メタゲノム解析技術の最前線

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

メタゲノム解析技術の最前線


発刊日 2010年12月  ISBN 978-4-7813-0253-9
体 裁 B5判,231ページ


刊行にあたって
 土壌,海洋,河川などの自然環境やヒト,動物,植物,昆虫などの表面や体内にはさまざまな微生物(主に真正細菌古細菌)が生息している。その種類は106〜108,その総菌数は1030のオーダーと見積もられており,ヒトや動物などの多細胞生物種に較べてはるかに多様性に富む。また,その全バイオマスは地球上の全生物種の1/3にもなり,地球は微生物の惑星という研究者もいる。細菌は通常,多くの細菌種が集まった集団(細菌叢)を形成して生息しており,その構成菌種の数はその生息環境によって,数菌種から数千,数万菌種と広範囲に変化する。
 しかしながら,寒天培地上に形成するコロニー数と顕微鏡下で観察される細菌数がおおきく異なること,数十日の培養時間を必要とするきわめて増殖が遅い細菌の存在,培養できる細菌種が全体の0.1〜1%しか存在しないこと示した土壌細菌叢のDNA-DNA会合実験など,見えるけれども培養できない細菌種(microorganisms that are viable but not culturable)が細菌叢の大半を占めている事例が多数報告され,これまで実験室で培養できた細菌種は全体の一握りであることが認識されるようになった。
 このような難培養性細菌が大部分を占める環境細菌叢の全体構造や生物機能を探る方法としてメタゲノム解析が登場した。メタゲノム解析は2003年頃に世界的に本格化し始めた新しいゲノム解析技術であるが,ここ数年におけるシークエンス技術の革新的な進歩とあいまって,メタゲノム解析を活用した細菌叢研究が急速に発展してきている。
 一方で,メタゲノム解析を実際に活用するには新しいさまざまな要素技術を必要とする。とくに機能生物の解釈には,細菌叢が生息する環境の化学・物理データなどのメタ情報の取得も大事になる。さらには,メタボロームやトランスクリプトームといったオーミクスデータを取り扱うことも細菌叢を包括的に理解するために必要である。
 本書では,基本的なメタゲノムデータの取得技術とバイオインフォマティクス技術,環境や農業に関わる土壌,水田,海洋,地殻深部,植物根圏と植物共生系の細菌叢,宿主との相互作用の面からの昆虫共生細菌叢,産業応用面からのバイオリアクター細菌叢とメタゲノムデータからの機能探索,健康・疾患に関わるヒトの口腔や腸内常在菌叢,機能解析のモデル系など,メタゲノム解析とその関連研究が各分野で活躍している研究者によって解説されている。本書がメタゲノム解析の実際を理解する上での一助になれば幸いである。

(「はじめに」より)

2010年12月  東京大学 服部正



書籍の内容

【基礎編】

第1章 総論
1. メタゲノム解析とは何か(服部正平)
  1.1 はじめに
  1.2 メタゲノム解析の基本的なウェット実験プロセス
  1.3 メタゲノム解析の基本的なバイオインフォマティクス
  1.4 メタゲノム解析とレファレンスゲノム
  1.5 細菌叢メタゲノム解析と環境生態系
  1.6 国際動向
  1.7 おわりに
2. メタゲノム関連技術の産業利用と世界動向(中川智)
  2.1 メタゲノム解析とは
  2.2 メタゲノム解析に関する会議
  2.3 メタゲノム解析に必要なDNAの調製
  2.4 メタゲノム解析
  2.5 主なメタゲノム解析プロジェクト
  2.6 企業の活動
  2.7 バイオインフォマティクス
  2.8 技術開発の進展に伴う今後のメタゲノム解析

第2章 解析技術
1. メタゲノム解析におけるバイオインフォマティクス(野口英樹,伊藤武彦)
  1.1 はじめに
  1.2 ヒト腸内細菌叢メタゲノム解析を例に
  1.3 メタゲノム配列からの遺伝子予測
2. メタゲノムデータベース(森宙史,丸山史人,黒川顕)
  2.1 メタゲノム解析とは
  2.2 メタゲノム解析専用のデータベース
  2.3 比較メタゲノム解析
  2.4 メタデータの重要性
  2.5 メタゲノム解析に利用可能なデータベース
  2.6 リファレンスゲノムの重要性
  2.7 16S rRNA群集構造解析について
  2.8 おわりに
3. 比較ゲノムにおけるインフォマティクス基盤(内山郁夫)
  3.1 はじめに
  3.2 微生物ゲノム情報の蓄積
  3.3 オーソログ解析
  3.4 微生物の比較ゲノムデータベース
  3.5 コアゲノム解析
  3.6 比較ゲノム解析ワークベンチ
4. メタゲノムの産業利用(福田雅夫)
  4.1 はじめに
  4.2 メタゲノムからの有用遺伝子の探索
  4.3 メタゲノムの産業利用=新規有用遺伝子の探索における課題
  4.4 おわりに
5. 腸内細菌叢ゲノムDNAの調製法(森田英利,菊池真美,上野真理子)
  5.1 はじめに
  5.2 糞便サンプル
  5.3 凍結糞便サンプルからの細菌細胞の回収
  5.4 細菌細胞の溶菌・破砕とゲノムDNA精製のためのプロトコール
  5.5 細菌ゲノムDNAの精製
  5.6 16S rRNA遺伝子配列解析
  5.7 メタゲノム解析方法
  5.8 各手法により精製された細菌ゲノムDNA量とそのクオリティの比較
  5.9 DNAのクオリティに関する各手法間の比較
  5.10 結論

【応用編】

第3章 環境・海洋
1. メタゲノム解析から地下深部環境を探る(郄見英人,高木善弘)
  1.1 はじめに
  1.2 地下鉱山の熱水流路に繁茂する微生物マットのメタゲノム解析
  1.3 下北半島東方沖海洋掘削コアサンプルのメタゲノム解析
2. マリンメタゲノム:海洋性難培養微生物からの有用遺伝子・物質の探索(竹山春子,岡村好子)
  2.1 はじめに
  2.2 カイメン共生・共在バクテリアのメタゲノムライブラリー構築
  2.3 メタゲノムライブラリーからの有用遺伝子スクリーニング
  2.4 シングルセルバイオロジーからメタゲノミックス
  2.5 おわりに
3. 難培養性微生物種のゲノム解析技術とシロアリ腸内共生機構(本郷裕一)
  3.1 はじめに
  3.2 難培養性細菌種の少数細胞からのゲノム完全長配列取得
  3.3 培養不能細菌種のゲノム解析が明らかにしたシロアリ腸内共生機構
  3.4 シングルセル・ゲノミクスと今後の展望
4. 微生物群集のメタトランスクリプトーム解析(野田悟子,大熊盛也)
  4.1 はじめに
  4.2 トランスクリプトーム解析の意義
  4.3 環境微生物のトランスクリプトーム解析
  4.4 シロアリ共生原生生物のEST解析
  4.5 おわりに
5. 嫌気的アンモニア酸化(anammox)の反応機構と微生物複合システム解析(藤井隆夫,藤英博)
  5.1 はじめに
  5.2 anammox細菌の発見
  5.3 anammox細菌の多様性
  5.4 anammox細菌のメタゲノム解析
  5.5 anammoxの反応機構
  5.6 おわりに

第4章 医療・健康
1. ヒトマイクロバイオームのメタゲノム解析服部正平,大島健志朗)
  1.1 はじめに
  1.2 ヒト常在菌叢の細菌組成解析
  1.3 ヒト腸内マイクロバイオームのメタゲノム解析
  1.4 ヒト常在菌の個別ゲノム解析
  1.5 次世代(第2世代)シークエンサーを用いた細菌叢メタゲノム解析
  1.6 腸内細菌叢の機能と宿主との相互作用
  1.7 腸内細菌叢と疾患
  1.8 国際ヒトマイクロバイオーム計画と今後の展望
2. 次世代シークエンサーを用いた感染症の診断と解析(中村昇太,中屋隆明,飯田哲也
  2.1 次世代DNAシークエンサーの感染症領域への応用
  2.2 病原細菌の迅速ゲノム解析
  2.3 メタゲノム解析による病原体検出
  2.4 細菌感染症への応用
  2.5 ウイルス感染症への応用
  2.6 展望
3. マウスモデルを用いた宿主―腸内フローラ間相互作用の解析(大野博司,福田真嗣)
  3.1 ノトバイオートマウスを用いた解析
  3.2 SPFマウスを用いたマルチオミクス解析による腸内環境評価法の確立の試み
  3.3 おわりに
4. 疾患とメタゲノム(腸内細菌と炎症性腸疾患)(山本幸司,吉田優,井上潤,大井充,吉江智郎,東健)
  4.1 はじめに
  4.2 腸内細菌叢の構成と生体との相互作用
  4.3 腸内細菌と疾患
  4.4 メタゲノム解析の有用性
  4.5 腸内細菌叢を標的とした治療
  4.6 おわりに
5. 口腔内フローラのメタゲノム解析(林潤一郎,小島俊男,近藤伸二,森田英利,野口俊英)
  5.1 はじめに
  5.2 口腔フローラと口腔疾患
  5.3 歯肉縁下プラークと歯周炎
  5.4 口腔フローラのメタゲノム研究
  5.5 おわりに

第5章 農業
1. 農耕地土壌の生物学的特性解明への挑戦(藤井毅,星野(高田)裕子,森本晶,岡田浩明,對馬誠也)
  1.1 はじめに
  1.2 スキムミルクを用いた土壌DNA抽出法の確立
  1.3 PCR-DGGEを用いた農耕地土壌における生物学的特性の解析
  1.4 eDNAプロジェクト
  1.5 土壌メタトランスクリプトーム解析
  1.6 今後の展望
2. 植物根圏土壌におけるメタゲノム解析(海野佑介,信濃卓郎)
  2.1 植物根圏とそこに棲む微生物
  2.2 植物根圏微生物群集へのメタゲノム解析
3. 水田土壌のメタゲノム解析(伊藤英臣,石井聡,妹尾啓史)
  3.1 はじめに(水田土壌の特徴と微生物)
  3.2 水田土壌のメタゲノム解析
  3.3 おわりに
4. 植物共生微生物の群集構造解析(池田成志,南澤究)
  4.1 はじめに
  4.2 非培養法による植物共生微生物の群集構造解析の現状と問題点
  4.3 細菌細胞濃縮法の開発
  4.4 新時代の植物共生細菌の多様性解析・群集構造解析
  4.5 植物共生科学におけるパラダイムシフト
  4.6 今後の植物共生科学の展望:多様性解析からメタゲノム解析へ向けて

エポキシ樹脂市場の徹底分析

技術者・研究者向け技術書籍の紹介

エポキシ樹脂市場の徹底分析

発刊日 2010年12月  ISBN 978-4-7813-0253-9
体 裁 A4判,278ページ

刊行にあたって
 エポキシ樹脂は,1930年代に開発された後,国内には1950年頃から輸入されるようになり,市場規模の拡大に伴い1962年頃から国産化が始まっている。
 エポキシ樹脂の工業化から既に50余年を経て,あらゆる分野で実績をつけながら発展を続けている。特にエポキシ樹脂の特性である接着性,電気特性,耐熱性,耐溶剤性を活かし,塗料,接着剤,電気・電子部品,土木関係などで多様・多彩なグレード展開がみられる。
 現状のエポキシ樹脂の用途別出荷をエポキシ樹脂工業会の統計でみると,2009年は前年比マイナス26.7%の113,000トンであったが,これにはフォーミュレーター向けやアウトサイダーおよび輸入量は含まれていない。実査による数量を当社独自に算定した2009年の需要量は,内需149,000トン,輸出15,000トン,計164,000トンであり,2010年は内需回復がみられ,内需156,000トン,輸出16,000トン,計172,000トンが予想される。
 国内需要を中心にみた場合,需要を喚起する要因は多くはないが,エレクトロニクス分野の環境対策(無溶剤化,難燃対応など)と品質向上については需要拡大につながる要素がみてとれる。また,総需要に大きな影響をもつ中国市場を柱とする特殊品の輸出も今後の需要を伸ばすうえで不可欠となるであろう。
 本書は,以上の視点を前提に,エポキシ樹脂業界企業の事業の見直しと,直面する停滞を打破することに貢献することを企図して編集を行った。
 本レポートが関係企業の今後の事業戦略立案などにおいて参考になれば幸いである。

(「はじめに」より)

 2010年12月  シーエムシー・リサーチ 編集部


書籍の内容
【I 原料編】

1. エポキシ樹脂の市場規模
  1.1 市場動向
  1.2 市場規模
  1.3 需要予測
2. エポキシ樹脂の分類
  2.1 エポキシ樹脂の品種別化学構造
  2.2 エポキシ樹脂硬化剤
   (1) 硬化剤の種類と用途
   (2) 硬化剤の需要量
   (3) エポキシ樹脂硬化剤メーカーと銘柄
3. 主要エポキシ樹脂メーカーの展開
  3.1 ジャパンエポキシレジン
  3.2 DIC
  3.3 新日化エポキシ製造
  3.4 旭化成エポキシ
  3.5 ADEKA
  3.6 日本エポキシ樹脂製造
  3.7 アイカ工業
  3.8 日本化薬
  3.9 ダウ・ケミカル日本
  3.10 長春人造樹脂
  3.11 南亜塑料工業
  3.12 藍星集団
  3.13 大連斉化化工
4. エポキシ樹脂業界の再編
5. 生産能力
  5.1 国内のエポキシ樹脂メーカーの生産能力
  5.2 世界のエポキシ樹脂メーカーの生産能力
6. エポキシ樹脂メーカーと製品
7. エポキシ樹脂用原料
  7.1 ビスフェノールA
  7.2 エピクロルヒドリン
  7.3 ビスフェノールF
8. 主要フォーミュレーターの概要
  8.1 荒川化学工業
  8.2 稲畑産業
  8.3 京セラケミカル
  8.4 共栄社化学
  8.5 コニシ
  8.6 サンユレック
  8.7 新日鐵化学
  8.8 信越化学工業
  8.9 坂本薬品工業
  8.10 スリーボンド
  8.11 住友ベークライト
  8.12 セメダイン
  8.13 ダイセル化学工業
  8.14 ダイセル・サイテック
  8.15 寺田
  8.16 DIC
  8.17 ソマール
  8.18 ナガセケムテックス
  8.19 ナミックス
  8.20 日東電工
  8.21 日本合成化工
  8.22 パナソニック電工
  8.23 日立化成工業
  8.24 ファインポリマーズ
  8.25 ベルノックス
  8.26 明電ケミカル
  8.27 森六ケミカルズ
  8.28 利昌工業
  8.29 菱電化成

【II 製品市場編】
1. 電気・電子部品用途
  1.1 電気・電子部品用封止材料
    1.1.1 樹脂封止材料
    1.1.2 セラミック封止材料
    1.1.3 封止材料参入企業と製品
    1.1.4 電子部品用パッケージ名称と機能
     (1) 挿入型
     (2) 表面実装型
    1.1.5 半導体・電子部品封止材料
  1.2 半導体封止用エポキシ材料
    1.2.1 モールドコンパウンドと成形方法
    1.2.2 モールディングコンパウンドメーカーの生産能力
    1.2.3 モールディングコンパウンドの市場規模
    1.2.4 半導体市場
    1.2.5 半導体封止メーカーの概要と製品
     (1) 住友ベークライト
     (2) 日東電工
     (3) 日立化成工業
     (4) 信越化学工業
     (5) 京セラケミカル
     (6) パナソニック電工
  1.3 半導体封止材用の充填材料
    1.3.1 半導体用エポキシ封止材料の配合例
    1.3.2 封止材用充填材料
     (1) フィラーの種類と要求特性
     (2) 充填剤の表面処理と表面処理剤
     (3) 硅石の原料事情
     (4) 輸入白硅石
     (5) 硅石粉(生粉)
     (6) 封止材料向け硅石製品
    1.3.3 シリカ材料の表面処理(シランカップリング剤)
     (1) 半導体封止材
     (2) ガラス繊維
     (3) シーリング材
     (4) タイヤ材
     (5) 架橋ポリエチレン
  1.4 液状エポキシ樹脂封止材
    1.4.1 液状エポキシ封止材の概要
    1.4.2 市場規模
    1.4.3 液状エポキシ封止材メーカーと製品
  1.5 電子回路基板
    1.5.1 電子回路基板の分類
    1.5.2 電子回路基板の種類
    1.5.3 組成による分類
    1.5.4 電子回路用途別材料
    1.5.5 電子回路基板の生産推移
    1.5.6 電子回路基板メーカー68社の概要
  1.6 LED
    1.6.1 LEDの市場動向
    1.6.2 LED封止材の市場規模
    1.6.3 LED封止材の参入メーカー
    1.6.4 LEDパッケージ
    1.6.5 LEDの市場規模
     (1) LEDの用途
     (2) LEDの市場規模
    1.6.6 素材別LEDパッケージメーカーと製品
  1.7 アンダーフィル材
    1.7.1 アンダーフィル材の概要
    1.7.2 アンダーフィル材の市場規模
    1.7.3 アンダーフィル材メーカーと製品
  1.8 ダイボンドペースト・フィルム
    1.8.1 ダイボンドペースト・フィルムの概要
    1.8.2 ダイボンドペースト・フィルムの市場規模
    1.8.3 ダイボンディング材料メーカーと製品
  1.9 導電性材料
    1.9.1 導電性材料の種類と要求特性
    1.9.2 導電性材料の市場規模
     (1) 導電性接着剤(ペースト)
     (2) 導電性塗料
    1.9.3 導電性塗料ペーストの接着剤・塗料メーカーと製品
  1.10 UV硬化性樹脂
    1.10.1 UV硬化性樹脂の市場動向
    1.10.2 エポキシアクリレートオリゴマー
    1.10.3 UV硬化樹脂の特長
    1.10.4 UV硬化性樹脂の市場規模
    1.10.5 UV・EB硬化用オリゴマー参入企業
    1.10.6 UV硬化材料メーカーと製品
    1.10.7 UVインキメーカー
  1.11 その他電子部品の動向
    1.11.1 抵抗器
    1.11.2 コンデンサ
     (1) 用途による分類
     (2) コンデンサの種類とメーカー
    1.11.3 変圧器,コイル
    1.11.4 電子デバイス
    1.11.5 ハイブリッドIC
    1.11.6 水晶デバイス
    1.11.7 電気・電子向けのエポキシ配合樹脂の用途別需要量
    1.11.8 電子部品用エポキシ樹脂メーカーと製品
2. その他の製品
  2.1 繊維強化材料
    2.1.1 カーボンファイバー
     (1) カーボンファイバーの種類と用途
     (2) 原糸形態別の分類
     (3) カーボンファイバーのメーカー生産能力
     (4) カーボンファイバーの国内出荷量推移
     (5) カーボンファイバーの事業形態とプリプレグ
     (6) プリプレグ用樹脂
    2.1.2 グラスファイバー
     (1) FRP
     (2) FRPの用途と樹脂使用状況
  2.2 エポキシ樹脂系接着剤
    2.2.1 需要動向
    2.2.2 エポキシ樹脂系接着剤の市場規模
    2.2.3 エポキシ樹脂系接着剤メーカーと製品
  2.3 エポキシ樹脂塗料
    2.3.1 種類と特徴
    2.3.2 エポキシ樹脂塗料の生産動向
    2.3.3 粉体塗料
    2.3.4 粉体塗料の需給動向

【III 中国のエポキシ樹脂市場編】
1. 中国のエポキシ樹脂生産能力
    1.1 中国のエポキシ樹脂メーカーと生産能力
    1.2 日系フォーミュレーターの中国進出
    1.3 その他のメーカー
2. エポキシ樹脂需給バランスシート
3. エポキシ樹脂需要動向
    3.1 エポキシ樹脂需要量(中国)
    3.2 エポキシ樹脂輸出入動向
    3.3 中国及び香港の輸入,輸出統計
4. 主要需要先

免疫機能性食品の基礎と応用

免疫機能性食品の基礎と応用

発刊日 2010年11月 ISBN978-4-7813-0291-1
体 裁 B5判,227頁

刊行にあたって
免疫とはからだに侵入した病原細菌や病原ウイルスを排除するしくみであり,また,からだのなかに出現した内なる敵であるがん細胞を排除するしくみである。この働きでわたしたちは健康でいられるのである。現在,この免疫系のしくみの全貌はほぼ明らかになっており,その複雑さ,精密さはわれわれ生命の不思議と神秘を強く感じさせてくれる。
 しかし,同時にこの繊細ともいえる免疫系は繊細であるがゆえに毎日摂る“食”の影響を受けやすい。食物の種類がアンバランスであったり,量が足りなかったりすると免疫の働きは低下する。逆に免疫系を維持するには必要なものを適量摂取すれば健康を保持できる。
 この様に免疫系に食は重要な影響を与えているが,その理由はどこにあるのだろうか。
 私は次の様に考えている。第一に免疫系は多くの種類の細胞から構成されている。そして,この細胞は血管,リンパ節を縦横無尽に動き廻っている。だから,この細胞に充分に働いてもらうためには栄養となる成分を充分に補給しなければならない。
 第二に食物が最初に出会うのは最大の免疫系である腸管免疫系であるから,食物の与える影響の度合いも大きいし,その影響はからだ全体に及ぶこと必至である。
 第三にからだ全体の免疫細胞の半分以上が腸に集中していることである。この細胞群は腸に入ってくる食物を排除するためではなく食物に混入し,からだへ侵入しようとしている外敵である菌やウイルスを排除するためのものである。しかし,食物を排除してはならないから,食物を受入れるしくみももっている。
 したがって食物を監視し選ぶ働きがある。その高い能力を維持するには免疫細胞に合った適正な栄養が必要である。
 以上のように食と免疫の関係は深いが両者の関係が良好でなければ,免疫系は異常状態に陥る。そして,感染症,アレルギー,がんなどの疾病を罹患するリスクが高まる。しかし,繰返すようであるが,適正な食を摂っていれば疾病の予防に繋がるのである。
 本書はこのような背景を受けて,免疫系を調節し,からだに良い影響を与える食品「免疫機能性食品」について基礎的な側面と応用的な側面を現在第一線で活躍されている研究者の方々に執筆いただいたものである。
 「基礎編」として最も関係の深い腸管免疫系,そして腸に生息し,免疫をはじめからだの生理状態に重要な影響を与える腸内細菌とその免疫系への作用を中心に執筆いただいた。
 応用編では「免疫賦活編」として乳酸菌を中心とした免疫機能を高める食品成分そして「抗アレルギー編」としてアレルギーを抑制する食品成分について執筆いただいた。
 さらに実際にアレルギーを起こさないように開発した食品について「低アレルゲン化編」そして最後にアレルギーが起こる食品成分を検査し,安全を保つために「検査・安全性編」を執筆いただいた。
 以上の内容は免疫機能性食品の開発に従事しておられる方々に重要であるだけでなく,この分野に興味を抱かれる研究者の方々にも大いに役に立つと信じるものである。是非御一読いただきたい。

書籍の内容
【基礎編】
第1章 腸管免疫系の構造と特性
(南野昌信)
1. 腸管のリンパ組織
2. IgA産生細胞の分化と機能
3. 腸管上皮細胞間リンパ球の分化と機能
4. 腸管内抗原に対する免疫応答
5. おわりに
第2章 腸内フローラとその食物による変動(田村基,伊藤喜久治)
1. 腸内フローラと肥満との関係に関する知見
2. プロバイオティクスと腸内フローラ
3. プレバイオティクスと腸内フローラ
3.1 オリゴ糖

3.2 レジスタントスターチ

4. 食物繊維と腸内フローラ
5. タンパク質と腸内フローラ
6. 脂質と腸内フローラ
7. ポリフェノールと腸内フローラ
8. おわりに
第3章 腸内フローラと免疫機能(高橋恭子)
1. はじめに
2. 腸内フローラの免疫系に対する作用
2.1 腸管免疫系の発達

2.2 腸管免疫系の恒常性の維持及び機能の調節

2.3 腸内フローラと免疫疾患

3. 腸内細菌に対する免疫応答の制御―寛容と排除のバランス―
3.1 粘液および抗菌ペプチドの産生による腸内細菌の体内への侵入の抑制

3.2 獲得免疫応答の誘導とIgA抗体による腸内フローラ構成の維持

3.3 過剰な炎症反応の抑制

第4章 腸内細菌の定着と腸粘膜免疫応答(今岡明美
1. はじめに
2. 腸粘膜免疫系の発達をもたらす腸内細菌種の検索
3. セグメント細菌の定着と腸粘膜免疫系の応答
4. clostridiaの定着と大腸粘膜免疫系の発達
5. 炎症性腸疾患と腸内細菌
6. ヒトフローラ動物の有用性
7. おわりに
第5章 乳酸菌の体内移動(細野朗)
1. はじめに
2. 経口摂取した乳酸菌・ビフィズス菌の腸管内における局在性と免疫反応の惹起
3. バクテリアル・トランスロケーション
4. 腸内共生菌が修飾する宿主免疫系の発達
5. おわりに
第6章 腸管粘膜免疫とアレルギーの制御(近藤直実)
1. 生体の粘膜系の機能
2. 腸管粘膜系とアレルギー
3. アレルギー,特に食物アレルギーの発症機序
4. 腸管粘膜免疫系でのアレルギーの制御
4.1 IgA産生機構

4.2 腸内細菌叢

4.3 経口免疫寛容誘導機構とアレルギーの制御

5. 経口免疫寛容誘導のアレルギー治療への応用
5.1 経口減感作療法(経口特異免疫療法)

5.2 抗原エピトープを修飾した新規食材の開発

第7章 食物アレルギーの発症機構(伊藤節子)
1. 食物アレルギーの定義・分類・症状
2. IgE-mediated food hypersensitivityとしての食物アレルギー
3. 食物アレルギーにおける免疫学的反応と発症に関わる要因
3.1 IgE依存性反応のおこり方と症状発症機序

3.2 食物アレルギーの成立に関わる因子 4. まとめ

第8章 腸管免疫応答に重要なM細胞の細菌認識受容体(大野博司)
1. はじめに
2. FAEとM細胞
3. M細胞上の細菌受容体
3.1 Glycoprotein 2

3.2 プリオン蛋白質

4. おわりに―新たな経口ワクチン開発の可能性―
第9章 腸内細菌の特定とIL-17産生細胞(西尾純子,本田賢也)
1. はじめに
2. Th17細胞とは
3. IL-17産生自然免疫細胞
4. IL-17産生細胞の機能
5. 腸内細菌によるIL-17産生細胞誘導
6. セグメント細菌によるTh17細胞誘導
7. 消化管IL-17産生細胞と疾患の関係
8. おわりに
【免疫賦活編】
第10章 乳酸菌の免疫調節作用
(出雲貴幸)
1. はじめに
2. S-PT84株のT-helper 1(Th1)免疫活性化作用
3. S-PT84株のTh1免疫活性化作用に及ぼす乳酸菌培養温度の影響
4. S-PT84株の細胞壁構成成分に及ぼす培養温度の影響
5. S-PT84株の細胞壁厚みに及ぼす培養温度の影響
6. IL-12誘導作用と各種乳酸菌の細胞壁厚みとの関係
7. S-PT84株のヒト免疫機能に対する作用
8. おわりに
第11章 乳酸菌がつくるEPS(多糖体)の免疫賦活作用(池上秀二)
1. はじめに
2. 1073R-1乳酸菌が産生するEPS,1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトの免疫賦活作用
2.1 In vitroにおけるEPSのIFN-γ産生誘導活性

2.2 マウスへの経口投与によるNK活性増強効果

3. 1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトの健常高齢者における風邪症候群への罹患リスク低減効果
3.1 山形県舟形町での臨床試験

3.2 佐賀県有田町での臨床試験

3.3 2つの臨床試験結果のメタ解析

4. 1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルト,EPSの抗インフルエンザウイルス活性
5. おわりに
第12章 納豆菌の免疫賦活作用(西谷啓
1. はじめに
2. 納豆菌のIL-12 p40誘導能
3. アトピー性皮膚炎モデルマウスに対する納豆菌の効果
4. 抗原誘発鼻汁漏出モデルモルモットに対する納豆菌の効果
5. 免疫機能性の高い納豆の開発とヒト介入試験
6. おわりに
第13章 微生物多糖の生理機能―黒酵母由来β-1,3-1,6-グルカンの免疫賦活・調節作用―(鈴木利雄)
1. はじめに
2. 微生物多糖について
3. 生理機能と多糖
4. 発酵法によるβ-1,3-1,6-グルカンの生産
5. 可溶化β-1,3-1,6-グルカンの安全性と生理機能について
5.1 既存添加物としての黒酵母Aureobasidium pullulansの培養液

5.2 急性経口毒性試験

5.3 28日反復経口投与試験(亜急性毒性試験)

5.4 皮膚・眼粘膜に対する刺激試験

5.5 ヒトパッチ試験

6. 可溶化β-1,3-1,6-グルカンの生理機能と免疫機能とのかかわりについて
6.1 可溶化β-1,3-1,6-グルカンの免疫賦活効果について

6.2 腸管免疫賦活効果について

6.3 抗腫瘍および抗癌転移効果について

6.4 抗I型アレルギー作用について

7. ストレスと免疫調節効果について
7.1 可溶化β-1,3-1,6-グルカンによるストレス低減効果

7.2 可溶化β-1,3-1,6-グルカンによる免疫機能改善効果について

8. おわりに
【抗アレルギー編】
第14章 乳酸菌の花粉症抑制作用
(藤原茂)
1. はじめに
2. スギ花粉の飛散状況と罹患者数の変化
3. スギ花粉症の発症機序
4. 衛生仮説
5. 衛生仮説修正と初期腸内細菌叢の構成
6. 乳酸菌によるアレルギー抑制
7. 乳酸菌の選抜
8. 乳酸菌と花粉症の改善
9. 乳酸菌による花粉症の改善機構
10. おわりに
第15章 しょうゆ諸味由来乳酸菌Tetragenococcus halophilus KK221(Th221株)の抗アレルギー作用(西村郁子,小幡明雄)
1. はじめに
2. 抗アレルギー作用の強い乳酸菌の選抜
3. KK221の経口摂取によるTh1誘導の確認
4. アレルギーモデルマウスを用いた試験
5. 通年性アレルギー性鼻炎ボランティアを対象とした臨床試験
6. おわりに
第16章 プロバイオティクスの炎症性腸疾患抑制作用(西谷洋輔,水野雅史)
1. はじめに
2. プロバイオティクスが腸管炎症に及ぼす作用について
2.1 粘膜免疫応答の制御

2.2 腸管上皮細胞機能の制御

3. Lactococcus lactis subsp.cremoris FCの腸管炎症抑制作用について
3.1 in vitro腸管炎症モデルにおけるL.lactis subsp.cremoris FCの抗炎症作用

3.2 L.lactis subsp.cremoris FCによるDSS誘導性腸炎の抑制効果

4. おわりに
第17章 緑茶の抗アレルギー作用(山本(前田)万里)
1. はじめに
2. アレルギー発症の機序と茶のアレルギー抑制作用
3. 茶葉中抗アレルギー物質
3.1 メチル化カテキン

3.2 ストリクチニン

3.3 メチル化カテキンを多く含む茶品種とヒト介入試験

4. おわりに
第18章 微粒子化シイタケ由来成分レンチナンの抗アレルギー作用(佐山浩二)
1. はじめに
2. 微粒子化レンチナン
3. Th1/Th2バランスとアレルギー
4. アレルギー性結膜炎に対する効果
5. アトピー性皮膚炎に対する効果
6. 安全性に関して
7. 効果発現のメカニズムと今後の臨床応用
第19章 スギ花粉症緩和米の開発(高岩文雄)
1. はじめに
2. 免疫寛容に関わる腸管粘膜免疫組織
3. 種子を介した腸管関連免疫組織へのデリバリーシステム
4. イネ種子をバイオリアクターとして利用した抗原生産の利点
5. 経口免疫寛容を利用した“食べるワクチン米”の開発
6. スギ花粉症緩和米の現状と今後
第20章 ホップ水抽出物の花粉症軽減効果(脇田義久)
1. はじめに
2. ホップ水抽出物の性状および安全性
3. ヒト試験の方法
4. 結果
5. おわりに
【低アレルゲン化編】
第21章 ミルクアレルギーの赤ちゃんのためのペプチドミルク
(木ノ内俊)
1. はじめに
2. ミルクアレルギー児にとってのペプチドミルクの有用性
2.1 ミルクアレルゲン症状の除去

2.2 カゼイン分解物と乳清たんぱく質分解物の違い

3. ペプチドミルクの栄養学的特殊性
3.1 栄養素の吸収,利用効率と発育

3.2 ビオチン等の不足

3.3 肝機能

3.4 ペプチドミルクの風味

3.5 消化を要するたんぱく質の摂取の重要性

4. おわりに
第22章 低アレルゲン化大豆加工食品の開発(森山達哉,小川正)
1. はじめに
2. 食物アレルギーの多様性と原因アレルゲン
3. 大豆のクラス1食物アレルゲン
4. 大豆のクラス2食物アレルゲン
5. その他の特殊な大豆のアレルギー
6. 低アレルゲン化大豆加工食品の開発と流通システムの構築
6.1 アレルギーリスク低減化と実用化の戦略

6.2 アレルゲン性の評価法の確立

6.3 低アレルゲン大豆の創出

6.4 発酵食品のアレルゲン性

6.5 物理化学的手法による低減化

6.6 酵素利用による低減化食品

6.7 化学的修飾による低減化

6.8 低アレルゲン化加工食品の流通システムの構築

【検査・安全性編】
第23章 アレルギー物質を含む食品の検査法
(前田理,平尾宜司)
1. はじめに
2. 食物アレルギー表示制度の概要
3. アレルギー物質を含む食品の検査法
3.1 ELISA

3.2 ウエスタンブロット法

3.3 イムノクロマト法

3.4 LC-MS/MS法

3.5 定性PCR

3.6 定量PCR

4. 日本のアレルギー物質を含む食品の通知試験法
5. 検査上の注意点
6. まとめ
第24章 加工食品にも対応可能な食品アレルギー用検査キット(山本貴之)
1. はじめに
2. 定量スクリーニングとしてのELISA
3. 従来測定法の問題点と解決方法
4. 加工食品の測定例
5. 新たに抱えるELISA法の問題点と対応
6. ELISA法以外の特定原材料検査について
7. おわりに
第25章 アレルギー物質を含む食品の表示(豊田正武,太田裕見)
1. これまでの経緯
2. 表示対象品目
3. 代わりの表記について
4. アレルギー物質の表示方法
5. 複合原材料について
6. 表示義務がない場合
7. コンタミネーションについて

免疫機能性食品の基礎と応用

技術者・研究者向けの技術書籍紹

免疫機能性食品の基礎と応用


発刊日 2010年11月 ISBN978-4-7813-0291-1
体 裁 B5判,227頁

刊行にあたって
免疫とはからだに侵入した病原細菌や病原ウイルスを排除するしくみであり,また,からだのなかに出現した内なる敵であるがん細胞を排除するしくみである。この働きでわたしたちは健康でいられるのである。現在,この免疫系のしくみの全貌はほぼ明らかになっており,その複雑さ,精密さはわれわれ生命の不思議と神秘を強く感じさせてくれる。
 しかし,同時にこの繊細ともいえる免疫系は繊細であるがゆえに毎日摂る“食”の影響を受けやすい。食物の種類がアンバランスであったり,量が足りなかったりすると免疫の働きは低下する。逆に免疫系を維持するには必要なものを適量摂取すれば健康を保持できる。
 この様に免疫系に食は重要な影響を与えているが,その理由はどこにあるのだろうか。
 私は次の様に考えている。第一に免疫系は多くの種類の細胞から構成されている。そして,この細胞は血管,リンパ節を縦横無尽に動き廻っている。だから,この細胞に充分に働いてもらうためには栄養となる成分を充分に補給しなければならない。
 第二に食物が最初に出会うのは最大の免疫系である腸管免疫系であるから,食物の与える影響の度合いも大きいし,その影響はからだ全体に及ぶこと必至である。
 第三にからだ全体の免疫細胞の半分以上が腸に集中していることである。この細胞群は腸に入ってくる食物を排除するためではなく食物に混入し,からだへ侵入しようとしている外敵である菌やウイルスを排除するためのものである。しかし,食物を排除してはならないから,食物を受入れるしくみももっている。
 したがって食物を監視し選ぶ働きがある。その高い能力を維持するには免疫細胞に合った適正な栄養が必要である。
 以上のように食と免疫の関係は深いが両者の関係が良好でなければ,免疫系は異常状態に陥る。そして,感染症,アレルギー,がんなどの疾病を罹患するリスクが高まる。しかし,繰返すようであるが,適正な食を摂っていれば疾病の予防に繋がるのである。
 本書はこのような背景を受けて,免疫系を調節し,からだに良い影響を与える食品「免疫機能性食品」について基礎的な側面と応用的な側面を現在第一線で活躍されている研究者の方々に執筆いただいたものである。
 「基礎編」として最も関係の深い腸管免疫系,そして腸に生息し,免疫をはじめからだの生理状態に重要な影響を与える腸内細菌とその免疫系への作用を中心に執筆いただいた。
 応用編では「免疫賦活編」として乳酸菌を中心とした免疫機能を高める食品成分そして「抗アレルギー編」としてアレルギーを抑制する食品成分について執筆いただいた。
 さらに実際にアレルギーを起こさないように開発した食品について「低アレルゲン化編」そして最後にアレルギーが起こる食品成分を検査し,安全を保つために「検査・安全性編」を執筆いただいた。
 以上の内容は免疫機能性食品の開発に従事しておられる方々に重要であるだけでなく,この分野に興味を抱かれる研究者の方々にも大いに役に立つと信じるものである。是非御一読いただきたい。


書籍の内容
【基礎編】
第1章 腸管免疫系の構造と特性
(南野昌信)
1. 腸管のリンパ組織
2. IgA産生細胞の分化と機能
3. 腸管上皮細胞間リンパ球の分化と機能
4. 腸管内抗原に対する免疫応答
5. おわりに
第2章 腸内フローラとその食物による変動(田村基,伊藤喜久治)
1. 腸内フローラと肥満との関係に関する知見
2. プロバイオティクスと腸内フローラ
3. プレバイオティクスと腸内フローラ
3.1 オリゴ糖

3.2 レジスタントスターチ

4. 食物繊維と腸内フローラ
5. タンパク質と腸内フローラ
6. 脂質と腸内フローラ
7. ポリフェノールと腸内フローラ
8. おわりに
第3章 腸内フローラと免疫機能(高橋恭子)
1. はじめに
2. 腸内フローラの免疫系に対する作用
2.1 腸管免疫系の発達

2.2 腸管免疫系の恒常性の維持及び機能の調節

2.3 腸内フローラと免疫疾患

3. 腸内細菌に対する免疫応答の制御―寛容と排除のバランス―
3.1 粘液および抗菌ペプチドの産生による腸内細菌の体内への侵入の抑制

3.2 獲得免疫応答の誘導とIgA抗体による腸内フローラ構成の維持

3.3 過剰な炎症反応の抑制

第4章 腸内細菌の定着と腸粘膜免疫応答(今岡明美
1. はじめに
2. 腸粘膜免疫系の発達をもたらす腸内細菌種の検索
3. セグメント細菌の定着と腸粘膜免疫系の応答
4. clostridiaの定着と大腸粘膜免疫系の発達
5. 炎症性腸疾患と腸内細菌
6. ヒトフローラ動物の有用性
7. おわりに
第5章 乳酸菌の体内移動(細野朗)
1. はじめに
2. 経口摂取した乳酸菌・ビフィズス菌の腸管内における局在性と免疫反応の惹起
3. バクテリアル・トランスロケーション
4. 腸内共生菌が修飾する宿主免疫系の発達
5. おわりに
第6章 腸管粘膜免疫とアレルギーの制御(近藤直実)
1. 生体の粘膜系の機能
2. 腸管粘膜系とアレルギー
3. アレルギー,特に食物アレルギーの発症機序
4. 腸管粘膜免疫系でのアレルギーの制御
4.1 IgA産生機構

4.2 腸内細菌叢

4.3 経口免疫寛容誘導機構とアレルギーの制御

5. 経口免疫寛容誘導のアレルギー治療への応用
5.1 経口減感作療法(経口特異免疫療法)

5.2 抗原エピトープを修飾した新規食材の開発

第7章 食物アレルギーの発症機構(伊藤節子)
1. 食物アレルギーの定義・分類・症状
2. IgE-mediated food hypersensitivityとしての食物アレルギー
3. 食物アレルギーにおける免疫学的反応と発症に関わる要因
3.1 IgE依存性反応のおこり方と症状発症機序

3.2 食物アレルギーの成立に関わる因子 4. まとめ

第8章 腸管免疫応答に重要なM細胞の細菌認識受容体(大野博司)
1. はじめに
2. FAEとM細胞
3. M細胞上の細菌受容体
3.1 Glycoprotein 2

3.2 プリオン蛋白質

4. おわりに―新たな経口ワクチン開発の可能性―
第9章 腸内細菌の特定とIL-17産生細胞(西尾純子,本田賢也)
1. はじめに
2. Th17細胞とは
3. IL-17産生自然免疫細胞
4. IL-17産生細胞の機能
5. 腸内細菌によるIL-17産生細胞誘導
6. セグメント細菌によるTh17細胞誘導
7. 消化管IL-17産生細胞と疾患の関係
8. おわりに
【免疫賦活編】
第10章 乳酸菌の免疫調節作用
(出雲貴幸)
1. はじめに
2. S-PT84株のT-helper 1(Th1)免疫活性化作用
3. S-PT84株のTh1免疫活性化作用に及ぼす乳酸菌培養温度の影響
4. S-PT84株の細胞壁構成成分に及ぼす培養温度の影響
5. S-PT84株の細胞壁厚みに及ぼす培養温度の影響
6. IL-12誘導作用と各種乳酸菌の細胞壁厚みとの関係
7. S-PT84株のヒト免疫機能に対する作用
8. おわりに
第11章 乳酸菌がつくるEPS(多糖体)の免疫賦活作用(池上秀二)
1. はじめに
2. 1073R-1乳酸菌が産生するEPS,1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトの免疫賦活作用
2.1 In vitroにおけるEPSのIFN-γ産生誘導活性

2.2 マウスへの経口投与によるNK活性増強効果

3. 1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトの健常高齢者における風邪症候群への罹患リスク低減効果
3.1 山形県舟形町での臨床試験

3.2 佐賀県有田町での臨床試験

3.3 2つの臨床試験結果のメタ解析

4. 1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルト,EPSの抗インフルエンザウイルス活性
5. おわりに
第12章 納豆菌の免疫賦活作用(西谷啓
1. はじめに
2. 納豆菌のIL-12 p40誘導能
3. アトピー性皮膚炎モデルマウスに対する納豆菌の効果
4. 抗原誘発鼻汁漏出モデルモルモットに対する納豆菌の効果
5. 免疫機能性の高い納豆の開発とヒト介入試験
6. おわりに
第13章 微生物多糖の生理機能―黒酵母由来β-1,3-1,6-グルカンの免疫賦活・調節作用―(鈴木利雄)
1. はじめに
2. 微生物多糖について
3. 生理機能と多糖
4. 発酵法によるβ-1,3-1,6-グルカンの生産
5. 可溶化β-1,3-1,6-グルカンの安全性と生理機能について
5.1 既存添加物としての黒酵母Aureobasidium pullulansの培養液

5.2 急性経口毒性試験

5.3 28日反復経口投与試験(亜急性毒性試験)

5.4 皮膚・眼粘膜に対する刺激試験

5.5 ヒトパッチ試験

6. 可溶化β-1,3-1,6-グルカンの生理機能と免疫機能とのかかわりについて
6.1 可溶化β-1,3-1,6-グルカンの免疫賦活効果について

6.2 腸管免疫賦活効果について

6.3 抗腫瘍および抗癌転移効果について

6.4 抗I型アレルギー作用について

7. ストレスと免疫調節効果について
7.1 可溶化β-1,3-1,6-グルカンによるストレス低減効果

7.2 可溶化β-1,3-1,6-グルカンによる免疫機能改善効果について

8. おわりに
【抗アレルギー編】
第14章 乳酸菌の花粉症抑制作用
(藤原茂)
1. はじめに
2. スギ花粉の飛散状況と罹患者数の変化
3. スギ花粉症の発症機序
4. 衛生仮説
5. 衛生仮説修正と初期腸内細菌叢の構成
6. 乳酸菌によるアレルギー抑制
7. 乳酸菌の選抜
8. 乳酸菌と花粉症の改善
9. 乳酸菌による花粉症の改善機構
10. おわりに
第15章 しょうゆ諸味由来乳酸菌Tetragenococcus halophilus KK221(Th221株)の抗アレルギー作用(西村郁子,小幡明雄)
1. はじめに
2. 抗アレルギー作用の強い乳酸菌の選抜
3. KK221の経口摂取によるTh1誘導の確認
4. アレルギーモデルマウスを用いた試験
5. 通年性アレルギー性鼻炎ボランティアを対象とした臨床試験
6. おわりに
第16章 プロバイオティクスの炎症性腸疾患抑制作用(西谷洋輔,水野雅史)
1. はじめに
2. プロバイオティクスが腸管炎症に及ぼす作用について
2.1 粘膜免疫応答の制御

2.2 腸管上皮細胞機能の制御

3. Lactococcus lactis subsp.cremoris FCの腸管炎症抑制作用について
3.1 in vitro腸管炎症モデルにおけるL.lactis subsp.cremoris FCの抗炎症作用

3.2 L.lactis subsp.cremoris FCによるDSS誘導性腸炎の抑制効果

4. おわりに
第17章 緑茶の抗アレルギー作用(山本(前田)万里)
1. はじめに
2. アレルギー発症の機序と茶のアレルギー抑制作用
3. 茶葉中抗アレルギー物質
3.1 メチル化カテキン

3.2 ストリクチニン

3.3 メチル化カテキンを多く含む茶品種とヒト介入試験

4. おわりに
第18章 微粒子化シイタケ由来成分レンチナンの抗アレルギー作用(佐山浩二)
1. はじめに
2. 微粒子化レンチナン
3. Th1/Th2バランスとアレルギー
4. アレルギー性結膜炎に対する効果
5. アトピー性皮膚炎に対する効果
6. 安全性に関して
7. 効果発現のメカニズムと今後の臨床応用
第19章 スギ花粉症緩和米の開発(高岩文雄)
1. はじめに
2. 免疫寛容に関わる腸管粘膜免疫組織
3. 種子を介した腸管関連免疫組織へのデリバリーシステム
4. イネ種子をバイオリアクターとして利用した抗原生産の利点
5. 経口免疫寛容を利用した“食べるワクチン米”の開発
6. スギ花粉症緩和米の現状と今後
第20章 ホップ水抽出物の花粉症軽減効果(脇田義久)
1. はじめに
2. ホップ水抽出物の性状および安全性
3. ヒト試験の方法
4. 結果
5. おわりに
【低アレルゲン化編】
第21章 ミルクアレルギーの赤ちゃんのためのペプチドミルク
(木ノ内俊)
1. はじめに
2. ミルクアレルギー児にとってのペプチドミルクの有用性
2.1 ミルクアレルゲン症状の除去

2.2 カゼイン分解物と乳清たんぱく質分解物の違い

3. ペプチドミルクの栄養学的特殊性
3.1 栄養素の吸収,利用効率と発育

3.2 ビオチン等の不足

3.3 肝機能

3.4 ペプチドミルクの風味

3.5 消化を要するたんぱく質の摂取の重要性

4. おわりに
第22章 低アレルゲン化大豆加工食品の開発(森山達哉,小川正)
1. はじめに
2. 食物アレルギーの多様性と原因アレルゲン
3. 大豆のクラス1食物アレルゲン
4. 大豆のクラス2食物アレルゲン
5. その他の特殊な大豆のアレルギー
6. 低アレルゲン化大豆加工食品の開発と流通システムの構築
6.1 アレルギーリスク低減化と実用化の戦略

6.2 アレルゲン性の評価法の確立

6.3 低アレルゲン大豆の創出

6.4 発酵食品のアレルゲン性

6.5 物理化学的手法による低減化

6.6 酵素利用による低減化食品

6.7 化学的修飾による低減化

6.8 低アレルゲン化加工食品の流通システムの構築

【検査・安全性編】
第23章 アレルギー物質を含む食品の検査法
(前田理,平尾宜司)
1. はじめに
2. 食物アレルギー表示制度の概要
3. アレルギー物質を含む食品の検査法
3.1 ELISA

3.2 ウエスタンブロット法

3.3 イムノクロマト法

3.4 LC-MS/MS法

3.5 定性PCR

3.6 定量PCR

4. 日本のアレルギー物質を含む食品の通知試験法
5. 検査上の注意点
6. まとめ
第24章 加工食品にも対応可能な食品アレルギー用検査キット(山本貴之)
1. はじめに
2. 定量スクリーニングとしてのELISA
3. 従来測定法の問題点と解決方法
4. 加工食品の測定例
5. 新たに抱えるELISA法の問題点と対応
6. ELISA法以外の特定原材料検査について
7. おわりに
第25章 アレルギー物質を含む食品の表示(豊田正武,太田裕見)
1. これまでの経緯
2. 表示対象品目
3. 代わりの表記について
4. アレルギー物質の表示方法
5. 複合原材料について
6. 表示義務がない場合
7. コンタミネーションについて

次世代光医療 ―レーザー技術の臨床への橋渡し―

技術者・研究者向けの技術図書紹介

次世代光医療 ―レーザー技術の臨床への橋渡し―


発刊日 2010年11月 ISBN978-4-7813-0256-0
体 裁 B5判,252頁


刊行にあたって
 Laser発振50周年の今年あちこちで記念イベントが開かれている。
 レーザーは発明された翌年から眼科や歯科での応用が試みられ,その後新しいレーザー光源が世に出ると,その特徴を活かした治療法の開発が進み,現在では多診療科において幅広く用いられている。ただ,昨今のレーザー・光科学の急速な進歩に対し,この恩恵を臨床での光医療が被るには,残念ながら数年以上のタイムラグがあると言っても過言ではない。レーザーを中心とした光医療をさらに優れた診断・治療法と位置づけると共に開発タイムラグを短くするには,対象となる生体組織とレーザーとの相互作用に対する基礎的検討とその結果を活かす治療法の開発,迅速なデバイス開発などが喫緊の課題である。
 このような状況の中,本書「次世代光医療」を執筆・刊行することとなった。各分野のリーディング研究者による渾身の執筆のおかげで,2010年時に近未来として望める次世代光医療を俯瞰するにふさわしい幅広く深い内容となった。既にこの分野で活躍の方,また今後,光診断・治療を研究・ビジネス等の対象とされる方にお読みいただければ幸いである。

(「刊行にあたって」より抜粋)

2010年11月  大阪大学 粟津邦男


書籍の内容
【第1編 医療におけるレーザー利用の基礎】
第1章 医療用レーザー
(興雄司)
1. 医療用レーザー
  1.1 紫外領域

  1.2 青色-青緑色領域

  1.3 緑領域

  1.4 黄・オレンジ領域

  1.5 赤領域

  1.6 近赤外域

  1.7 中赤外域・遠赤外域

  1.8 おわりに

第2章 医療用導光システムの技術(松浦祐司)
1. 石英ガラス光ファイバ
2. 赤外光伝送用ファイバ
  2.1 酸化物・フッ化物ガラスファイバ

  2.2 カルコゲナイドガラスファイバ

  2.3 多結晶ファイバ

3. 中空光ファイバ
4. 光ファイバを利用した先端光学素子
第3章 光と生体組織との相互作用(粟津邦男,間久直)

1. はじめに
2. 生体組織の特性を示すパラメーター
  2.1 光学的特性

  2.2 熱的特性

  2.3 機械的特性

3. 光照射条件を表すためのパラメーター
4. 熱的相互作用と機械的相互作用
  4.1 熱的相互作用

  4.2 機械的相互作用

5. 相互作用の制御
【第2編 分野別レーザー治療】
第4章 眼科における診断・治療
(澤田修,大路正人)
1. はじめに
2. 角膜のレーザー診断機器
  2.1 IOLマスター(Carl Zeiss社)

  2.2 波面センサー

  2.3 Visante OCT(Carl Zeiss社)

  2.4 Heidelberg Retina Tomograph II Rostock-cornea-module(Heidelberg Engineering社)

3. 角膜のレーザー治療機器
  3.1 治療的レーザー角膜切除術

  3.2 レーザー角膜内切削形成術

  3.3 フェムトセカンドレーザー

4. 網膜のレーザー診断機器
  4.1 走査レーザー検眼鏡

5. 網膜のレーザー治療機器
  5.1 レーザー網膜光凝固

  5.2 マイクロパルスレーザー

  5.3 パスカルレーザー(OptiMedica社)

  5.4 光線力学療法

6. 緑内障のレーザー治療機器
  6.1 レーザー虹彩切開術

  6.2 選択的レーザー線維柱帯形成術

  6.3 レーザー毛様体破壊術

7. おわりに
第5章 歯科におけるレーザー治療の現状(加藤純二)
1. はじめに
2. 現在使用されている歯科用レーザーの機種
3. 臨床における歯科用レーザーの応用
  3.1 レーザーメスとしての口腔外科手術への応用

  3.2 レーザーによる齲食予防

  3.3 レーザーによる歯の切削

  3.4 レーザーの歯周病への応用

  3.5 レーザーの歯髄処置への応用

  3.6 レーザーによる疼痛緩和

  3.7 レーザーによる齲食診断

  3.8 レーザーによる溶接

4. 波長とパワー密度からみた歯科用レーザーの使用法
5. まとめ
第6章 循環器疾患に対するレーザー治療の有用性とその対策(岡田昌義)
1. はじめに
2. 末期的虚血性心疾患に対するレーザーの応用
  2.1 心筋の微小循環と心筋内貫通孔との関係

  2.2 心筋内貫通孔の作成法

  2.3 心筋内貫通孔の組織反応

  2.4 心筋内貫通孔と心筋内圧,左室内圧との関係

  2.5 心筋梗塞作成後と心筋内貫通孔作成後の心筋血液量と血清酵素の比較

  2.6 心筋梗塞作成後と心筋内貫通孔作成後の肉眼的な変化について

  2.7 心筋貫通孔の長期開存性について

  2.8 心筋内貫通孔作成(TMLR)の臨床応用

3. 細小血管に対するレーザーによる血管吻合法
  3.1 レーザーによる血管縫合の目的とその理論

  3.2 レーザーエネルギーの条件と血管壁との反応

  3.3 レーザーによる血管吻合法

  3.4 血管吻合部の組織所見とその強度

  3.5 レーザー血管吻合の臨床応用

4. レーザーによる血管内治療について
  4.1 レーザーの条件と組織的所見

  4.2 レーザー血管内治療の方法とその要点

  4.3 レーザー血管内治療法の臨床応用

5. おわりに
第7章 皮膚科医がおこなうレーザー治療渡辺晋一)
1. 皮膚科におけるレーザー治療の分類
2. Selective photothermolysis(SP)とは
  2.1 波長

  2.2 照射エネルギー

3. レーザー治療機器
4. 色素性皮膚病変に対するレーザー治療
  4.1 メラニンなどの色素が真皮に増加している病変

  4.2 メラニンが表皮内に増加している病変

5. 血管腫(赤あざ)
  5.1 単純性血管腫

  5.2 イチゴ状血管腫

6. レーザー(光)脱毛
7. レザーによる皮膚の若返り(skin rejuvenation)
  7.1 Photoablation

  7.2 Nonablative laser

  7.3 Fractional laser skin resurfacing

8. レーザーメス
第8章 形成・美容皮膚科におけるレーザー治療(市川広太,宮坂宗男)
1. はじめに
2. 総論
  2.1 レーザーおよび関連機器の種類と選択

  2.2 レーザー治療の安全管理

  2.3 皮膚レーザー治療に共通する基本事項

  2.4 合併症と禁忌

  2.5 市場の動向と将来の潮流

3. 治療各論
  3.1 Abrativeレーザーリサーフェシング

  3.2 皮膚若返り,nonabrativeなリサーフェシング

  3.3 脱毛

  3.4 シミ

  3.5 ホクロ,皮膚腫瘍

  3.6 毛細血管拡張症,下肢静脈瘤

  3.7 肥厚性瘢痕,皮膚線状

  3.8 脂肪

  3.9 刺青

  3.10 白斑

  3.11 ニキビ

  3.12 発毛

4. おわりに
第9章 泌尿器科におけるレーザー治療岩村正嗣,馬場志郎)
1. 泌尿器科領域におけるレーザー治療の歴史
2. 泌尿器科領域に用いられるレーザーとその特性
  2.1 Nd:YAGレーザー

  2.2 KTPレーザー

  2.3 Ho:YAGレーザー

  2.4 ダイオードレーザー

  2.5 CO2レーザー

3. 主な泌尿器科疾患に対するレーザー治療の現状
  3.1 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia;BPH)

  3.2 尿路結石に対するレーザー破砕術

  3.3 尿道および尿管狭窄に対する内視鏡的切開術

  3.4 尿路上皮癌のレーザー治療

4. 新たなレーザー
  4.1 Frequency doubled double-pulse Nd:YAG(FREDDY)レーザー

  4.2 Erbilium(Er):YAGレーザー

  4.3 Thuliumファイバーレーザー

5. 将来展望
第10章 耳鼻咽喉科・頭頸部外科におけるレーザー治療池田勝久)
1. はじめに
2. 耳科領域
3. 鼻副鼻腔領域
4. 咽頭領域
5. 喉頭領域
6. 頭頸部癌
7. 近未来・次世代のレーザー医療
【第3編 応用と新展開】
第11章 光線力学療法(PDT)の適応拡大と将来
(奥仲哲弥,臼田実男)
1. はじめに
2. PDTの歴史と許認可について
3. 光線力学的治療とは
  3.1 光感受性物質

  3.2 レーザー装置

  3.3 治療方法

  3.4 メカニズムの解析

  4. 認可されている四腫瘍の適応拡大への現状と課題

  4.1 肺がんに対するPDT

  4.2 早期食道がんに対するPDT

  4.3 早期胃がんに対するPDT

  4.4 早期子宮頚部がんに対するPDT

5. その他の腫瘍への適応拡大
6. がん以外での適応拡大
7. おわりに
第12章 利用拡大を目指した5-ALAを用いたがんのPDD・PDT(三好憲雄,伊藤慎治,福永幸裕,木下英荘)
1. はじめに
2. PDT用レーザー製造の危機的状況
3. 5-ALAがなぜ有望か?
4. 今後の光線力学治療法で今後改善できるもの
第13章 腰椎間板ヘルニアのレーザー治療(岩月幸一)
第14章 脳神経外科のレーザーなどの光診断と治療(梶本宜永)
1. はじめに
2. 脳神経外科領域におけるPDD
  2.1 蛍光術顕微鏡の開発

  2.2 各種蛍光色素とその適応

  2.3 5-ALAによる蛍光ガイド下手術

  2.4 悪性神経膠腫以外の腫瘍

3. 脳神経外科領域におけるPDT
  3.1 バイナリー治療としてのPDT

  3.2 脳腫瘍のPDTの歴史

  3.3 各種の光感受性物質

4.  ALA-PDT 4.1 Leserphyrin(Talaporfin sodium)PDT
第15章 光がおよぼす細胞作用―低出力レーザーによる細胞増殖効果―(櫛引俊宏)
1. 細胞内光受容体
  1.1 チトクロム c オキシダーゼ(Cytochrome c oxidase)

  1.2 ポルフィリン

  1.3 フラボタンパク質(フラビンタンパク質)

  1.4 その他

2. 光照射後の細胞内シグナルカスケード
  2.1 酸化還元経路

  2.2 転写因子

  2.3 細胞増殖に関するセルシグナリング

3. おわりに
第16章 生体分子振動領域での新しいレーザー診断・治療(石井克典,粟津邦男)
1. 分子振動と中赤外波長
2. 分子振動領域での臨床・研究例
  2.1 Ho:YAGレーザー

  2.2 Er,Cr:YSGGレーザー

  2.3 Er:YAGレーザー

  2.4 CO2レーザー

3. 分子振動領域での選択的治療に向けた研究の動向
  3.1 波長5.75μmを用いた動脈硬化治療

  3.2 波長6.02μmを用いた齲蝕除去治療

  3.3 波長10.6μmを用いた内視鏡的消化器がん治療

  3.4 波長6μm帯を用いた新規レーザーメス

第17章 再生医療の実現に貢献するレーザー・光技術(松村耕治,石原美弥)
1. はじめに
2. フローサイトメトリーの再生医療への応用
3. 光音響法の再生医療への応用
4. 分子イメージングの再生医療への応用
5. おわりに
第18章 光イメージング・OCT(近江雅人)
1. はじめに
2. OCTのイメージング光学系と基本特性
3. OCTによる医療診断
4. 高分解能OCT
5. 高速OCT
6. OCTの生理学分野への応用
7. 今後の展望
【第4編 安全の確保とその対策】
第19章 光およびレーザーの安全
(橋新裕一)
1. はじめに
2. 安全・安心の基本
3. 光・レーザーの性質・特徴
  3.1 直進性・平行性

  3.2 単色性

  3.3 高集光性・高出力性

  3.4 高干渉性

4. 光・レーザーと生体との相互作用
  4.1 光・レーザーと物質との相互作用

  4.2 光・レーザーと眼球との相互作用

  4.3 レーザーパワー・エネルギー,照射時間の影響

5. 光・レーザーによるヒヤリハット・事故例
6. 光・レーザーの安全対策
第20章 新レーザ医療機器の開発と審査鈴木由香,菊地克史,黒川良望)
1. はじめに
2. 医療機器の規制について
3. 承認審査について
4. レーザ医療機器における承認審査関連の基準と安全性評価
  4.1 レーザ医療機器に関する承認基準

  4.2 レーザ手術装置に関する通知

  4.3 レーザの安全性に関する国際規格

  4.4 その他,参考となるガイドライン

  4.5 基準適用外のレーザ医療機器

5. 市販後の安全管理について
6. 課題
7. おわりに
【第5編 機器・装置】
第21章 歯科レーザー装置
岡上吉秀)
1. はじめに
2. 歯科用レーザーの現状
  2.1 Nd:YAGレーザー

  2.2 半導体レーザー

  2.3 炭酸ガスレーザー

  2.4 Er:YAGレーザー

3. 歯周病治療への応用
4. これからの歯科用レーザー装置
第22章 自由電子レーザー装置の応用・用途(間久直)
1. 自由電子レーザーとは
2. 自由電子レーザーの原理
3. 自由電子レーザー装置
4. 自由電子レーザーの応用・用途
5. まとめ

技術者・研究者向けの技術図書紹介

食品機能素材 IV

監 修 太田明
発刊日 2010年11月 ISBN978-4-7813-0196-9

刊行にあたって
 食の栄養機能や特有の生理機能を活用し,健康の保持・増進,QOLの向上をはかるために,植物,動物,菌類,ミネラルなどについて,それらが有する機能を取りまとめ,多くの方のご協力により書籍『食品機能素材』を発刊したのは1996年であった。その後も食品や食品に含まれる成分を健康の保持・増進に役立てようという気運は高く,世界各国で研究活動が盛んになり毎日のように研究発表が行われた。成果を活用した新しい商品が次々と発売され,それらに追いつくため書籍も『食品機能素材 II』『食品機能素材 III』とアップデートしてきた。
 現在も食品の機能性を求める研究開発は活発であり,前書『食品機能素材 III』発刊からまだ5年弱でるが,それに収載されていない食品素材が市中に見受けられる。また同じ素材であっても新たな機能が明らかになったものもある。これらの動きを受け,『食品機能素材 IV』が企画をした。
 また健康食品やサプリメントなどといった健康志向食品は,スーパーやコンビニ,ドラッグストアなどで手軽に手に入れられるようになった。しかしながら,いわゆる健康食品に対して効果や安全性に疑問を投げかける事件も少なからずあるのが現状でである。
 本書籍はそうした食品機能素材における様々な論点と,科学的な根拠があるものを中心に素材の特徴や安全性,今後の展開についてまとめた内容となっている。

太田明一 「長寿時代を健康に生きる一助のために」より抜粋,改変)



書籍の内容

長寿時代を健康に生きる一助のために―「食品機能素材Ⅳ」の序論にかえて―太田明一)
1. はじめに
2. 企画にあたっての幾つかの問題
  2.1 食の健康への関わり

  2.2 生活習慣病問題

  2.3 健康な人が少ない実例

  2.4 食品や食品由来の成分同士,あるいは医薬品との相互作用について

  2.5 健康がらみの常識?

  2.6 運動,休養の関わり

3. 本書の構成
  3.1 総論

  3.2 素材

4. 行政の動き
  4.1 消費者庁

  4.2 健康日本21

5. 食の機能の活用メリット
  5.1 消費者

  5.2 国

  5.3 企業

6. おわりにかえて

【第1編 総論】
第1章 食品の身体に対する作用
(信川益明)
1. はじめに
2. 健康増進のための適切な情報提供・利用と環境整備並びに連携の重要性
3. 人の生活様式とライフステージに合った健康支援情報システムの構築
第2章 生体内における抗酸化作用(宮澤陽夫)
1. はじめに
2. 酸化バイオマーカーとしての過酸化脂質
3. 生体内における過酸化脂質の生成
4. 生体内における食品成分の抗酸化作用
第3章 食品の抗酸化機能(新井博文,寺尾純二)
1. はじめに
2. 生体における主なROSの生成機序
3. 食品由来抗酸化物質によるROSの消去と生体利用性
4. おわりに
第4章 ニュートリゲノミクス(亀井飛鳥,渡部由貴,中井雄治,阿部啓子)

1. はじめに
2. ニュートリゲノミクス
3. トランスクリプトミクス―DNAマイクロアレイ
  3.1 第一段階としての動物飼育試験

  3.2 DNAマイクロアレイ実験におけるサンプルの取り扱い

  3.3 DNAマイクロアレイデータ解析

4. 栄養素摂取量に関する安全性評価研究例
  4.1 動物実験

  4.2 DNAマイクロアレイ実験

5. おわりに
第5章 ストレス制御をめざす栄養科学武田英二,川上由香,奥村仙示)
1. 日本社会とストレス
2. 日本社会とファストフード
3. ファストフードと食習慣
4. ストレスとテストステロン
5. 食生活とストレス制御
  5.1 日本食

  5.2 咀嚼

  5.3 朝食と脳

  5.4 食物繊維

第6章 疲労と抗疲労食品素材渡辺恭良
1. 疲労とは? 疲労の研究進展と解明されてきたメカニズム概説
2. 疲労の計測とバイオマーカー
  2.1 生理学的バイオマーカー

  2.2 生化学的・免疫学的バイオマーカー

3. 疲労動物モデルを用いた研究
4. 抗疲労食品素材の開発
5. まとめ
第7章 アンチエイジングと食品素材久保明
1. はじめに
2. アンチエイジングと食品素材
3. カロリー制限とレスベラトロール
4. アンチエイジングとビタミン―介入研究Update
  4.1 投与される側の要因

  4.2 投与ビタミンの要因

  4.3 検証に関わる要因

5. アンチエイジングとn-3系多価不飽和脂肪酸
6. アンチエイジングサプリメントの実際
第8章 時間栄養学(香川靖雄)
1. 食品機能素材には適時摂取が不可欠
2. 食事摂取基準に欠落している時間栄養学
3. エネルギー摂取量減少と糖尿病激増の矛盾
4. 時計遺伝子は全身の細胞に存在し代謝を制御
5. 大脳の最適栄養と時計遺伝子
6. インスリン治療の時間栄養学
7. 時間栄養学と生活習慣病予防の新物質
第9章 農産物の機能性と食生活(日野明寛)
1. はじめに
2. 農産物摂取と健康増進
  2.1 5 a Day運動

  2.2 フードガイド

  2.3 農産物摂取と健康

3. 栄養・機能性成分表示
4. 求められる機能性研究
5. 期待される農産物の機能性
【第2編 食品機能性素材の安全性概論】
第1章 商品開発における食品機能素材の安全性
(加藤博)
1. 安全性認証の基本理念
2. 健康食品の形状と薬事法
3. 錠剤,カプセル状等の食品の安全性確保の基本的考え方
4. ガイドラインの意図と対象事業者
  4.1 ガイドラインの意図

  4.2 ガイドライン対象事業者

  4.3 ガイドラインの消費者に対する普及啓発

5. 安全性評価の基本的考え方
  5.1 原材料についての安全性評価の実際

  5.2 錠剤,カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検フローチャート

第2章 「健康食品」の安全性・有効性情報データベース(梅垣敬三)
1. 概要
2. 健康食品の安全性・有効性の考え方
  2.1 論文情報の解釈

  2.2 素材の情報と製品の情報の区別

  2.3 医薬品との区別

  2.4 安全性重視の考え方

3. 健康食品情報の伝達方法
  3.1 有効性と安全性の両方が必要

  3.2 専門職を介した情報提供の必要性

4. 健康食品の安全性・有効性情報サイトの詳細
  4.1 基本的な考え方

  4.2 掲載情報の詳細

5. 今後の求められる情報提供の取り組み
【第3編 各論】
第1章 ビタミン
1. 葉酸(プテロイルグルタミン酸
(末木一夫)
  1.1 葉酸の体内動態

  1.2 基本的な生理作用

  1.3 欠乏症・潜在性欠乏症

  1.4 栄養素としての推奨量

  1.5 上限量

  1.6 葉酸の栄養素としての機能を超える有益な生理作用

  1.7 リスクの可能性

  1.8 まとめ

2. ビタミンK2(佐藤俊郎)
  2.1 概要(特性・構造式)

  2.2 製造方法および物性

  2.3 生理機能と作用機序

  2.4 メナキノン-7の栄養学的特徴

  2.5 安全性

  2.6 今後の展望・海外での展開

第2章 脂肪酸有機
1. アラキドン酸(河島洋)
  1.1 概要

  1.2 製造方法

  1.3 物性および安定性

  1.4 生理機能と作用機序

  1.5 安全性

  1.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

2. DHA/EPA(矢澤一良)
  2.1 予防医学とヘルスフード科学

  2.2 魚食と健康に関わる近年の疫学研究

  2.3 EPAの医薬品開発

  2.4 DHAの中枢神経系作用

  2.5 DHAのその他の薬理作用と最近の開発の方向性

  2.6 おわりに

3. 共役リノール酸(菅野道廣,柳田晃良)
  3.1 組成

  3.2 製法

  3.3 生理機能

  3.4 ヒトでの臨床効果

  3.5 安全性

  3.6 製品例

  3.7 市場性

4. 中鎖脂肪酸の生体内機能(青山敏明,上田善博)
  4.1 はじめに

  4.2 中鎖脂肪酸の消化吸収と代謝

  4.3 中鎖脂肪酸の短期摂取効果

  4.4 中鎖脂肪酸の体脂肪蓄積抑制効果

  4.5 MLCTの体脂肪蓄積抑制効果

  4.6 おわりに

5. コエンザイムQ10(抜井一貴)
  5.1 はじめに

  5.2 物理化学的性質

  5.3 食品中の含有量

  5.4 生体内での生合成,吸収,分布

  5.5 生体内での役割

6. α-リポ酸(チオクト酸)の機能性(片口巌)
  6.1 概要

  6.2 生化学的役割

  6.3 製造方法

  6.4 α-リポ酸(チオクト酸)の医薬品使用歴

  6.5 α-リポ酸の安全性

  6.6 α-リポ酸の主な製品規格(立山化成(株))

  6.7 用途開発,実用状況および展望

7. DHA結合リン脂質(日比野英彦)
  7.1 概要

  7.2 製造方法

  7.3 物性および安定性

  7.4 生理機能と作用機序

  7.5 安全性

  7.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

8. 水溶性リン脂質―グリセロホスホコリン(日比野英彦)
  8.1 概要(特性・構造式)

  8.2 製造方法

  8.3 物性および安定性

  8.4 生理機能と作用機序

  8.5 安全性

  8.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

9. アマニ油(小野治三郎)
  9.1 概要

  9.2 製造方法

  9.3 物性及び安定性

  9.4 生理機能

  9.5 アマニ油の安全性

  9.6 アマニ油の使用例

  9.7 展望

第3章 タンパク質・アミノ酸・炭水化物類
1. アミノ酸(小林久峰)
  1.1 概要

  1.2 製造方法

  1.3 生理機能と作用機序

  1.4 安全性

  1.5 用途開発・実用・研究の状況および展望

2. L-カルニチン(王堂哲)
  2.1 概要

  2.2 製造方法

  2.3 物性・安定性・一般食品中での分布など

  2.4 生理機能と作用機序

  2.5 安全性

  2.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

3. L-シトルリン(木崎美穂)
  3.1 概要(特性・構造式)

  3.2 製造方法

  3.3 物性および安定性

  3.4 生理機能と作用機序

  3.5 安全性

  3.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

4. オルニチン(西村明仁
  4.1 概要

  4.2 製造方法

  4.3 物性及び安定性

  4.4 生理機能と作用機序

  4.5 安全性

  4.6 用途開発・実用・研究の状況及び展望

5. GABA(横越英彦)
  5.1 概要(特性・構造式)

  5.2 製造方法

  5.3 物性および安定性

  5.4 生理機能と作用機序

  5.5 安全性

  5.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

6. コラーゲン(戸田達)
  6.1 概要

  6.2 製造方法・特徴など

  6.3 生理機能 

  6.4 市場の概況と今後の見込み

7. グルコサミン(坂本廣司)
  7.1 はじめに

  7.2 グルコサミンの生理機能

  7.3 今後の展望

8. 食品用コンドロイチン硫酸と機能性について(西村和也)
  8.1 はじめに

  8.2 コンドロイチン硫酸(ChS)とは

  8.3 食品用ChSの機能性について

  8.4 今後の展望

9. キトサン(又平芳春)
  9.1 概要

  9.2 製造方法

  9.3 キトサンの品質と物性

  9.4 生理機能性

  9.5 安全性

  9.6 用途開発の現状と展望

10. ヒアルロン酸菊池誠
  10.1 はじめに

  10.2 ヒアルロン酸の生体での働き

  10.3 代謝および安全性

  10.4 老化とヒアルロン酸

  10.5 各臓器でのヒアルロン酸の働きおよび食用による臨床的影響

  10.6 おわりに

11. ポテトペプチドの機能性(大庭潔,福島道広)
  11.1 概要

  11.2 製造方法

  11.3 ポテトペプチドの一般成分および分子量分布

  11.4 生理機能と作用機序

  11.5 安全性

  11.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

12. プラセンタエキスの機能性と応用(生田務)
  12.1 概要

  12.2 製造方法

  12.3 物性および安定性

  12.4 生理機能

  12.5 安全性

  12.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

第4章 植物由来
1. γ-オリザノール(橋本博之,渡辺聡子)
  1.1 概要

  1.2 製造方法

  1.3 性質

  1.4 最近注目されている生理機能

  1.5 安全性

  1.6 利用

2. フェルラ酸(橋本博之,渡辺聡子)
  2.1 概要

  2.2 製法

  2.3 性質

  2.4 最近注目されている生理機能

  2.5 安全性

  2.6 利用

3. 大豆たん白・大豆たん白分画物,大豆ペプチド(河野光登)
  3.1 はじめに

  3.2 大豆たん白の生理機能

  3.3 大豆たん白分画物の生理機能

  3.4 大豆ペプチドの生理効果

  3.5 おわりに

4. 葛の花エキス(TM)の機能性と応用(神谷智康)
  4.1 概要

  4.2 製造方法

  4.3 物性及び安定性

  4.4 生理機能と機能性

  4.5 安全性

  4.6 用途開発・実用・研究の状況及び展望

5. フコキサンチン(単少傑)
  5.1 概要

  5.2 製造方法

  5.3 物性および安定性

  5.4 生理機能と作用機序

  5.5 安全性

  5.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

6. アスタキサンチン(飯尾久美子,石倉正治
  6.1 概要(特性・構造式)

  6.2 製造方法

  6.3 物性及び安定性

  6.4 生理機能と作用機序

  6.5 安全性

  6.6 用途開発・実用・研究の状況及び展望

7. リコピン(牧浦啓輔)
  7.1 はじめに

  7.2 リコピンの性質とカロチノイドの構造と代謝

  7.3 リコピンの分布

  7.4 リコピンの吸収性

  7.5 リコピンの製造工程図

  7.6 リコピンの抗酸化力

  7.7 リコピンの生理機能

  7.8 リコピンの安全性

  7.9 用途開発・実用・今後の展望

8. メカブフコイダン(吉永恵子)
  8.1 はじめに

  8.2 メカブフコイダンの生理機能

  8.3 安全性

  8.4 おわりに

9. イチョウ葉エキス(畠修一)
  9.1 概要

  9.2 イチョウ葉エキスの有効性成分

  9.3 イチョウ葉エキスの生理的機能

  9.4 安全性

  9.5 将来の展望

10. 赤ショウガ(下田博司)
  10.1 概要

  10.2 製造方法

  10.3 物性および安定性

  10.4 生理機能と作用機序

  10.5 安全性

  10.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

11. ツバキ種子エキス(野崎勉)
  11.1 概要

  11.2 製造方法

  11.3 物性および安定性

  11.4 生理機能

  11.5 安全性

  11.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

12. 新規トウガラシ抽出物(カプシエイト)(大平琢哉,降籏泰史)
  12.1 概要

  12.2 製造方法

  12.3 物性および安定性

  12.4 生理機能と作用機序

  12.5 安全性

  12.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

第5章 ポリフェノール
1. 大豆イソフラボン森真理,森英樹,家森幸男)
  1.1 はじめに

  1.2 植物性エストロゲン大豆イソフラボン

  1.3 更年期障害骨粗鬆症の予防

  1.4 高血圧と動脈硬化予防

  1.5 ガンを防ぐイソフラボン

  1.6 おわりに

2. アントシアニン(カシス)(松本均)
  2.1 概要

  2.2 製造方法

  2.3 物性及び安定性

  2.4 生理機能と作用機序

  2.5 安全性

  2.6 用途開発・実用・研究の状況及び展望

3. ブドウ(佐野敦志)
  3.1 概要

  3.2 製造方法

  3.3 物性および安定性

  3.4 ブドウ種子抽出物の機能性

  3.5 レスベラトロールの機能性

  3.6 安全性

  3.7 用途開発・実用・研究の状況および展望

4. ホップ(瀬川修一)
  4.1 概要

  4.2 製造方法

  4.3 生理機能と作用機序

  4.4 安全性

  4.5 用途開発・実用化の状況および展望

5. フランス海岸松樹皮エキス“ピクノジェノール(R)”の機能性について(松下昌史)
  5.1 はじめに

  5.2 製造

  5.3 特許

  5.4 安全性

  5.5 機能性

  5.6 おわりに

6. オリーブポリフェノール(市川剛士)
  6.1 はじめに

  6.2 オリーブに含まれるポリフェノール

  6.3 製品例

  6.4 原料および製法

  6.5 定量方法

  6.6 安全性

  6.7 安定性

  6.8 機能

  6.9 おわりに

7. クロロゲン酸(コーヒー)(下田博司)
  7.1 概要

  7.2 製造方法

  7.3 物性および安定性

  7.4 生理機能と作用機序

  7.5 安全性

  7.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

8. セサミン(ゴマリグナン)(竹本大輔)
  8.1 概要

  8.2 製造方法,物性および安定性

  8.3 生理機能と作用機序

  8.4 安全性

  8.5 用途開発・実用・研究の状況および展望

9. クルクミン(ウコン)(柘植信昭)
  9.1 ウコンについて

  9.2 有効成分

  9.3 抗酸化作用

  9.4 肝保護作用

  9.5 抗腫瘍作用

  9.6 アルツハイマー病予防

  9.7 安全性

  9.8 性状および安定性

10. 柑橘果皮由来のヘスペリジンおよび糖転移ヘスペリジン(米谷俊)
  10.1 ヘスペリジン

  10.2 糖転移ヘスペリジン

  10.3 ヘスペリジンおよび糖転移ヘスペリジンの機能性

  10.4 まとめ

11. アサイー岡田啓介
  11.1 概要

  11.2 製造方法

  11.3 物性・安定性

  11.4 機能

  11.5 食経験,安全性

  11.6 用途開発・実用・研究の状況

12. メリンジョ(立藤智基,加藤榮信,中山洋輔)
  12.1 はじめに

  12.2 メリンジョの成分組成

  12.3 メリンジョ種子エキス及びメリンジョ種子エキス粉末の製造方法

  12.4 物性及び安定性

  12.5 生理機能

  12.6 安全性

  12.7 用途開発・実用・研究の状況及び展望

第6章 動物由来
1. デオキシリボ核酸(DNA-Na)(関戸治知)
  1.1 はじめに

  1.2 製法

  1.3 DNAの特徴

  1.4 安全性

  1.5 市場性

  1.6 機能

2. ローヤルゼリー(柳原美弥子,橋本健)
  2.1 はじめに

  2.2 成分

  2.3 物性

  2.4 生理機能

  2.5 安全性

  2.6 開発と展望

3. プロポリス(三島敏)
  3.1 はじめに

  3.2 成分・起源

  3.3 生理活性

  3.4 安全性

  3.5 おわりに

4. 卵黄レシチン(谷野壮介)
  4.1 概要

  4.2 製造方法

  4.3 特性および安定性

  4.4 生理機能と作用機序

  4.5 安全性

  4.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

5. ラクトフェリン(山内恒治)
  5.1 概要

  5.2 製造方法

  5.3 物性および安定性

  5.4 生理機能と作用機序

  5.5 安全性

  5.6 用途開発・実用・研究の状況および展望

6. P-エラスチンの機能特性と素材応用(清水一雄,佐藤三佳子)
  6.1 エラスチンとは

  6.2 P-エラスチンについて

  6.3 溶解性などの性質および製品規格

  6.4 期待される機能性

  6.5 安全性について

  6.6 用途開発から実用化へ向けての展望
第7章 微生物・発酵素
1. 乳酸菌(森毅
  1.1 はじめに

  1.2 乳酸菌と人類のかかわり

  1.3 主な乳酸菌の特徴

  1.4 発酵乳における乳酸菌の利用

  1.5 腸内細菌とのかかわり

  1.6 医療分野とのかかわり

2. ナットウキナーゼ(高岡晋作)
  2.1 起源および由来

  2.2 構造および特性

  2.3 ナットウキナーゼ活性測定法

  2.4 安全性

  2.5 血栓症とナットウキナーゼの生理活性

3. 植物性乳酸菌(渡辺紀之,熊谷武久,内山公子,斎藤真理子,藤井幹夫)
  3.1 概要

  3.2 植物性乳酸菌K-1の分離と抗変異原性作用

  3.3 植物性乳酸菌K-2の分離と抗アレルギー作用

  3.4 植物性乳酸菌の利用

【第4編 市場・特許・その他】
第1章 機能性食品の市場動向
(河田孝雄)
1. はじめに
2. 世界から注目を集める,世界最長寿国日本の「食」
3. 特定保健用食品(トクホ)の市場動向
4. 特定保健用食品(トクホ)の今後の展開
5. 特定保健用食品(トクホ)の安全性とその管理
6. 健康食品(トクホを除く)の表示と安全性
第2章 海外における食品の健康強調表示(大濱宏文)
1. はじめに―健康強調表示の定義について―
2. EUヨーロッパ連合
  2.1 栄養素

  2.2 健康強調表示(ヘルスクレーム)

3. 米国
4. 日本
5. おわりに
第3章 技術移転(使いやすい特許と効率的実用化)(五十部誠一郎)
1. はじめに
2. 知財の技術移転のための留意点
3. 機能性素材の実用化例
4. おわりに

金属と分子集合―最新技術と応用―

技術者・研究者向けの技術図書紹介

金属と分子集合―最新技術と応用―

発刊日 2010年11月 ISBN978-4-7813-0292-8
体 裁 B5判,146頁

刊行にあたって
 有機分子や金属錯体を集合させて望みの分子配列を作り,理想的な分子集合体の形状をつくることは,材料科学,生体科学,触媒科学等の分野において,重要性を増している。挑戦的な課題であると同時に,それを達成できれば,新しい機能の発現や大幅な特性の向上が期待されるため,基礎科学および応用科学の両方においてその研究が活発化している。
 本書では,9人の若手科学者が,それぞれの視点から,分子や金属の集合を鍵とした組織構造の構築ための最新技術,および,その応用について述べている。
 本書は,大学院生,博士研究員,大学の若手教員,企業の若手研究者らを主とした読者として想定しているが,学部学生でも最新の研究の香りがわかるように背景から平易に書かれており,また,シニアな専門家にとっても役立つ最新情報が記載されている。

(「刊行のねらい」より抜粋)

2010年11月  松尾 豊


書籍の内容
刊行のねらい(松尾豊)
総論(松尾豊)
第1章 配位化学による蛋白質集合体の機能設計(上野隆史)
  1.1 はじめに

  1.2 蛋白質集合体の機能化

  1.3 蛋白質集合体内部空間での金属微粒子合成

  1.4 蛋白質集合体内部空間への金属錯体集積

  1.5 新しい巨大蛋白質の使い方―“部品蛋白質”の概念

    1.5.1 金微粒子形成によるチューブ蛋白質テトラポッド構造体への集積制御

    1.5.2 カップ状空間への鉄ポルフィリン錯体集積による触媒反応場の構築

    1.5.3 部品蛋白質からの超好熱性蛋白質の作成

  1.6 固体材料としての蛋白質結晶

    1.6.1 X線結晶構造解析による金属イオン集積過程解明

    1.6.2 様々な形状や組成を持つ無機材料の合成

    1.6.3 機能集積―ミオグロビン結晶への分子集積

  1.7 まとめと展望

第2章 メタル化ペプチドを用いる金属の精密集積制御―組成・配列・空間配置制御と機能開拓―(高谷光)
  2.1 はじめに

  2.2 錯体化学的手法による金属集積化

  2.3 メタル化アミノ酸およびメタル化ペプチドの開発

  2.4 メタル化ペプチドの超音波ゲル化と金属集積制御

  2.5 異種金属集積型ペプチドの開発と機能開拓

  2.6 おわりに

第3章 金クラスターの精密合成・構造・物性およびその高機能化(根岸雄一)
  3.1 はじめに

  3.2 精密合成法

  3.3 安定性・構造・物性

  3.4 高機能化への取り組み

    3.4.1 機能性有機配位子との複合化

    3.4.2 異原子ドープ

  3.5 その他の金属クラスター―銀クラスターの研究例―

  3.6 まとめと今後

第4章 自己組織化を利用した有限分子集積(吉沢道人)
  4.1 はじめに

  4.2 箱型錯体の設計と構築

  4.3 極性芳香族分子の段階的集積化

  4.4 混合原子価状態の安定化

  4.5 ヌクレオチドのペア選択的集積化

  4.6 平面状金属錯体の集積化

  4.7 包接によるスピンクロスオーバー

  4.8 インターロック高次集積化

  4.9 おわりに

第5章 動的分子認識素子を利用した分子集合体構築(竹内正之)
  5.1 はじめに

  5.2 共役系高分子配列における動的分子認識の利用

    5.2.1 高分子の二次元配列

    5.2.2 共役系高分子の交互配列

    5.2.3 共役系高分子の高次元配列

  5.3 おわりに

第6章 金属錯体ナノ空間における高分子化学(植村卓史)
  6.1 はじめに

  6.2 多孔性金属錯体とは

  6.3 ビニルモノマーのラジカル重合制御

  6.4 触媒細孔を用いた機能性π共役高分子の制御合成

  6.5 錯体ナノ細孔内に拘束された高分子の特異物性

  6.6 無機高分子の制御合成

  6.7 おわりに

第7章 フラーレン誘導体の分子集合と有機薄膜太陽電池(松尾豊)
  7.1 はじめに

  7.2 フラーレン誘導体集合体の精密構築のための戦略

  7.3 フラーレン誘導体の分子集合

    7.3.1 フラーレン誘導体の結晶中・液晶中におけるカラム状配列

    7.3.2 フラーレン金属錯体液晶の分子集合

    7.3.3 フラーレン誘導体の結晶中・液晶中における層状配列

    7.3.4 フラーレン誘導体の3次元結晶

    7.3.5 フラーレン誘導体の基板上での2次元分子集合

    7.3.6 フラーレン誘導体の熱結晶化による分子配列

  7.4 フラーレン誘導体の分子配列を組み込んだ有機薄膜太陽電池

    7.4.1 有機薄膜太陽電池向けフラーレン誘導体開発の歴史

    7.4.2 新規フラーレン誘導体SIMEFを用いた有機薄膜太陽電池

  7.5 おわりに

第8章 有機/金属ハイブリッドポリマーの機能と表示デバイス応用(樋口昌芳)
  8.1 電子ペーパーの駆動方式

  8.2 電子ペーパーの課題

  8.3 最新のエレクトロクロミック材料

  8.4 有機/金属ハイブリッドポリマー

  8.5 有機/金属ハイブリッドポリマーの特性とデバイス

  8.6 まとめと将来展望

第9章 表面における金属錯体の分子集合とその展開(吉本惣一郎)
  9.1 はじめに

  9.2 ポルフィリン・フタロシアニン単分子膜

  9.3 ポルフィリン誘導体による超分子構造体の形成

  9.4 ポルフィリン・フタロシアニン混合膜の表面構造制御

  9.5 フラーレンポルフィリン超分子界面

  9.6 おわりに