高分子絶縁材料技術とその実例・評価

技術者・研究者向けの専門書籍紹介

高分子絶縁材料技術とその実例・評価


発刊日 2010年3月19日(金) ISBN978-4-903413-81-5
Cコード C3058
体 裁 B5判上製本 462頁

書籍趣旨
 有機高分子材料は、現代社会のさまざまな処で多用されている。特に電気絶縁にとって高分子は欠くことのできない重要性を持っている。この高分子材料には劣化が避けられず、使用されているうちに物性の低下や変色、クラック、分解が生じ、絶縁機能が損なわれてしまう。

 サイエンステクノロジー社は、高分子材料や、その劣化に限らず、種々の分野で広汎なテーマのセミナーを開催してきたと聞いている。同社が過去に開催した多くのセミナーの中で、高分子絶縁材料に関するセミナー、とくに、その劣化や寿命評価に関するセミナーが、極めて好評であったそうである。これは高分子絶縁材料の重要性や、絶縁劣化が社会に及ぼす影響の重大さを反映したものであろう。この本は、このような高分子絶縁材料の重要性に鑑みて、企画されたものと聞いている。

 同社から、このテーマは、セミナーも好評であったので、書籍化したいという相談を受けたときに、私は、「好評であったことは喜ばしいが、要望や改善提案が寄せられていたら、そちらも積極的に取り込んだ本にしたい。」とお答えした。すると、「ひとつには、『基礎、あるいはメカニズムもきちんと知りたい。』という声と、『劣化の実例、あるいは材料試験法といった実際面を深く知りたい。』という意見が出されている」、との由だった。限られた頁数で、この2つの要望に応えるのは相当に難しいが、「ベストを尽くしましょう。」とお約束して、題目や執筆者案を考えさせて頂いた。

 目次をご覧頂ければ分かるように、第1章では、誘電性や導電性といった絶縁材料の最も基礎的な特性から各種劣化特性までの広い範囲に亘って、メカニズムを専門家に平易に記述して頂いた。つぎの第2章では、汎用高分子から新しい高分子に至る多くの絶縁材料について、その物性を紹介して頂いた。第3章では、使用目的や使用されている機器別に絶縁材料と関連技術を述べて頂き、さらに第4章では絶縁材料の特性や劣化状況などを把握する為の計測・試験法について詳述して頂いた。さらに第5章では、昨今大きな関心を集めている絶縁材料の寿命評価や絶縁システムの取り替えのための手法やマネジメントについて述べて頂いた。

 執筆者はいずれも、それぞれの分野で真に日本を代表する方々として、大学並びに産業界で活躍されている。したがって、本書の各章の内容は、最新の知識や学説を網羅した信頼性の高いものとなっている。なお、執筆者の多い書籍においては、時として、書かれている内容、難易度、言葉遣い等に統一性が欠けることがある。本書においても、勿論その恐れは残っているとは思うが、私が可能な限り読ませて頂き、必要と思える処には修正を求めるなど、一冊の書籍としてのまとまりにも気を配らせて頂いた。

 本書は、必ずや高分子絶縁材料のユーザのみならず、開発者や研究者にとっても有用なバイブル的書籍となっていると信じている。

早稲田大学 大木義路


書籍の内容
第1章 高分子の電気絶縁性のメカニズム

 1節 電気絶縁性高分子の誘電性
  1.内部電界と外部電界
  2.誘電分極の種類
   2.1 電子分極
   2.2 原子分極
   2.3 双極子分極
   2.4 界面分極
   2.5 空間電荷分極
  3.複素誘電率
   3.1 交流電界下での誘電率
 2節 電気絶縁性高分子の導電性
  1.電気絶縁性高分子の導電現象
  2.バルクでの電導に関するモデル
   2.1 バンド電導
   2.2 プール・フレンケル電導
   2.3 空間電荷制限電流
   2.4 ホッピング伝導
  3.電極からのキャリア注入に関するモデル
   3.1 ショットキー電導
   3.2 トンネル電流
 3節 高分子の絶縁破壊とその理論
  1.絶縁破壊の基礎理論概観
  2.真性破壊
   2.1 単一電子近似
   2.2 集合電子近似
  3.電子なだれ
  4.ツェナ破壊
  5.熱破壊
   5.1 定常熱破壊
   5.2 衝撃熱破壊
  6.電気機械破壊
 4節 放電現象と絶縁劣化
  (1) 部分放電劣化
  (2) 電気トリー劣化
   1.電気トリー劣化の研究における歴史的背景
   2.電気トリー劣化の研究に関する近年の動向
   3.電気トリーの形状の分類
   4.トリーの発生および進展
    4.1 電力機器および電力ケーブルにおけるトリーの発生
    4.2 トリー発生電圧と針電極の先端曲率半径の関係
    4.3 トリー発生に及ぼす印加電圧の種類(直流、交流、インパルス)の影響
   5.トリーの発生・進展の機構
   6.電気トリーのシミュレーション
   7.水トリーからの電気トリー誘発機構の研究
   8.トリー発生・進展機構におよぼす高分子材料の高次構造の影響
   9.トリー発生の抑制 
   10.複合絶縁材料中の電気トリー劣化
    10.1 ミクロ的界面における電気トリー劣化
    10.2 マクロ的界面における電気トリー劣化
  (3) 水トリー劣化
   1.水トリー
   2.水トリーの誘電率と導電率
   3.水トリーの成長機構
 5節 その他の絶縁劣化
  (1) トラッキング劣化
   1.トラッキングの形成過程
   2.耐トラッキング性の指標
   3.耐トラッキング性に影響を及ぼす要因およびトラッキングの抑制対策
   4.劣化の例
    4.1 屋外絶縁用高分子材料
    4.2 電源プラグ
    4.3 プリント基板
  (2) イオンマイグレーション
   1.イオンマイグレーションと絶縁信頼性
   2.イオンマイグレーションの発生メカニズム
    2.1 陽極における金属の溶解
    2.2 金属イオンの移動
    2.3 金属の析出
     2.3.1 陰極で析出する場合
     2.3.2 陽極近傍で析出する場合
     2.3.3 プリント配線板の内部で析出する場合
第2章 高分子絶縁材料の種類と電気的物性の実例
 1節 汎用合成高分子絶縁材料
  (1)エポキシ樹脂
   1.電気絶縁材料用エポキシ樹脂の種類と特徴
   2.硬化剤と添加剤
   3.電気的物性
    3.1 誘電率
    3.2 絶縁破壊強さ
    3.3 V−t特性
    3.4 耐トリーイング性
    3.5 耐トラッキング
    3.6 耐アーク性
   4.製造方法と用途
  (2)フェノール樹脂
   1.フェノール樹脂の基礎
   2.電気絶縁材料用としてのフェノール樹脂
   3.電気絶縁材料としてのフェノール樹脂成形材料
   4.プリント配線板用紙基材フェノール樹脂銅張り積層板
   5.半導体封止用ポキシ樹脂成形材料の硬化剤としてのフェノール樹脂
  (3)ポリウレタン電気絶縁材料
   1.ポリウレタンの構造
   2.封止材料
   3.エナメル線用電気絶縁塗料
 2節 耐熱性高分子絶縁材料
  (1)ポリイミド樹脂
   1.製法と構造
   2.一般特性
    2.1 機械的性質
    2.2 熱的性質
    2.3 電気的性質
    2.4 化学的性質
    2.5 耐薬品性
   3.形態とその用途
    3.1 フィルム
    3.2 成型品
    3.3 ワニス
  (2)その他の耐熱性高分子絶縁材料 〜液晶ポリマーの特徴とその開発動向〜
   1.液晶ポリマーとは
   2.工業化の歴史と市販グレード
    2.1 タイプI
    2.2 タイプII
    2.3 タイプIII
   3.原料および製造方法
   4.LCPの物性
    4.1 レオロジー特性と成形性
    4.2 異方性
    4.3 線膨張係数
    4.4 寸法安定性
    4.5 耐熱性
    4.6 機械的特性
    4.7 ウエルド強度
    4.8 電気特性
    4.9 発生ガス
    4.10 吸水率
    4.11 ガスバリア性
    4.12 耐薬品性
    4.13 耐熱水性
    4.14 内部損失(tanδ)
   5.市場、用途及び開発動向
    5.1 市場
    5.2 用途
    5.3 開発動向
     5.3.1 LCPの高性能化
     5.3.2 LCPの高機能化
     5.3.3 LCPの高付加価値化
   6.環境適合性
 3節 その他の高分子絶縁材料
  (1) 生分解性高分子の電気特性
   1.電気特性の測定例
    1.1 誘電特性
    1.2 導電特性
    1.3 絶縁破壊特性
    1.4 耐部分放電性
    1.5 耐水性
    1.6 結晶性が電気特性に与える影響
   2.ブレンド試料の特性
   3.実用性の検討
  (2)高分子ナノコンポジット(有機・無機ナノコンポジット)
   1.機械的特性、成形性、熱的特性
   2.誘電特性
   3.電気伝導特性
   4.空間電荷挙動
   5.短時間絶縁破壊
   6.長時間絶縁破壊と耐トリー性
   7.耐部分放電(PD)性、耐トラッキング
 4節 特殊環境下で使用される高分子絶縁材料
  (1) 極低温環境下で使用される高分子絶縁材料
   1.液体窒素/高分子絶縁材料複合系(浸漬冷却系)
   2.極低温/真空/高分子絶縁材料複合系(伝導冷却系)
  (2) 真空環境下で使用される高分子絶縁材料
  (3) 放射線環境下
   1.放射線で引き起こされる高分子の化学反応
   2.高分子材料特性に対する放射線照射環境の影響
    2.1 放射線酸化の影響
    2.2 放射線照射時の温度効果
   3.放射線の種類(線質)の効果
 5節 いくつかの高分子の電気的物性の実例 その1〜4
  その1・・・田中俊哉
  その2・・・鈴置保雄
  その3・・・穂積直裕
  その4・・・大木義路
第3章 高分子絶縁部材・製品からみた実例とその絶縁技術
 1節 絶縁部材からみた実例とその絶縁技術
  (1) 電気絶縁テープと粘着テープおよび電気絶縁フィルム
   1.電線用絶縁テープ
   2.電気絶縁金属素材(樹脂コート条;Fコート)
  (2) 電気絶縁ワニスおよび絶縁コーティング
   1.絶縁ワニスの役割
    1.1 電気絶縁性の強化
    1.2 コイルの固着(接着)
    1.3 その他
   2.コイル機器の分類
   3.ワニスの分類 
    3.1 含浸用ワニス
    3.2 仕上げワニス
    3.3 コア用ワニス
    3.4 布管用ワニス
    3.5 コロナシールド用ワニス
   4.ワニスの組成
    4.1 溶剤型ワニス
    4.2 無溶剤型ワニス
   5.使用方法と取り扱い
    5.1 使用方法
    5.2 取り扱い
    5.3 処理条件の設定
     5.3.1 ホットメグテスト
     5.3.2 DSCによる発熱量
     5.3.3 固着力の追跡
     5.3.4 残留溶剤ガス濃度
   6.ワニスの特性
    6.1 一般特性
    6.2 耐熱性
    6.3 負の特性
     6.3.1 適合性
     6.3.2 ベアリング錆
     6.3.3 その他
 2節 電気機器からみた実例とその絶縁技術
  (1) 産業用および鉄道車両用モータにおける絶縁技術
   1.モータの種類と構造
    1.1 モータの種類
   2.モータの変遷・動向
   3.モータ用電気絶縁の製造方法および材料
    3.1 製造方法
    3.2 絶縁材料
   4.コイル絶縁の特性
    4.1 耐熱性
    4.2 電気的特性
  (2) 低圧モータ用エナメル線における絶縁技術
   1.モータの変遷
    1.1 モータの小形・軽量化
    1.2 絶縁材料の耐熱性向上
    1.3 エナメル線の絶縁の変遷
   2.巻線作業
    2.1 手巻巻線作業
    2.2 機械巻線作業
     2.2.1 コイルインサータ方式
     2.2.2 コイル集中巻方式
    2.3 巻線作業におけるエナメル線の信頼性向上
     2.3.1 エナメル皮膜の強度向上
     2.3.2 滑り性の向上
     2.3.3 耐プレス成形性の向上と導体の超軟性化
   3.エナメル線における絶縁技術の今後の動向
  (3) コンデンサにおける絶縁技術
   1.フィルムコンデンサの種類と高分子フィルムの特性
   2.油浸箔フィルムコンデンサへの適用事例
   3.メタライズドフィルムコンデンサへの適用事例
   4.蒸着紙電極コンデンサへの適用事例
   5.フィルムコンデンサの今後の動向
  (4) ケーブル/電線被覆における絶縁技術
   1.CVケーブルの構造
   2.架橋ポリエチレンの製造方法
   3.CVケーブルの絶縁破壊特性
   4.CVケーブルにおける劣化現象
    4.1 V−t特性
    4.2 水トリー劣化
  (5) 高電圧電力機器における絶縁技術
   1.電力機器に必要な絶縁材料
    1.1 各種絶縁構造 
    1.2 電力機器を支える高分子絶縁材料
   2.絶縁支持・固定部材料
    2.1 エポキシ樹脂のスペーサへの適用
    2.2 耐分解ガス対策[充填材(フィラー)]
   3.駆動機構用絶縁材料
    3.1 駆動部操作ロッドへのFRPの適用
    3.2 耐分解ガス対策[コーティング]
   4.高耐熱絶縁材料
    4.1 遮断器消弧室(ノズル)へのPTFEの適用
    4.2 消弧室周囲の構造体への適用
    4.3 SF6ガス収着現象の考慮
   5.絶縁被覆材料
    5.1 ポリマー碍管(FRP円筒+シリコーン樹脂ひだ)
    5.2 撥水性と透水性
 3節 電子素子等における実例とその絶縁技術
  (1) プリント回路基板における高分子絶縁技術
   1.回路基板を構成する高分子絶縁材料
    1.1 積層材
    1.2 ソルダーレジスト
    1.3 コンフォ−マルコーテイング
    1.4 ポッティング材
   2.回路基板における絶縁
    2.1 絶縁劣化現象
    2.2 絶縁距離の設計
   3.長期絶縁信頼性
    3.1 イオン性不純物の評価
    3.2 絶縁層中に発生するイオンマイグレーション
    3.3 不純物イオンと耐イオンマイグレーション
  (2) 太陽電池用絶縁材料における実例とその技術
   1.太陽電池構成材料の耐候性寿命予測試験
    1.1 太陽光発電システム用有機ポリマー材料
     1.1.1 封止材
    1.2 紫外線劣化(耐光性)促進試験方法
     1.2.1 試験方法確立の目標と従来の実績
     1.2.2 人口光源試験の問題点、適用範囲
     1.2.3 アンダーグラス試験
    1.3 耐熱、耐湿性に関わる寿命予測
     1.3.1 保護フィルム(バックシート)
     1.3.2 耐熱性・耐湿性の評価対象
     1.3.3 耐熱性(耐熱老化性)寿命予測法
     1.3.4 耐湿性の評価例
   2.まとめ(課題と展望)
  (3) 携帯電話用アンテナ基板における損失の影響
   1.低姿勢アンテナの課題とPIFAの特徴
   2.薄型化に伴う放射効率の低下
   3.導電率低下の要因と対策
  (4) コネクター部品における絶縁技術
   1.コネクターの絶縁設計と絶縁材料の選定
   2.コネクターの最近の技術動向とその実例
    2.1 自動車分野
    2.2 コンピューター及び通信分野
    2.3 事務機分野
    2.4 家電分野
    2.5 産業機器分野
   3.コネクターに使用されている絶縁材料とその特性
  (5) エポキシ樹脂自身の高熱伝導化と絶縁シートへの応用
   1.樹脂自身の高熱伝導化の必要性と高熱伝導樹脂の材料設計の考え方
    1.1 樹脂自身の高熱伝導化の必要性
    1.2 高熱伝導樹脂の材料設計の考え方
   2.高次構造を制御した高熱伝導エポキシ樹脂の開発
   3.コンポジット材料の開発とその応用事例
  (6) 封止・接着用−高熱伝導電気絶縁性−液状エポキシ樹脂
    〜“リコ・ジーマ・イナス”の開発とその特性〜
   1.設計思想
    1.1 フィラーの選定
    1.2 バインダの選定
    1.3 フィラーの混合分散
   2.成形条件と成形粘度
   3.特性値
   4.接着強さ
  (7) 有機電界効果型トランジスタのゲート絶縁膜における高分子絶縁技術
   1.有機電界効果トランジスタの動作原理
   2.ゲート絶縁膜に求められる性能
   3.ポリイミドを利用した有機電界効果トランジスタの特性
第4章 高分子絶縁材料の各種特性の計測法・試験法
 1節 高分子絶縁材料における熱的特性の計測・試験法
  1.熱と高分子絶縁材料
  2.熱的特性の分類
  3.材料に固有の熱的特性試験方法
  4.温度変化に基づく特性変化
  5.温度と時間が関係する特性変化
 2節 高分子絶縁材料における機械的特性の計測・試験法
  1.引張試験方法
  2. 圧縮試験方法
  3. 曲げ試験方法
  4. クリープ試験方法
  5. 応力緩和試験方法
  6. 動的粘弾性試験方法
  7. 衝撃試験方法
  8. 動的疲労試験方法
 3節 高分子絶縁材料における電気的特性の計測・試験法
  (1) 誘電率の計測・試験法
   1.誘電特性の測定原理
    1.1 並列等価回路
    1.2 直列等価回路
   2.測定方法の選択
    2.1 基本事項
     2.1.1 低周波領域
     2.1.2 高周波領域
    2.2 測定回路の方式
     2.2.1 交流ブリッジ
     2.2.2 共振回路
    2.3 電極構成
     2.3.1 電極の方式
     2.3.2 接続方法
  (2) 抵抗率の計測・試験法
   1.高分子絶縁材料の絶縁特性と抵抗率
   2.抵抗率の計測および試験法
    2.1 精密測定と簡易測定
    2.2 精密測定法の種類
    2.3 測定の時間
    2.4 電源
    2.5 電極材料
   3.測定方法
    3.1 電圧計-電流計法
     3.1.1 体積抵抗の測定
     3.1.2 表面抵抗の測定
    3.2 ブリッジ法
    3.3 電流比較法
   4.体積抵抗率および表面抵抗率
    4.1 体積抵抗率
    4.2 表面抵抗率
  (3) 絶縁破壊の強さの測定・試験方法
   1.絶縁破壊の強さの測定における一般的事項
    1.1 絶縁破壊電圧と絶縁破壊の強さ 
    1.2 試験片の形状と電極配置
    1.3 周囲媒体
    1.4 試験回路の構成
    1.5 試験回数
    1.6 測定結果の報告
   2.交流電圧印加における絶縁破壊の強さの測定
    2.1 電源
    2.2 印加電圧の測定
    2.3 試験片への電圧印加方法
     2.3.1 急速昇圧試験
     2.3.2 20秒段階昇圧試験
   3. 直流電圧印加における絶縁破壊の強さの測定
    3.1 電源
    3.2 印加電圧の測定
    3.3 試験片への電圧印加方法
   4.インパルス電圧印加における絶縁破壊の強さの測定
    4.1 インパルス電圧波形
    4.2 電源
    4.3 試験片への電圧印加方法
  (4) 空間電荷の計測・試験法
   1.空間電荷分布測定法の種類
    1.1 間接的空間電荷評価法
    1.2 熱的手法
    1.3 圧力波(PWP)法
    1.4 パルス静電応力(PEA)法
   2.PEA法の測定原理[15]と校正法
    2.1 PEA法の装置構成
    2.2 PEA法の原理
    2.3 PEA法の校正法とデコンボリューション処理
   3.空間電荷分布測定例
    3.1 直流高電界下のパケット電荷測定
    3.2 水トリーの診断
    3.3 放射線や可視光照射による帯電現象の測定
    3.4 その他の応用例と今後
 4節 高分子絶縁材料における耐絶縁劣化特性の計測・試験法
  (1) 耐部分放電性の計測・試験法
   1.部分放電電流パルス波形解析(PD-CPWA)
   2.部分放電発光像の観測
   3.浸食状況の推移の定量的計測
  (2) 耐電気トリー性の計測・試験法
   1.電極構成
   2.試料の作製
   3.使用する針電極
   4.耐電気トリー性の計測法
    4.1 CCDカメラと顕微鏡を一体にした装置でのトリーの観察
    4.2 電子顕微鏡などによるトリー管の詳細な観察
    4.3 トリー構造の定量化・分類
    4.4 光CT法および連続セクショニング法によるトリー形状の3次元再構成
     4.4.1 光CT法
     4.4.2 連続セクショニング法
    4.5 画像処理計測
    4.6 トリー発生・進展時の放電発光検出や部分放電検出
     4.6.1 放電発光検出
     4.6.2 部分放電検出
   5.耐電気トリー性の試験法
    5.1 耐電気トリー性の試験法の意義
    5.2 耐電気トリー性の試験法
  (3) 耐水トリー劣化性の計測・試験法
   1.6KV級CVケーブルの劣化診断法
    1.1 停電診断法
    1.2 活線診断法
    1.3 交流重畳法の原理と診断例
   2.特別高圧CVケーブル
  (4) 耐トラッキング性の計測・試験法
   1.電解液滴下法
   2.傾斜平板法
   3.RWDT(Rotating Wheel Dip Test)法
   4.高分子がいしの試験法
   5.電源プラグの試験法
  (5) 耐イオンマイグレーション性の計測・試験法
   1.代表的な試験法の紹介
    1.1 脱イオン水滴下法(WDT)
     1.1.1 試験方法
     1.1.2 留意事項
    1.2 温湿度定常試験
     1.2.1 試験方法の概要
     1.2.2 試験時の留意事項
     1.2.3 HAST装置の取り扱いについて
    1.3 評価パターン
   2.マイグレーションによる劣化判定の計測法
    2.1 絶縁抵抗測定の方法
    2.2 絶縁抵抗測定の留意事項
 5節 その他の特性の計測法・試験法
  (1) 耐候性の計測・試験法
   1.屋外暴露試験
    1.1 直接屋外暴露試験
    1.2 アンダーグラス暴露試験
   2.促進耐候(光)性試験機
    2.1 キセノンウェザーメーター
    2.2 サンシャインウェザーメーター
    2.3 紫外線蛍光灯ウェザーメーター
    2.4 紫外線フェードメーター
    2.5 メタリングウェザーメーター
   3.促進耐候(光)性試験に要求される性能
    3.1 相関性
    3.2 促進性
    3.3 再現性
  (2) 難燃性の計測・試験方法
   1.材料の難燃性試験方法
    1.1 着火性
    1.2 酸素指数
    1.3 UL94燃焼試験
    1.4 コーンカロリーメーターを用いた発熱性試験
    1.5 発煙性
    1.6 腐食性・有毒性 
   2.製品の難燃性試験方法
    2.1 一条ケーブル燃焼試験
    2.1 多条布設ケーブル燃焼試験
  (3) 耐放射線性の評価・試験方法
   1.絶縁材料としての高分子材料への放射線照射効果
    1.1 放射線とは
    1.2 放射線高分子化学の概要
   2.耐放射線性試験方法
   3.状態監視方法の例
    3.1 力学的方法
     3.1.1 引張試験
     3.1.2 インデンタ
    3.2 化学的方法
     3.2.1 膨潤比、ゲル分率
     3.2.2 熱分析
    3.3 電気的方法
     3.3.1 その場測定
     3.3.2 照射後の電気的特性測定
    3.4 その他の方法
第5章 絶縁システムの劣化診断とアセットマネジメント
 1節 絶縁システムの劣化診断
  1.電気的な応答を測定する方法
   1.1 部分放電
   1.2 電荷の動きによる方法
  2.化学的方法
  3.光や音響によるもの
   3.1 AEセンサによる部分放電測定
   3.2 音速による劣化診断
   3.3 測色による劣化診断
 2節 絶縁システムの寿命予測
 3節 絶縁劣化診断に基づく電力機器のアセットマネジメント
  1.アセットマネジメントとは
  2.保全方法
  3.劣化診断に基づく状態基準保全(CBM)の基本的考え方
  4.CBMやRBMに必要な情報
  5.絶縁劣化診断に基づくアセットマネジメントの効果に関する検討事例
   5.1 モンテカルロ法に基づくLCC評価手法の概要
   5.2 基礎データの準備
   5.3 実際の診断手法との対応
   5.4 LCC評価結果の一例