光デバイスにおける接着剤と接着技術

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光デバイスにおける接着剤と接着技術

発刊日 2010年10月 ISBN978-4-7813-0270-6
体 裁 B5判,301頁

刊行にあたって
 人々の生活の質の向上において,発光ダイオード半導体レーザ,フォトダイオード光ファイバ,光導波路などの光デバイスが暮らしの中で果たす役割には極めて幅広いものがある。

 光デバイスが本来の機能を発揮するためには光デバイス間の低損失で低反射な接続が必須である。これには光軸をサブミクロンオーダーの精度で調整した上で光デバイス間の屈折率整合もとり,それら光デバイスがサービスに供される期間(例えば十数年から数十年間),その調整状態を保持し続けるための技術が「光デバイスにおける接着剤と接着技術」の真髄である。

(「巻頭言」より抜粋)
2010年盛夏  東京工科大学 三田地成幸

書籍の内容
目次
序章 光デバイスにおける接着技術の重要性(総括)
(三田地成幸)
1. 光技術の歴史と普及
1.1 光通信
1.2 暮らしの中での光技術と接着技術
1.3 レーザ治療
1.4 バイオフォトニクス
1.5 宇宙光通信と深宇宙探査
【第I編 光デバイスの組立に使用される各種接着剤と接着基礎技術】
第1章 光デバイス組立用接着剤

1. 概要(村田則夫)
2. 紫外線(UV)硬化接着剤(村田則夫)
2.1 UV接着剤の特徴
2.2 UV接着剤の構成
2.3 UV接着剤としての特性
2.4 光デバイスへの応用
3. エポキシ樹脂接着剤(柳原榮一)
3.1 接着剤の特徴
3.2 接着剤の構成
3.3 接着剤としての特性
3.4 光デバイスへの適用
4. アクリル接着剤(村田則夫)
4.1 接着剤の特徴
4.2 嫌気性アクリル
4.3 SGA(第二世代のアクリル系接着剤)
4.4 シアノアクリレート
5. シリコーン接着剤(柳原榮一)
5.1 接着剤の特徴
5.2 接着剤の構成
5.3 接着特性
5.4 光デバイスへの適用
6. 新規高耐湿性接着剤の開発(木村和資)
6.1 はじめに
6.2 接着剤に求められる性能
6.3 新規接着剤(FRA-14)の開発
6.4 新規接着剤(FRA-41)の開発
6.5 おわりに
第2章 各種光デバイスの製造プロセスにおける接着基礎技術
1. 接着剤塗布技術(富山和照)
1.1 はじめに
1.2 接着剤種別と各ディスペンサおよび周辺機器の対応例
1.3 おわりに
2. 表面処理技術(柳原榮一)
2.1 表面処理の必要性
2.2 表面処理の手法とその効果
2.3 光デバイスへの適用
3. UV接着硬化技術(角岡正弘)
3.1 はじめに
3.2 UV硬化技術とUV接着硬化技術
3.3 おわりに
4. 接着信頼性設計技術(村田則夫)
4.1 高信頼性接着設計の基本条件
4.2 光学デバイスの接着における接着信頼性設計
4.3 耐湿(水)信頼性設計
【第II編 光デバイスの組立における接着・コーティング技術】
第1章 各種デバイスの製造プロセス技術

1. 光能動部品の製造プロセス(天野主税)
1.1 光半導体バイスの基本的なプロセスの流れ
1.2 光半導体バイスのエピタキシャル成長
1.3 光半導体バイスの具体的なプロセス手順
1.4 おわりに
2. 光受動部品の製造プロセス(外川雅之)
2.1 はじめに
2.2 接着プロセスの工程ごとの注意点と接着プロセスの実際
2.3 おわりに
3. 光デバイスにおけるウェハボンディング技術(大礒義孝)
3.1 はじめに
3.2 直接接合(direct bonding)
3.3 接着剤による接合
4. 光デバイス用光学接着剤における屈折率整合技術(丸野透)
4.1 はじめに
4.2 屈折率整合の要望
4.3 屈折率制御の手法
4.4 フッ素化エポキシ,アクリルの合成と硬化物の特性
4.5 光路用光学接着剤の開発
4.6 おわりに
5. 光デバイスにおけるセルフアライン内部接続方法(インターコネクション)(吉村徹三)
5.1 はじめに
5.2 自己組織化光波網(SOLNET)の概念
5.3 セルフアライン光結合
5.4 SOLNETによるセルフアライン光結合のデモンストレーション
5.5 まとめ
第2章 光通信用接着技術
1. 光ファイバ接続の永久接続(スプライス)(村田則夫)
1.1 はじめに
1.2 融着接続における接着技術
1.3 突き合わせ接着接続における接着技術
1.4 おわりに
2. ファイバ接続:コネクタ(単心系)(長瀬亮)
2.1 単心系光コネクタの接続原理
2.2 安定なPC接続を実現する接着技術
2.3 現場組立用接着技術
2.4 おわりに
3. 光ファイバのコネクタ接続:多心系(村越裕,村田則夫)
3.1 はじめに
3.2 MT形コネクタ
3.3 従来の組立方法
3.4 開発された高速組立方法
3.5 おわりに
4. ファイバ接続:ファイバPC接続技術(小林勝)
4.1 はじめに
4.2 基本構造
4.3 関係式
4.4 設計
4.5 光コネクタ
4.6 光ファイバ先端加工技術
4.7 光学特性
4.8 まとめ
5. 光通信用デバイス用接着剤(都丸暁)
5.1 光通信用デバイスにおける接着剤の使用箇所
5.2 光通信用デバイスに用いられる接着剤の特徴
5.3 光通信用デバイスの信頼性
5.4 まとめ
6. 光部品(防湿)封止技術(村越裕,村田則夫)
6.1 はじめに
6.2 光部品用シール材の要求条件
6.3 開発されたエポキシ系光部品用シール材の特性
6.4 光部品の防湿シールの実例
6.5 おわりに
第3章 光ファイバハードコート(岡松隆裕)
1. はじめに
2. ハードコート剤の材料設計
3. UV硬化型アクリル樹脂の硬度発現
4. 表面低摩擦化
5. ポリシラザンハイブリッド
6. おわりに
第4章 LED封止材技術(植月洋平)
1. はじめに
2. 透明エポキシ樹脂と安定化剤
3. シルセスキオキサン骨格を有する透明封止材の開発
3.1 シロキサン結合を有する材料
3.2 シルセスキオキサンの構造
3.3 LED素子封止用シルセスキオキサン樹脂の特性
4. おわりに
第5章 有機ELディスプレイと接着技術(大森裕)
1. はじめに
2. 有機ELディスプレイの概要
3. 有機ELの封止技術
4. まとめと今後の課題
第6章 太陽光発電(PV)システム用部材の接着剤―評価技術と評価の実例―(杉本榮一)
1. 概要
2. 太陽光発電の原理
3. 太陽光発電システムと構成材料
4. 結晶シリコン系PVモジュールの構造
5. BS用接着剤の特性と評価技術
5.1 基本的特性評価
5.2 評価方法
5.3 代表的接着剤の試験結果
6. まとめ(課題と展望)
第7章 光ピックアップ用絶縁型高熱伝導剤(木村和資)
1. はじめに
2. 熱伝導剤に求められる性能
3. 新規接着剤の開発
4. 高熱伝導剤の性状
5. おわりに
第8章 反射防止コート技術向井孝彰)
1. はじめに
2. 平面波入射光に対する反射防止膜
3. 導波入射光に対する反射防止膜
第9章 光メモリ(テラビットホログラムメモリ)(池田順一)
1. はじめに
2. テラを超える挑戦
3. まとめ
第10章 光導波路
1. 光導波路(戒能俊邦)
1.1 はじめに
1.2 ポリマー光導波路の位置づけ
1.3 ポリマー光導波路作製技術
1.4 ポリマー光導波路の簡易性能評価法
1.5 ポリマー光導波路の展開
1.6 おわりに
2. エポキシ導波路(今村三郎)
2.1 はじめに
2.2 エポキシ導波路の特長
2.3 エポキシ導波路の応用
2.4 まとめ
3. ポリイミド光導波路(塩田剛史)
3.1 ポリイミドとは
3.2 ポリイミド光導波路の作製方法
3.3 今後の開発の方向性
4. シリコーン光導波路(斎藤誠一)
4.1 はじめに
4.2 光導波路材料の基本特性と耐熱性
4.3 PMTコネクタ付光導波路
4.4 光プリント基板
4.5 おわりに
5. マスク転写法による自己形成光導波路(三上修)
5.1 はじめに
5.2 マスク転写法
5.3 45度マイクロミラーをもつ光ピン
5.4 アウトプットロッド付光デバイス
5.5 90度光路変換デバイス
5.6 おわりに
【第III編 評価技術(寿命,信頼性)】
第1章 光能動部品の劣化と寿命予測

1. 光能動部品の信頼性標準(吉田淳一)
1.1 はじめに
1.2 光能動部品の信頼性を担当する国際標準化組織
1.3 光ファイバ伝送用光能動部品の信頼性に関する国際標準
1.4 光ファイバ伝送用以外の光能動部品の信頼性に関する国際標準
1.5 国際標準とJISなどの国内標準との連携
1.6 まとめ
2. 光能動部品の寿命予測(福田光男)
2.1 順方向デバイスと寿命推定
2.2 逆方向デバイスと寿命推定
3. 光能動部品の寿命を支配する要因(竹下達也)
3.1 劣化モード
3.2 端面劣化
3.3 遅い劣化
4. 光能動部品の信頼性と接着剤の関係(福田光男)
4.1 光能動部品と樹脂
4.2 樹脂を用いた光能動部品のパッケージングと信頼性
4.3 まとめ
第2章 光受動部品・接続部品の劣化と寿命予測(三田地成幸)
1. 光受動部品の信頼性標準
1.1 光受動部品の信頼性標準
1.2 光受動部品の信頼性標準の基本的考え方
1.3 信頼性,性能,品質の定義
2. 信頼性パラメータを得る方法
2.1 算出の仮定
2.2 算出に必要な情報
2.3 磨耗故障試験のガイダンス
2.4 計算例
2.5 ランダム故障の計算
3. 光受動部品の故障モードと故障メカニズム
3.1 故障メカニズム解析のための信頼性試験セット
3.2 各受動部品についての故障モード/故障メカニズム
4. 光部品製造におけるスクリーニング
5. 光受動部品の信頼性確保の実例
5.1 光コネクタ用ジルコニア割りスリーブ
5.2 光スプリッタ
第3章 光部品用光学接着剤の劣化と寿命予測(三田地成幸)
1. 光デバイス用光学接着剤の寿命予測に必要な信頼性パラメータを得る方法
1.1 光部品用光学接着剤の劣化について
1.2 光デバイス用光学接着剤の寿命予測のための信頼性パラメータ
2. 光デバイス用光学接着剤の寿命予測の実例
2.1 光受動部品の信頼性向上のための高耐湿性接着剤の開発
2.2 光デバイス用光学接着剤の寿命評価
第4章 光部品用高耐湿性光学接着剤の研究開発と光実装への適用(三田地成幸)
1. 光部品の信頼性試験結果の実例
2. 新規高耐湿性光学接着剤適用光デバイス信頼性試験
2.1 サンプルデバイスの作製
2.2 新規高耐湿性光学接着剤適用光デバイス信頼性試験
3. 光学特性
4. 部品形状変化の測定
5. まとめ