
  2.1 リード化合物の発見
  2.2 フタル酸部位の変換
  2.3 アニリン部位の変換
  2.4 フルベンジアミドの選抜
3 フルベンジアミドの性状
4 フルベンジアミドの合成
  4.1 ジアゾ-ヨウ素化ルート
  4.2 Pd-ヨウ素化反応
  4.3 パーフルオロアルキルアニリン製法
5 フルベンジアミドの作用特性
  5.1 殺虫スペクトル
  5.2 天敵・有用昆虫に対する影響
  5.3 作用機構
  5.4 フルベンジアミドの安全性
6 おわりに


第4章 新規微生物殺虫剤ゴッツAの開発
                                       (木村晋也、新田英二、丸山 威、松村賢司、高島喜樹)
1 はじめに
2 P.tenuipesT1株の発見
3 P.tenuipesT1株の製造
4 P.tenuipesT1株の製剤化
5 ゴッツAの効力
6 ゴッツAの安全性
7 おわりに


第5章 日本における微生物殺菌剤の開発
                                       (伊豆 進)
1 はじめに
2 微生物殺菌剤開発の歴史と現状
3 微生物殺菌剤の特徴と課題
4 開発と応用事例
  4.1 Bacillussubtilis剤
  4.2 Talaromycesflavus剤
5 微生物殺菌剤の今後
6 おわりに


第IV編 農薬開発における基礎研究

第1章 ピラゾール系機能性化学品(特に農薬)の過去・現在・未来
                                       (岡田 至)
1 はじめに
2 ファインケミカル(機能化学品)業種別国内出荷金額
3 有機合成化学工業の歴史
  3.1 黎明期
  3.2 最初のピラゾール環の合成
  3.3 ピリン系解熱鎮痛剤の創製
  3.4 ピラゾール系染顔料
4 ピラゾール系農薬
  4.1 過去:商品化された農薬
  4.2 現在:開発中の農薬
  4.3 未来:特許,文献,学会情報など
5 その他ピラゾール系化学品
  5.1 ピラゾール系医薬品
  5.2 写真用カプラー
  5.3 触媒の配位子
6 ピラゾール環の合成法
7 ピラゾール系農薬のまとめ
8 おわりに


第2章 芳香族メチルアミノ基含有機能化学品
                                       (岡田 至)
1 はじめに
2 ベンジルアミン誘導体の合成法
3 天然物およびその誘導体
4 農薬
  4.1 除草剤
  4.2 殺菌剤
  4.3 殺虫剤
5 医薬
  5.1 殺菌消毒剤
  5.2 抗真菌剤
  5.3 サルタン系高血圧治療薬
  5.4 アルツハイマー病治療薬
  5.5 勃起不全治療薬
  5.6 抗生物質(β-ラクタム系抗菌薬)
  5.7 抗アレルギー剤
  5.8 ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
  5.9 去痰薬
  5.10 高脂血症治療薬
  5.11 その他
6 染料
7 その他機能化学品
  7.1 ゴム用加硫促進剤
  7.2 相関移動触媒
  7.3 エポキシ樹脂などの硬化剤
  7.4 イオン液体
  7.5 不斉合成触媒の原料
8 おわりに


第3章 Phenoxyaceticacid系植物ホルモン活性物質の構造を起源とする種々の医薬・農薬への多面的構造展開
                                       (藤田稔夫)
1 はじめに
2 植物生長ホルモン活性物質と選択的生長抑制
3 Auxin型選択的除草剤2,4-DおよびMCPAの発見
4 Aryloxyaceticacidタイプの抗脂質異常症剤の登場
5 POA型除草剤からFibrate型抗脂質異常症剤への構造変換
6 Fibrate型抗脂質異常症剤からCLC型Cl−イオンチャネルmodulatorへの構造変換
7 Fibrate型抗脂質異常症剤からアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害型除草剤とquinoxaline型抗腫瘍剤への構造変換
8 Auxin型除草剤のPOA構造をもつ甘味受容体阻害物質
9 Auxin型除草剤から構造展開されたCRTH2拮抗型抗アレルギー剤
10 POA構造をもつ利尿剤・尿酸排泄性利尿剤の構造展開
11 まとめと補遺
12 おわりに


第4章 微生物農薬を利用した土壌病害防除の展望
                                       (相野公孝)
1 はじめに
2 内生細菌製剤の特性と最新登録情報
3 内生細菌の病害防除メカニズム
4 経済面から見た生物防除(シュードモナスフルオレッセンス剤を使用した場合)
5 微生物防除資材と組み合わせ技術の併用効果
  5.1 露地型太陽熱利用土壌消毒との併用効果
  5.2 土壌くん蒸剤との併用効果
6 おわりに


第5章 細胞融合を利用した新規微生物農薬の開発
                                       (小池正徳、相内大吾)
1 はじめに
2 昆虫寄生性菌類の育種
3 Lecanicillium属菌の細胞融合
4 Lecanicillium属菌融合株の特性
5 生物的防除資材としてのLecanicillium属菌融合株
  5.1 微小害虫に対するLecanicilliun属菌融合株
  5.2 ダイズシストセンチュウに対するLecanicillium融合株
6 おわりに


第6章 植物病原菌を弱毒化するマイコウイルスを利用した微生物防除資材の開発
                                       (森山裕充)
1 はじめに
2 アルタナリア・アルタナータ菌の生育を阻害する新規マイコウイルス
3 イネいもち病菌の生育を抑制する新規マイコウイルス
4 おわりに


第V編 農薬市場の動向

第1章 農薬産業の全般的な動向
1 需給動向
2 輸出動向
3 輸入動向
4 生産動向
5 農薬産業関連トピック(2008〜2010年)
  5.1 国内編
  5.2 海外編


第2章 国内農薬市場の推移:殺虫剤を中心にして
                                       (城島輝臣)
1 はじめに
2 農薬全体の出荷金額と出荷量の推移
3 殺虫剤の出荷金額の推移
  3.1 殺虫剤の分類
  3.2 殺虫剤の作用機構
  3.3 殺虫剤の作用機構別の推移
  3.4 各グループでシェアが最も大きい殺虫剤
4 おわりに


第3章 国内農薬市場の推移:除草剤を中心にして
                                       (城島輝臣)
1 はじめに
2 農薬全体の出荷金額と出荷量の推移
3 除草剤の出荷金額の推移
  3.1 除草剤の分類
  3.2 除草剤の作用機構
  3.3 除草剤の作用機構別の出荷推移
4 ブライトン会議(1997年)での報告
5 おわりに


第4章 国内農薬市場の推移:殺菌剤を中心にして
                                       (城島輝臣)
1 はじめに
2 農薬全体の出荷金額と出荷量の推移
3 殺菌剤の出荷金額の推移
  3.1 殺菌剤の分類
  3.2 殺菌剤の作用機構
  3.3 FRAC
  3.4 殺菌剤の作用機構別の出荷推移
4 おわりに


第5章 微生物農薬使用の現況と将来展望
                                       (有江 力、国見裕久)
1 はじめに
2 天敵微生物による害虫防除
  2.1 世界での利用の現状
  2.2 日本での利用の現状と展望
3 微生物を成分とする殺菌剤
  3.1 世界での利用の現状
  3.2 日本での利用の現状と展望
4 微生物除草剤


第VI編 農薬資料

第1章 新規殺虫剤「RyanodineReceptorActivators」
                                       (下松明雄)
1 はじめに
2 RyaniaExtracts(ryanodine)
3 糸状菌産生物質(FKI-1033)とカフェイン
  3.1 FKI-1033
  3.2 Caffeine
4 フルベンジアミド(フェニックス)
5 クロラントラニリプロール(DKI-0001;デュポン)
6 日産化学(フタール酸ジアミド)
7 バイエル(日農と共同研究開発)
8 石原産業
9 シンジェンタ
10 その他の化合物
11 おわりに


第2章 新規殺虫剤「RyanodineReceptorModulators」
                                       (下松明雄)
1 はじめに
2 Cinnzeylanine,CinnzeylanolとRyanodine,Ryanodol
3 BASF
4 バイエル
5 デュポン
6 石原産業
7 三井化学
8 日本農薬
9 日本曹達
10 日産化学
11 シンジェンタ
12 住友化学
13 おわりに


第3章 昆虫成長制御剤(IGR)としてのジアリールヘテロ環化合物
                                       (下松明雄)
1 はじめに
2 ベンゾイルフェニルウレア系(BPU)キチン生成阻害剤
3 ジアリールヘテロ環系(DAH)キチン生成阻害剤
  3.1 八洲化学
  3.2 日本曹達
  3.3 日産化学
  3.4 クミアイ化学
  3.5 住友化学
  3.6 DuPont
  3.7 宇部興産
  3.8 BayerAG
  3.9 DowAgroScience(DAS)
  3.10 Novartis(Syngenta)
  3.11 HoechstScheringAgrEvo(Aventis)
  3.12 武田薬品
4 おわりに


第4章 2006〜2010年に上市された農薬および現在開発中の農薬一覧