2010 太陽光発電の技術開発動向

技術者・研究者向けの専門書籍紹介

2010 太陽光発電の技術開発動向
世界の主要なセミナー・講演会・学会などからの最新技術情報を満載!


発刊日 2010年2月18日
体 裁 A4判,219頁  カラー印刷


調査概要
 取材などで国内外の経営幹部の方々や企画/マーケティング/調査部門の方々とお会いする度に、
「我々”企業の先導者たち”からすれば、どの方式の太陽光発電方式が優れていて、どんな周辺分野が伸びそうなのか、情報の海に溺れて明確に把握しきれない。」というご指摘を多々頂戴している。
 巷では、太陽光/太陽熱発電セミナーが盛んに開催されており、太陽電池/太陽熱利用発電に関する年鑑や資料集も数多く上梓されている。しかし、それらの講師や執筆者は、現役の開発エンジニアもしくは元開発エンジニアが大半を占める。彼らの講義や書籍は、各技術担当から開発統括者にとっては興味深く且つ理解しやすいのだが、あまりにも先鋭的な技術の解説&専門用語の羅列に偏りすぎていて、しかも「技術が経営および企画/マーケティング/調査にどう寄与するのか」という視点に欠けていると感じられる。
 我々は、経営幹部の方々や企画/マーケティング/調査部門の方々といった”企業の先導者たち”に、「太陽光発電」の概要および要素技術、そして将来の展望を容易に把握して頂き、多忙な彼らの一助にならんとして、本報告書を上梓するものである。
 もちろん、これからを担う若手ビジネスパーソンおよび信心技術者にも、本報告書を手にして頂きたい。そして、「太陽光発電」の概要や広がりをスピーディーかつ正確に理解頂き、新鮮な感性でこの分野を盛り上げて頂きたい。
 多忙な”企業の先導者たち”および若き可能性に、本報告書を通じて何かしらの貢献ができれば幸いである。

 2008年後半からの世界の経済情勢は、世界中の国家および企業に高成長分野の模索と、その分野への果敢なチャレンジを促している。
 今後高成長が期待される分野のひとつとして、再生可能エネルギー分野を挙げることができる。とりわけ太陽光発電太陽電池および太陽熱利用)は、市場規模・周辺技術開発の裾野の広さにおいて、他の再生エネルギーに比べ経済的貢献度が高いといえる。
 しかし、欧州におけるフィードインタリフ制度(FIT)の乱用による太陽光発電市場の混乱や、世界各地での各種助成金を当てにしたメガソーラー発電所計画においては、資金繰りの悪化等の要因による計画遅延やプロジェクトそのものが立ち消えになる等の状況も見られる。
 一方、太陽光発電に対する普及支援策は充実化の傾向が見られる。日本では、2009年より各種補助金の再開と共にFITが導入され、これまで停滞気味であった太陽光発電市場が活性化している。また、自民党から民主党への政権交代により、環境対策についてはこれまで以上に意欲的な目標(GHGを2020年までに1990年比で25%削減)を掲げており、太陽光発電以外の再生可能エネルギーにもFIT導入が検討されている。

 他国においても、米国のグリーン・ニューディール政策や各州別のFIT、中国の意欲的な目標設定および自国内での太陽光発電普及への、中央政府と地方政府の積極的なバックアップなど、地球規模で求められる環境対応に呼応して太陽光発電普及支援政策は充実化傾向にある。これら普及支援政策の効果により、太陽光発電は厳しい経済情勢においても高成長が期待される。
 過去から将来に渡り、太陽光発電先進国に位置し続けているドイツがその地位を確保し続けられている理由は、「政策が一貫しており市場がそのための準備を整えることができたことが、成長維持の要因」と分析される。 今後、太陽光発電を持続的に活用していくためには、各国における一貫性のある・戦略的な政策が求められる。
とりわけ米国においては、太陽光発電普及政策をスマート・グリッド構想やEV/プラグインハイブリッド車普及と関連させている。そして、米国の太陽光発電普及政策における最も顕著な事は、国家安全保障戦略太陽光発電普及政策を完全にリンクさせていることである。
 個別の太陽光パネル技術においても、過去から現在まで圧倒的な優位を誇ってきた結晶系太陽電池のイニシアティブを奪還すべく、各種薄膜系太陽電池や色素増感太陽電池など、続々と新技術が現れ、熾烈な開発競争が日夜繰り広げられている。
 そして、太陽光パネルの覇権争いは、周辺部財メーカー・とりわけシリコンメーカーの経営戦略に多大な影響を与える。当然、太陽光パネル生産に不可欠な製造装置メーカーなどの経営戦略にも多大な影響を与える。

 本報告書では、各種別太陽光/太陽熱発電モジュールの基本構造・最新技術動向・市場動向などを解説し、同時に各国の特色ある太陽光発電普及支援政策およびスマート・グリッドなど太陽光発電普及に必要不可欠な要素を解説することにより、太陽光発電の将来像分析を行った。 
 この成長著しい太陽光発電分野では、2015年の累計市場が、最も緩やかな成長を想定してもなお約190,000MWにまで成長することが明らかとなり(2006年比約10倍)、太陽光発電市場は今後も大きく拡大することが調査結果として得られた。
 とりわけ、経済成長が著しく爆発的な市場拡大により目標を前倒しで達成している中国、 オバマ大統領誕生により環境重視に方向転換した米国では、大幅な市場拡大が見込まれる。
 重ね重ね、本報告書が日本を中心とした太陽光発電メーカー各位、およびエネルギー事業者各位の戦略構築・事業遂行の効率化に寄与する事ができれば幸いである。

書籍の内容

【目  次】
第1章 各種別太陽電池に関する生産能力推移の分析

    1−1 太陽電池生産主要国・生産能力推移
    1−2 形式別・太陽電池生産能力推移
    1−3 形式別・太陽電池シェア予測
    1−4 太陽電池メーカー世界シェア
    1−5 日本における太陽電池出荷量の推移
    1−6 昨今の日本における太陽電池導入量 

第2章 各種別太陽電池の構造・特徴および動向
    2−1 太陽電池の基本原理
    2−2 各種太陽電池の分類
    2−3 太陽電池・変換効率の推移
    2−4 太陽電池のコスト構造 (製造から設置まで)

 <結晶系太陽電池
    2−5 結晶型太陽電池(単結晶/多結晶)
    2−6 Hit太陽電池              
        (単結晶+薄膜アモルファス
    2−7 結晶型太陽電池の長所・短所

 <薄膜系太陽電池
    2−8 有機薄膜太陽電池
    2−9 薄膜シリコン太陽電池  
    2−10 Cd-Te薄膜太陽電池
    2−11 CIGS薄膜太陽電池

 <その他の太陽電池
    2−12 色素増感薄膜太陽電池
    2−13 Ⅲ−Ⅴ族多接合型太陽電池
    2−14 量子ドット太陽電池
    2−15 集光型太陽電池
    2−16 薄膜太陽電池の長所・短所

第3章 太陽電池部材/その他の動向
    3−1 PV用ポリシリコン市場分析 
    3−2 PVウエハー等の市場分析
    3−3 用途別・太陽電池市場予測
    3−4 2015年までの太陽電池市場予測(最善・妥当・最悪の各ケース)     

第4章 太陽熱発電およびその他の動向
    4−1 太陽熱発電の特徴
    4−2 集光型太陽熱発電
    4−3 ディッシュ式太陽熱発電
    4−4 ソーラーチムニー 
    4−5 太陽熱発電の長所・短所
    4−6 宇宙エネルギー利用システム 

第5章 世界の環境政策/ビジネス市場について
    5−1 世界の環境政策概況
    5−2 地域別/国別環境ビジネス市場規模
    5−3 2050年・世界の総発電量予測及び内訳
    5−4 発電方式別コスト比較
    5−5 太陽光発電ロードマップ(2050年まで) 

第6章 主要各国の環境/再生可能エネルギー戦略
    6−1  米国の戦略
    6−2  ドイツの戦略
    6−3  スペインの戦略
    6−4  イタリアの戦略
    6−5  ポルトガルの戦略 
    6−6  フランスの戦略
    6−7  中国の戦略
    6−8  韓国の戦略
    6−9  インドの戦略
    6−10 日本の戦略

第7章 太陽光/太陽熱発電に関連する要素技術
    7−1 スマートグリッド概要
    7−2 スマートグリッドの定義および背景
    7−3 米国のスマートグリッドへの取り組み
    7−4 欧州およびアジアのスマートグリッドへの取り組み
    7−5 日本のスマートグリッドへの取り組み 
    7−6 蓄電技術=スマートグリッドのバックアップ 
    7−7 直流送電の概要
    7−8 直流送電網整備に関して

第8章 その他
    8−1 世界の気候・降水量分布
    8−2 気候条件別/地域べつの太陽電池・部材対応
    8−3 太陽電池の安全規制(日本と海外との連係) 
    8−4 太陽電池製造プロセス概況 

付記:資料引用先一覧
(各大学・研究機関発行の技術論文および学術記事、提携先調査会社による各種調査資料、太陽光発電関連企業の各種資料など、約160種類の豊富な資料を基に調査・分析を行った)